6月29日(米国時間)の「iPhone争奪戦開始」を前に、米国各地では関係者らが製品発売をターゲットにあわただしい動きを見せている。今年最大の目玉商品であり、業界で最も登場が期待される製品となったiPhoneだが、発売まで1週間となったいま、米国内ではどのような状況になっているのだろうか。

提供キャリアのAT&Tは臨時スタッフを大増員

iPhoneは当初、Appleならびに、同社と独占契約を結んだ携帯キャリアの米AT&Tの2社から出荷されることになる。製品の提供形態は、両社の持つ直営店舗のApple StoreとAT&T Storeの2種類のリテールストアでの直接販売ほか、Appleのオンラインストア経由での申し込みの2種類が用意される。当初、AT&Tと提携して携帯販売を行っている電気店や代理店に製品が卸されることはなく、AT&Tのオンラインストアでの提供も発売後しばらくは行われない見込みだ。

こうなると、iPhoneを求めるユーザーが発売日に近くにあるリテールストアへ大量に押し寄せることが予想される。米Wall Street Journalなどの報道によれば、AT&Tでは当日の混乱を回避するために2000人の臨時スタッフを雇った模様で、iPhone発売に向けた加熱ぶりうかがえる。AT&Tの直営店は全米に1800軒ほど存在するが、当日18時の販売開始でどれだけの購入希望者を捌けるかが見ものだ。またAppleの関係者によれば、当日の店舗あたりの入荷数はApple Storeのほうが多く(店舗数の差もあるだろう)、Apple Storeの行列に並んだほうが入手しやすい可能性がある。とはいえ週末の夕方、いずれの店舗にも多くの人が殺到するのが確実で、実際に入手できるかどうかは運しだいだろう。

「iPhoneなしでも参加OK」-iPhone対応Webアプリ開発者交流会

発売後のイベントにも注目が集まりつつある。ボランティアベースでIT業界関係者の交流会を開いているBarCampは、7月6日から3日間の予定で「iPhoneDevCamp」の開催を予定している。

BarCampは2005年以来、オープンなスタイルで複数のテーマにわたる交流会を開いてきたが、iPhoneでのアプリケーション開発をテーマにした集まりは初のものとなる。iPhoneに興味のある開発者が集まって、iPhone対応のWebアプリケーションを増やしていくための意見交換を行うという趣旨だ。だがイベントの開催日は発売から1週間後、まだiPhoneを手にしていない参加者もいることだろう。イベントの開催告知ページには「You do not need to own an iPhone to attend.(参加にあたってはiPhoneを持っている必要はありません)」との但し書きがある。

BarCampは企業有志からオフィススペースの提供を受けることが多く、今回の開催場所は米カリフォルニア州サンフランシスコ市内にあるAdobeのキャンパスとなる。この場所は、Adobeによって買収されるまでMacromediaが本社にしていた建物だ。参加にあたってはAdobeとの秘密保持契約が必要とされており、iPhoneの最新動向に関する何か面白い話題が飛び出してくるかもしれない。