── まずは根本的なところから。今回、Colorio複合機の上位モデルで大幅な改良に踏み切ったのはどんな理由からですか?
酒井 いまのプリンタの使われ方や、お客様が求めるニーズなどから、プリンタのコンセプトを変えるタイミングと考えたのが大きいですね。

Colorioのロゴは、コンセプトの変化とともに刷新している。最新のロゴで筆記体を止めたのは、「グラデーションのあるロゴは使い勝手が悪かったというのが、一番大きな理由です」(鈴木氏)とのこと

── ユーザーによって、プリンタの位置づけが変わってきたということでしょうか。
酒井 そうです。これまでもニーズの変化に合わせて進化してきましたが、今回の進化は大きいです。
「Colorio」のブランドを立ち上げたのは1995年になります。当時は職場にパソコンが普及した頃だったので、カラーのドキュメント印刷という用途をメインに据えて開発していました。それから2000年ごろにはデジカメが急速に普及して、家庭での写真印刷というニーズが高まりました。プリンタにも写真プリントが求められるようになり、そこからは4辺ふちなし印刷やL判印刷などに注力した機種を開発してきました。 そして、現在はプリンタをパソコンなしで単独で使うユーザーも増えています。これまでのパソコンの周辺機器という考えだけではなく、様々なお客様の生活スタイルに合わせるという方向で開発するのが妥当と考え、今回のEPシリーズを作ったわけです。リビングに置いて単独で使ってもいいし、無線LANで別の部屋のパソコンと連携させてもいいしといった仕様にしています。「生活をカラフルに彩る」というコンセプトのもと、ロゴも一新しました。

── これまでと違い、EPシリーズはデザインを決定してから中身を作っていたとのことですが、それは新しいコンセプトに関係しているわけですね。
酒井 はい。リビングに置いて使うスタイルを想定していたので、インテリアと調和しやすいデザインを目指しました。机や棚に置く状況を考えると、従来の丸みを帯びた形状よりもボックス型のほうが都合がいいのです。なので、開発の最初期から、直線的なデザインの候補が多かったと思います。

── 今までは、そういった候補が少なかったんですか?
酒井 そもそも、これまでは中身を作ったあとに外観を合わせていくという工程だったんですよ。実際のところ、以前から一般的なモノのトレンドとしてシンプル化という流れがあるのは自覚していましたが、そういった工程なので、実現するにはどうしても限界がありました。今回は、外観ありきで「この中に機能を入れていきましょう」という進め方をしたので、中を作るのは大変でしたけど、結果的にはシンプルな箱型が実現できました。

ADF非搭載の中位複合機「Colorio EP-801A」(左)と、その前モデルといえる2007年モデルの「Colorio PM-A940」(右)