── パソコンの周辺機器としてColorioを使う場合のメリットも教えてください。
酒井 第一に、端子類やインタフェース、トレイなどを前面に集中したことと、ボディが小型化したことで、設置性に優れていることが挙げられます。
第二はEP-901FとEP-901Aに限定されますが、IEEE802.11b/gの無線LANに対応しているので、場所を選ばずに印刷できるメリットがあります。2モデルともに有線LANも使えるので、ご自宅のネットワーク環境に合わせた使い方ができます。
最後は、印刷速度の劇的な向上ですね。

── その高速化の恩恵は写真印刷もドキュメント印刷も同じですか?
川原 同じです。公称ではL判写真を例にしていますが、モノクロのドキュメント印刷でも同じように従来比20~30%のスピードアップを実現しました。体感レベルで向上が感じられると思います。また、起動時間も短縮され、電源オンから10秒以内に印刷できるようになりました。

── では、印刷速度のアップについて、具体的な仕組みを教えてください。
川原 プリンタは、カートリッジからインクを吸い上げて、ヘッドからインク粒を噴射し、ノズルを通して用紙に飛ばすのが基本構造です。ヘッドは横方向に動く駆動ユニットに搭載されており、素早く左右に動きながら、用紙に出力していきます。これらの各部が高速化したことで、総合的なスピードアップにつながりました。
そしてカートリッジ部分もポイントです。従来はヘッドを内蔵する駆動部にセットしていましたが、今モデルではヘッドと分離しました。これで駆動ユニットが軽くなり、高速化とともに動作音や振動を抑えることにも成功しています。
ヘッドは、インクの噴出量が従来比の2倍になる「IJヘッド高噴射能力技術(Machヘッド07)」を採用しました。さらに、ノズルの数を増やして、インクを噴出量を1.57倍に増量。駆動周波数も従来の45kHzから60kHzへと約1.33倍にアップしました。

── その中で、実現にもっとも苦労したのはどの部分でしょう。
川原 ヘッドですね。Colorioで採用している「ピエゾヘッド」は機械振動でインク滴を噴射する技術のため、ヘッドには無数の振動に耐える剛性が求められます。その結果、ある程度大きなサイズになるのが普通です。安易に小型化すると、壊れやすくなるうえに、インク滴の着弾精度が劣化するため、印刷画質が劣化します。
このため、高精度なシミュレーションを繰り返し、剛性を確保できるギリギリのサイズを見極めることで、新モデルのボディに収めることができました。

「実質的な高速化としては、ADFの存在も大きいです」と酒井氏。ADF搭載モデルなら、業務用コピー機やドキュメントスキャナのように、快適なスキャニングとコピーができる