全固体の2次電池の実用化研究

出光興産のブースでは、全固体リチウムイオン2次電池の開発品の動作デモが行われている。通常のリチウムイオン2次電池は、電解質として有機溶剤を用いた電解液やゲル電解質が用いられているが、液漏れによる発火・爆発の危険性ならびにそれに伴う安全性の面からの大型化への不安などがある。

無機物による固体電解質を用いたリチウム2次電池の場合、可燃性の有機電解液を使用しないため、安全性の飛躍的な向上が見込まれることから、研究が各所で進められている。

試作品としては10cm×15cm程度の紙1枚程度の薄さを持ったラミネートならびにボタン電池が開発、それを用いた動作デモが行われていた。

全固体リチウムイオン2次電池を使用したラミネート電池(左)とボタン電池(右)

材料としては「リチウムイオンを含んだセラミックス化合物」(担当者)を使用しており、カーエレクトロニクスで求められる電圧などはクリアできる方向に向かっているとしているほか、寿命としても、まだデータが完全に揃っていないものの、有機電解液に比べ、良くなる可能性が出てきたという。

同社では、2010年には(どのような分野へのかは明らかにしていないが)実用レベルの達成、2012年の販売を目標として掲げている。

また、有機ELの材料の展示も行っている。同社では、青、赤、緑いずれの材料も蛍光材料を提供しているほか、米UDC(Universal Display)と共同で赤色、緑色のリン光材料の開発を行っており、リン光の赤、緑と蛍光の青を組み合わせた白色ELで寿命8万8,000時間を達成している。なお、同社の青の蛍光材料の寿命は5万時間だが、「何故か3色を混ぜると寿命が延びた。この原理はいま調査している段階」(同)とのことである。

有機EL材料を用いたデモ