インスタントOSやThinkPad的な使い勝手など特徴的な製品
IdeaPad S10eの電源を投入すると、Windows XPよりも先にインスタントOSである「Lenovo Quick Start」が起動する。数十秒を要するWindows XPの起動時間に比べ、Lenovo Quick Startはわずか数秒。PCというよりは家電に近い感覚で利用でき、かつウェブブラウザやメーラー、スカイプやチャット、メディアプレーヤーといった基本的なアプリケーションも利用できる。どこまで活用できるかにも依るが、興味深い機能のひとつではある。
ブラウザなどの搭載アプリケーションは日本語で使える |
Windows XPを起動する際は、Lenovo Quick Startが起動した後、Windowsの起動を選ぶ作業が必要となる。Lenovo Quick Startを利用しないという場合はBIOSから同機能をオフにもできる |
また、製品発表会でレノボは、「IdeaPad S10eの冷却性能に自信を持っている」とアピールしている。実際の感触としては、パームレスト、キーボード、タッチパッドとも、「ほんのり暖かいものの"熱い"とう表現には達しない」という印象だ。もっとも、表面温度だけに注目すれば、HDDを搭載するIdeaPad S10eは、SSD搭載製品と比べ不利と見ることもできる。動作音は、低負荷時にはほとんど無音なのだが、負荷をかけた際にはファンの音が少し聞こえる程度の音量となる。普段ならそれほど気にならないレベルだが、周りが静まった際にはやや気になるかもしれない。動作に応じてファン回転数が頻繁に可変しており、安定性を考慮した積極的に冷却する方向のチューニングであるように感じた。
省電力機能は「Energy Management」ソフトウェアがコントロールしている。4つの設定から簡単に切替できるほか、より詳細な設定も可能だ。ではEnergy ManagementをBalanceに、液晶輝度とボリュームを最大とし、MP3ファイルをループ再生させた際のバッテリー残量の推移を計測してみた。その結果は10分毎のバッテリー消費が4~5%ほどとなった。最後まで計測するには至らなかったが、100%使い切るまでは3時間強~4時間強ある計算だ。標準で大容量な6セルバッテリーを採用しているメリットと言えるだろう。Energy Managementの設定をSuper Energy Saverなどにすれば十分な駆動時間を得られるのではないだろうか。
国内コンシューマ市場向けにうまくまとめられたネットブック
発売当初はネットブックの平均価格とほぼ同程度だったIdeaPad S10eだが、先日値下げも実施され、価格面での競争力も十分に備えてきた。そのうえで、スッキリまとまったデザインや、ExpressCard/34などのインタフェース、Lenovo Quick Startなど差別化も図られている。そして、国内でのサポートも他社と比肩する、あるいはさらに充実させたものである点も見逃せない。
ただし、今回触れた中で、Energy Managementソフトウェアについては日本語ローカライズされておらず、英語のままだった。低価格なネットブックが、初めてPCに触れる層にまで浸透しようとすれば、当然その中には英語が苦手なユーザーも含まれるだろう。そうしたPCに触れてみようというユーザーの意欲を、英語という壁が阻むことがないよう、一層のローカライズを進めて欲しいと感じた。
さて、レノボのネットブック第1弾が出たことで、ネットブック版のThinkPadを夢見てしまう方も多いだろう。レノボも発表会にてその考えを否定してはいないが、肯定的な言葉もまだ聞いていない。ThinkPad品質を求めた際のコストが課題なのだろうと思われるが、ただ先行他社を見てみると、プレミアなネットブックという需要はそれなりにありそうにも感じる。IdeaPad S10eは海外主導の開発とのことだが、おなじみの大和事業所が考えるネットブックのカタチというのも見てみたい……という期待をされてしまうのが、ThinkPadという不動のブランドを築いたレノボの宿命なのかもしれない。
■仕様 | |
型番 | IdeaPad S10e 4068AGJ |
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CPU | Intel Atom N270(1.6GHz) |
チップセット | Mobile Intel 945GSE Express |
メモリ | 1GB(オンボード512MB+512MB) |
HDD | 160GB(SATA HDD) |
光学ドライブ | 無し |
グラフィックス | チップセット内蔵 |
ディスプレイ | 10.1型光沢ワイド(1024×576ドット) |
ネットワーク | IEEE802.11b/g、10/100BASE-TX、Bluetooth Ver2.1+EDR |
インタフェース | D-Sub×1、USB2.0×2、SD/SDHC/MMC/MS/MS PROカードリーダ、ヘッドホン×1、マイク×1、130万画素Webカメラ |
約5.3時間 | |
サイズ/重量 | W250×D196×H22~36mm/約1.38kg |
OS | Windows XP Home Edition SP3 |
ソフトウェア | Adobe Reader、PC-Doctor、ThinkVantage System Updateなど |
価格 | 49,980円 |