Excel 2007を使い始めて気づくのは、細かい部分での改良が進み、使い勝手が高められている点だ。リボンUIもそうだしミニツールバーも便利だが、それ以外にもさまざまな個所で変更が加えられ、使いやすくなっている。

特にExcel 2007の最大の特徴ともいえるのが、最大1048,576行、16,384列という大量のデータを扱えるようになった点。これだけ大量のデータを利用する機会があるユーザーはそう多くはないだろうが、今までの65,536行、256列から大幅に拡大されており、業務レベルでピボットテーブルを使った集計を行っていて行列が足りなくなった経験のあるユーザーには朗報だ。

こういったパフォーマンスの改良は他にも、1つのブック(ファイル)内でこれまで最大4,000種類だった書式設定の数が無制限になった。セル1つあたりの別のセルの参照数も従来の8,000から、メモリ容量に応じた制限に拡張された。メモリ管理もExcel 2003の1GBから2GBに拡大。デュアルプロセッサ / マルチコアプロセッサのサポートで大規模なワークシートの計算の高速化も図られている。

その他、1つのセルに入力できる文字数も1,024文字から32,767文字に拡張されているのも大きなポイントだ。Excelでの長文入力も十分可能になったといえるだろう。

マウスの範囲選択が思い通りに

大量のデータを入力していて気づくのが、マウスによる範囲選択の改良だ。これまで、たとえばグラフ作成をする際などでデータ全体をマウスで範囲選択する場合、ドラッグ&ドロップでマウスを大きく移動させると、一気に選択範囲が広がってしまい、データのあるセルだけを選択する場合には慎重にマウスを動かす必要があった。

特にデータ量が多い場合に、素早く範囲を選択するためにはマウスを大きく動かす必要があり、そうすると範囲選択が高速化してすぐにセルのある範囲を飛び越えてしまう、という弊害があった。

Excel 2007では、マウスのドラッグ&ドロップで範囲選択する場合、大きくマウスを動かすと選択範囲の拡大が高速化されるのは変わらないが、データの末尾に近づくと自動的に範囲選択の速度がゆっくりとなるようになった。データの末尾になると一瞬範囲選択が一時停止になるので、その場でマウスボタンから指を離せば、問題なく広い範囲も選択できる。

こうやって全体を範囲選択する場合、ぴったりデータの末尾で選択を止めるのは難しかった。Excel 2003を使っていて、気づいたら大変な範囲を選択してしまったという経験は誰しもあるだろう