--顧客にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

KLMの事例を紹介しましょう。

KLMは2006年にQ-goの実装をスタートしました。KLMの目標は、顧客に最高のエクスペリエンスを提供することでした。顧客が、人間に接するのと同じ形でコミュニケーションできることです。

われわれはまず、英語とオランダ語から着手しました。そして数カ月後に、コールセンターコスト12%削減を実現しました。KLMが最も重視していたのは、質問を理解できれば、サービスを改善でき、競争力向上につながるという点です。次に重視していたのは、インターネットでの販売を増加させることです。質問を正確に理解することで、オンラインでのセールスコンバージョンを改善できるからです。

KLMのサービスは現在、フランス語、イタリア語などの西欧言語のほか、カタロニア語、フラマン語などの言語にも対応しています。フラマン語はベルギーで話されているオランダ語ですが、オランダのオランダ語とは違います。

KLMではこれまでの経過に満足しており、来年にはサービスを日本語、韓国語、中国語に拡大します。これはわれわれにとって大きなステップとなります。最初の課題はユニコード対応で、言語翻訳も進めます。機械翻訳ではなく、我々は深いレベルで言語を理解する言語学や文学、それにプログラミングの両方の知識がある専門家を利用して翻訳を進めます。これに、言語毎の辞書を統合します。そして自然言語で検索できるよう、調整していきます。

これは複雑な作業ですが、西欧言語であれば2カ月ほどで完了します。日本語の場合、5カ月ほどの期間を要すると見ています。

--自然言語での検索技術の利用が進まないのはどうしてでしょうか?

大きな障害は、ユーザーが自然言語検索を信じていない点にあります。ユーザーはこのようなことは不可能だと思っています。我々はいま現在すでに自然言語での検索を提供していますが、顧客やメディアに紹介すると、開発中の技術と思われてしまいます。我々はマーケティングを改善する必要がありますね(笑)。