なぜ、みんな、あまりバスに乗らないのか?

現在、環境問題の深刻化、複雑化がITや通信の領域に多大な影響を及ぼしている。この問題はナビゲーションサービスの用途にも新たな発想を付け加えている。「二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えようとの観点で、バスの存在、役割が見直されている。だがバスの利用者は、都市部ではあまり増えていない。理由はふたつある。ひとつは、バスがどこをどう走って、どこに着くのかがわかりにくいこと。もうひとつは、ちゃんと時刻表通りに動いているのかどうかが不明確なことだ」(大西氏)。

NAVITIMEではバスの運行情報の検索にも注力している。検索できるのは、起点、経由地、終点、運賃と時刻表データといった経路の基本情報だけはない。東京都営バスのみの提供となるが、GPSを搭載した携帯電話を利用してバスの走行位置をリアルタイムに示すサービスも提供している。道路渋滞などのため運行が遅れていても、付近の停留所にどのくらいでバスが到着するかどうかの目安を把握できる。

ナビタイムジャパンは2006年に、都営バスとムーバス(東京都武蔵野市)のデータへの対応を開始。以来、2007年には、東急、京王、西武、2008年にはじょうてつ(北海道)、JRバスグループ(JR西日本)、徳島バスなど、地方のバスにも守備範囲を広げてきた。「産業による環境への影響が大きな問題になっていることで、バスには追い風が吹いていると言える」(大西氏)。いずれは、全国のバス会社に対応していく予定だという。

環境に着目したサービスも用意しており、自動車の燃費、CO2排出量の計算、CO2排出量が最小になるルートの検索などが利用できる。このほか、環境にやさしい乗り物である自転車向けのサービスも考えているという。「自転車用ナビも考えている。通信機能を付加した専用端末を用意して、坂道を避ける経路を表示するなどの機能が考えられる」(大西氏)。