廃校で開かれたWebデザイナーのための学園祭

東京・新宿新都心。林立する超高層ビルの谷間に、突然ぽっかりと広場のように開けた空間が出現する。今は廃校となった新宿区立淀橋第三小学校の懐かしい佇まい。子どもたちの姿はないが、校門も、体育館も、花壇も、動物小屋も、昔のままに残っている。そんな旧校舎で、Webデザイナーのための学園祭「.Fes 2008 TOKYO」(ドットフェス2008)が開催された。折からの豪雨にもかかわらず、駆けつけた来場者は定員を上回る約550名。旧小学校は、文字通り賑やかな学園祭ムードに包まれた。

廃校になった小学校を舞台に開催された「.Fes TOKYO 2008」

「.Fes 2008 TOKYO」は、デザイン誌『Web Designing』とクスールが主催した、Webクリエイティブのためのデザインとアイデアを紹介するカンファレンス。会場では、今をときめくトップクリエイターたちをゲストに招き、トークショーやライブパフォーマンス、インスタレーションなどが繰り広げられた。

雨天にもかかわらず、受付には校門まで長蛇の列ができた

そんな会場の一角で人気を集めたプログラムが、かつての教室でAdobeが開催した「1年CS組」。美馬直輝、木下勝、寺井周平、新藤愛大、鈴木拓生という話題のクリエイターによる、ActionScript、AIR、FlashVideoなどの特別授業だ。黒板や机、椅子も昔のままの教室。参加者たちは、小さな椅子に窮屈そうに座って待つ。チャイムと共に先生がやってくると、「起立」、「礼」の掛け声に合わせて授業が始まる。廃校ならではの楽しい趣向、参加者はすっかりお勉強モードに入っている。

小学校の授業さながらの「1年CS組」の授業風景

参加者の足を止めた「ムービー立て看」

そんな「1年CS組」の入口には、高さ約2mの看板があって、会場を訪れる人たちの足を止めていた。一見すると、普通の立て看板。ところが中央部分に用意されたスクリーンに投映されている教室風景が動いている。ムービーなのだ。

「ムービー立て看」が設置された「1年CS組」の入口。背面投映用スクリーンは自由な場所にレイアウトできる

プロジェクターはスクリーン後ろに設置されており存在を感じさせない

「ムービー立て看」と呼ばれるその看板は、その名の通り、文字や絵だけでなく動画を組み合わせて投映できるという次世代型の立て看板。カシオ計算機の「スーパースリムプロジェクター」と、200cm×70cmの特殊フィルム製の背面投映用スクリーン一体型立て看板を組み合わせたものだ。オリジナルのデザインをフィルム表面にプリントし、フィルムの交換により多彩な看板を自由に作ることができる。

使用される「スーパースリムプロジェクター」は、B5サイズのスリムな形状に加え、広角2倍ズームを採用しており、スクリーンから84cmの至近距離でも投映できる。スピーカーも内蔵しているため、外部スピーカーを用意することなくそのまま音声も再生可能だ。

今回は、教室内の様子をライブ中継するためPCと接続したが、撮影済みの動画を保存したUSBメモリーを本体に装着すれば、PCレスで投映が可能だ。背面投映式を採用しているので、明るい場所でも鮮明な画像が映し出せるのも大きなメリットだ。……続きを読む