Landscape Bartender: Landscape Generation Using a Cocktail Analogy~お酒を風景に喩えてみよう

カクテルには地名の付いたものが多い。ニューヨーク、マンハッタン、マイアミ、モンテカルロなどなど……挙げればきりがないほどだ。こうした地名カクテルの名前の由来は色々だが、お酒に限らないが「味覚」は時々風景に喩えられることがある。

カクテルは様々なお酒を混ぜ合わせて作るが、そのお酒ごとに風景の要素を設定し、カクテルを実際に作ると、同時にそのカクテルのイメージにあった風景が生成されたら面白いのではないか。そんな着想で開発されたのが北陸先端科学技術大学院大学・宮田研究室が開発した「Landscape Bartender」だ。

風景の生成要素は8種類。サイドボードには8本のボトルが並んでおり、どのお酒をどのくらい使ったかはここで計量している。好きなお酒を好きなだけシェイカーに入れてあとはお決まりのパーテンダーのシェイクアクションで振るだけ。シェイカーには三軸の加速度センサーが取り付けられており、どのお酒をどのくらいの割合で混ぜて、どのように振るかで風景がプロシージャル生成される。最近の3Dゲームグラフィックスはプロシージャル技術がトレンドだが、Landscape Bartenderはある意味、この技術を最も直接的にエンターテインメントに結びつけた作品といえるかもしれない。

体験の流れ

使用したお酒の各ボトルの重みの減り分で使用量を測定。シェイカーの振り方はワイヤレスでホストPCに伝送される。シェイカーからグラスの上にできあがったカクテルを注いだらこれをトリガにして地形を表示する

お酒の要素には「砂」「岩」があり、この混ぜ具合で土地の造形が決定される。具体的には、砂が多いと滑らかな土地になるとのこと。「水」の要素もあり、出来た土地と水の量の関係で植物の繁殖具合が変わってくる。

「太陽」と「月」の要素もあって、この混ぜ具合で朝、昼、夕方、晩が決定される。

シェイカーは各要素の混ぜ合わせ割合以外の風景生成要素決定に利用される。例えばシェイカーを縦に振ると地面の凹凸が強く表れ、横に振ると地面が横に広がって平らになる。同じ割合で区別が難しい朝と夕方の切り分けもシェイカーの振り方で決まるようにしている。具体的には思いっきり振ると夕焼け、振ってからしばらく待つと朝焼けになるようにしたとのこと。

実際にお酒の味が風景と同じになるかは貴方の判断次第……といったところだが、「自分で作り上げた風景を見ながら一杯」というのはなかなかオツなものなのでは?

レシピ本も完備

実際に一作品作ってもらった

シェイカーを振るたびに画面が揺れながらも土地が盛られ天球が彩られていく様はなんとなく創造主な視点で楽しげ

完成した風景。美しい朝焼けの風景。手前の水面が美しい。グラフィックスはDirectX 9ベースだ

この体験者が作ったお酒ではこんな風景が。緑が多い南米の熱帯山脈という風情