KDDI 理事 コンシューマ技術統括本部 モバイルネットワーク開発本部 本部長 湯本敏彦氏

ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008の「モバイルブロードバンドフォーラム」では、KDDI理事でコンシューマ技術統括本部 モバイルネットワーク開発本部 本部長の湯本敏彦氏が「KDDIにおける次世代に向けた取り組み」との表題で講演を行った。

湯本氏は冒頭で「KDDIの契約者数は、携帯電話が普及し始めた1996年から2002年ぐらいまでは、毎年約1,000万台程度の伸びを見せていたが、2002年以降、頭打ちの状態が続いている。今後伸びが期待できるのは、法人市場、通信モジュール市場、個人の2台目の需要など」とau携帯電話の市場動向について説明。

日本のモバイル通信市場のマクロトレンド

日本における携帯電話市場の成長

続いて、KDDIが現在採用しているCDMA2000システムについても触れ、「CDMA 1X WIN」として提供しているCDMA2000 1x EV-DOの拡張規格「EV-DO Rev.A」やBCMCS (Broadcast/Multicast Services)の技術・サービスについても説明した。

2010年頃にサービス開始が期待される次世代通信規格(3.9G)のサービスについても語られた。湯本氏は、日本国内のインターネットトラフィックの推移が、ここ3年で約2.5倍伸びており、2007年11月のダウンロードトラフィックの総量が812.9Gbpsにものぼる点を指摘(いずれも総務省集計の推定値)。今後さらなる伸びを見込んでいるという。

KDDIはトラフィック上昇に対応するための施策として、3.9Gでは「インフラ・コストの抑制」「ビット単価の低減」「通信速度の向上」「低遅延」「接続時間短縮」の5項目に取り組む必要があるとしている。データ通信速度は40~80Mbps程度、ビット単価は現状の1/10を目指すという。

先日行われた決算発表で同社の小野寺社長は、KDDIが3.9Gのサービスに、EV-DOと同じく3GPP2で標準化が行われているUMB(Ultra Mobile Broadband)と、W-CDMA方式の流れをくむLTE(Long Term Evolution)のどちらを導入するかは、市場の動向を見ながら決定するといった旨の発言をしており、その動向に注目が集まっている。今回の講演でも、3.9Gの方式について語られた。

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湯本氏も小野寺社長の見解に沿う形で、同社としてはUMBとLTEのどちらも導入可能との考えを示した。また、「2010年の早い時期に導入するのであれば、2GHz帯。別の周波数を使うということであれば、1.5GHz。2012年まで待てるのであれば、新800MHz帯を導入することになる」と話し、導入時期により使用できる周波数帯が異なるため、通信方式や導入時期は、マーケットの状況に応じて決めていくとしている。

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