Intel Developer Forum(IDF) Fall 2008初日、事業グループ別の基調講演のトップバッターはデジタル・エンタープライズ。同事業本部長のPat Gelsinger副社長が担当した。今年4月のIDF Shanghai 2008での同氏の基調講演のタイトルは「From Peta FLOPs to Milli Watts(Peta FLOPsからミリワットまで)」だった。そして今回は「iA=Embedded + Dynamic + Visual」だ。
どちらもIntelアーキテクチャの拡張を強調した内容だが、「iA=組み込み+Nehalem+Larrabee」を意味する今回の方が、よりユーザーに近いタイトルに思える。ネットブック市場に浸透し始めたAtomに続いて、年内にスケーラビリティが特徴のNehalemの第一弾製品が登場し、またビジュアルコンピューティング分野での利用が期待されているLarrabeeの姿も見えてきた。IntelのiA拡張戦略が着実に実現しつつあるのがタイトルに反映されているようだ。その中身はというと、Nehalemのスケーラビリティを支える機能やLarrabeeの概要の説明が行われたほか、"Embedded Internet"という次世代のインターネット利用を見据えた新ビジョンが披露された。
Turbo Modeで効率的に動作するNehalem
Nehalemでクローズアップされたのはパワー管理技術の「Power Gate」と「Turbo Mode」だ。Power Gateは、今日のクロックゲートでも防げないリーク電流を抑えるトランジスタ技術を実装し、アクティブではないコアをC6ステートでアイドリングさせ、ほぼゼロに近い消費電力を可能する。この機構はプロセッサによって制御されるため、プラットフォームやOS/ソフトウエアに変更を加えることなく利用できる。一方Turbo Modeは、いくつかのコアがアイドリング状態である場合に、電力のヘッドルームを必要に応じてアクティブなコアに回し、クロック数を動的に引き上げる。シンプルなスレッドの処理性能を効率的に高められる。
2つの技術を説明したIntelフェローのRajesh Kumar氏によると、NehalemにはPower Control Unitとして100万個以上のトランジスタを備えるマイクロコントローラがチップに統合されている。それを聞いて、「(自分が手がけた)486よりも多いじゃないか!」とGelsinger氏。
Power Gateテクノロジ。Intel独自の設計とプロセス技術によって実現した。シリコンにM9を堆積させたパッケージと、オフ抵抗の高いトランジスタの組み合わせ |
Power Control Unitのダイヤグラム |
Lost Planet: Coloniesを使ってYorkfield(左)とNehalem(右)のパフォーマンスを比較。Hyperthreadingで8スレッドを同時実行できるNehalemが約50%高速 |
Nehalemのスケジュールは、ハイエンドデスクトップPC向けの「Core i7」と、サーバー/ ワークステーション向けの「Nehalem-EP」を今年第4四半期から生産開始。さらにハイエンドサーバー向け「Nehalem-EX」、普及価格帯デスクトップ向け「Havendale」「Lynnfield」、モバイル向け「Auburndale」「Clarksfield」などの生産を2009年後半にスタートする予定だ。
サーバ/ ワークステーション分野では、16MBのL3キャッシュを備える6コアのIntel Xeon processor X7460が9月にリリースされる。SPECをはじめとする数々のエンタープライズ向けベンチマークで記録を塗り替えた数値が紹介されたが、特筆すべきは8ソケットのIBM System X 3950 M2サーバにおけるTPC-Cベンチマーク。1,200,632tpmCと、100万のカベを突破した。