ホームサーバOS「Windows Home Server 日本語版」のヒットが物語るように、複数のマシンをネットワーク経由で連係させるのは、もはやメジャーな使い方となっている。そのなかで、NECのホームネットワークシステム「Lui」を選ぶメリットとはどのようなものなのか。具体的な使用例を想定しながら、PCリモーターの使い勝手を中心に分析してみた。

PCオンデマンドに有利なサーバPCが登場した

Luiは、「PCリモーター」と呼ばれる端末から、インターネットやLAN経由でサーバPCにアクセスするシステムだ。PCリモーターにHDDはなく、単独ではパソコンとして使えない。しかし、オンラインでサーバPCに接続すれば、ほぼリアルタイムで送られるサーバPCのデスクトップ画面がPCリモーターの液晶パネルに表示され、まるでWindowsをインストールしたモバイル端末のように扱える。サーバPCをPCリモーター経由で操作するだけなので、基本的にPCリモーターには一切データが残らない。これは、何もデータを持ち歩かなくても、サーバPCに保存したコンテンツが再生・編集できるという特性につながっている。つまり、「コンテンツオンデマンド」だけでなく、完全な「PCオンデマンド」で利用できるのだ。

これまでにリリースされたラインアップは、PCリモーター2モデルとLui対応PC4モデル。PCリモーターは10.6型ワイド液晶を搭載する「ノートタイプ Lui RN7001C」と、4.1型ワイド液晶を備える「ポケットタイプ Lui RP5001C」が選べる。Lui対応PCは地デジチューナーを内蔵した上位の「Lui SX7001G」とスペックを抑えた下位の「Lui SX5001G」に、チューナー非搭載のスリムタワーデスクトップ「VALUESTAR R VR970/MG」「VALUESTAR R VR500/MG」が揃っている。

PCリモーター ノートタイプ Lui RN7001C。フルキーボードを搭載し、モバイルノートのように操作できる。IEEE802.11b/gだけでなく有線LAN端子も内蔵している。実売価格は9万円弱

PCリモーター ポケットタイプ Lui RP5001C。スライド式キーボードを備えており両手使いに有利な端末。IEEE802.11b/gアダプターのみを搭載している。実売価格は5万円弱だ

地デジダブルチューナーを内蔵するサーバPC「Lui SX」シリーズ。上位の「SX7001G」は1TB(レコーダー部)+320GB(PC部)のHDDを内蔵し、約35万円で販売されている。500GB(レコーダー部)+320GB(PC部)のHDDを備える下位の「SX5001G」の実売価格は約30万円だ。また、チューナー非搭載の「VALUESTAR R VR500/MG」も9万円弱で併売されている

VALUESTAR R Luiモデル マイクロタワータイプ。下位の「VR330/RG」は、Core 2 Duo E7200(2.53GHz)を搭載し、20万円弱で販売される

そして9月2日、Luiの特性がさらに発揮できるサーバPCが追加された。19型ワイド液晶を付属する「VALUESTAR R Luiモデル マイクロタワータイプ」2モデルで、このうち上位の「VR730/RG」は、クアッドコアCPUのCore 2 Quad Q9400(2.66GHz)を搭載しながら、24万円弱で販売される。

VR730/RGが"Luiとして"優れているのは、ハイスペックなうえに、豊富な拡張性を備えていることにある。HDDベイに3基、メモリスロットに2基の空きをあえて設けており、増設が手軽なのだ。また、保証外ながら、GeForce 8400 GSカードをPCI Express x16スロットから外して、さらに高性能なグラフィックスカードを装着することも不可能ではない。 では、なぜハイスペックで拡張性が高いと有利なのか。次節で具体的な事例を挙げて解説したい。