DVFSの原理 - 動的な消費電力を低減する

従来、処理するタスクがなくなった場合にはスタンバイモードに遷移して消費電力を抑えるという方法が広く使われてきた。いわば「仕事は極力短時間で済ませ、残りは寝て待つ」ことにより消費を抑えるという考え方である。しかし、DVFSを利用する場合、この考え方だけでは不十分である。

すなわち、「ゆとりがあるのであれば極力遅く仕事をする」という考え方を導入する必要がある。この理由は図1(前ページを参照)の数式モデルにあり、同じクロック数で結果が得られるとすると、より低い電圧で実行するほうが消費電力(エネルギ)を抑えることができる。

電圧を下げれば、周波数も動作可能なレベルまで下げる必要がある。動作可能な電圧と周波数の組み合わせは、システムによって注意深く設定する必要がある。一般には複数の動作ポイントを設け、段階的な変更を行う。

図2に従来の方法とDVFSを用いた制御方法との比較を表す。

図2 動的な消費電力を低減する原理