NVIDIA未発表の新型GPU「GeForce 9800 GX2」を搭載するというグラフィックスカードの出展が各社から相次いでいる。1枚のカード上に2基のGPUを搭載するデュアルGPUカードと説明されており、NVIDIAグラフィックスカードの最上位モデルとして近日中に発表されるものと見られる。

GAINWARDが出展していたGeForce 9800 GX2

こちらはMSIの「N9800GX2-M2D1G」

Galaxy(左写真)とInnoVision(右写真)もGeForce 9800 GX2を出展。各メーカーごとにデザインの違いがほとんど無いので、これがリファレンス準拠品と思われる

Albatoronブースでは製品を詳細に見せてもらうことができた。まずデュアルGPUカードということで、カードサイズは2スロット厚かつ長さもあり非常に大きい。補助電源コネクタは6ピンと8ピンの2系統備えており、消費電力は紹介できないとされたが、ブース担当者によれば「PCI Expressから75W、6ピンから75W、8ピンから150Wで、あわせて最大300Wの給電ができるようになっている。6ピンだけとか、6ピン2本ではなく、8ピンが付いたことから想像して欲しい」とのこと。

AlbatronのGeForce 9800 GX2。ボックス型のカバーでカード全体が覆われているため、内部構造がわかりにくい。冷却ファンはカバー内に内蔵されている

同担当者によれば2基搭載するGPUは「G92」。ただ特殊なカードであるため、仕様は"G92そのまま"というわけではないそうだ。これまでのデュアルGPU製品の例から考えれば、GPUコアやメモリ、シェーダなどの各動作クロックに調整が施されている可能性が高いだろう。ちなみにパフォーマンスに関しては、「3DMark06でRadeon HD 3870 X2より高いスコアが出せる」(同担当者)のだそうだ。

6ピンと8ピンの補助電源コネクタを装備。動作時の実際の消費電力が気になるところ

SLIコネクタはカバーをはずすと登場。利用しないときは隠しておくことができる

なお、GPU×2基の内部接続の構造はまったくの不明。ただ、基板全体がボックス型のカバーで覆われているためわかりづらいが、カバーの隙間から覗くと基板が2枚重ねになっているように見えるので、GeForce 7950 GX2のような、PCI Expressを経由の基板2階建て構造でデュアルGPUを実現していると考えることもできる。

ブラケット部にはDVI×2とHDMIを備える。DVIコネクタは向かい合って上下逆になっている

写真だとちょっとわかりづらいが、カバー内部でGPU基板が2枚重なっているように見える

ほか、MSIブースなどの展示によれば、4基のGPUによるSLI「Quad SLI」に対応し、DirextXはDirextX 10をサポート。またグラフィックスメモリはバンド幅512bit接続のDDR3を採用しており、容量は1GBとされている。しかしながら、未発表GPUであるためか、これ以上に詳細な情報を見つけることはできず、各ブース担当者からも、突っ込んだ内容に関してはコメントをもらうことができなかった。

各ブース担当者とも、詳細仕様に関してはノーコメントな部分が多かったのだが、製品紹介のポップからもある程度の情報が読み取れる

さて、ひとまず正確な情報はNVIDIAの正式発表待ちといったところだが、GPUがG92コアなのだとすれば、それ自体はGeForce 8800 GTS(512MB版)で既に採用されている既存GPUである。判明した情報だけでもおおよその仕様は想像できるので、あくまで推測を含むものだが、以下表にまとめてみたい。

※9800 GX2では一部仕様を8800 GTSから推測
GeForce 8800 GTS GeForce 9800 GX2
製造プロセス 65nm 65nm
GPU数 1 2
シェーダプロセッサ数 128 256(128×2)
コアクロック 650MHz 650MHz前後
シェーダクロック 1625MHz 1625MHz前後
メモリクロック 1940MHz 1940MHz前後
メモリ容量 512MB 1024MB(512MB×2)
メモリバス幅 256bit 512bit(256bit×2)