「デジタルでのおもてなし」を実現するCDP

相手を尊重し、細部にまで心を配る「おもてなし」は、東京オリンピックを機に海外企業からも注目を集めるようになりました。この精神は、接客業だけでなくデジタルの世界においても、顧客体験を根本から変革できる可能性を秘めています。

顔を合わせることなく優れたコミュニケーションを実現するためには、顧客解像度を高めることが不可欠です。つまり、顧客の行動や好み・購入履歴などのデータを正確にとらえ、統合し、一人ひとりの顧客に合わせたタイムリーなコミュニケーションを図ることが重要なのです。

Tealiumの顧客データプラットフォーム(CDP)は、そんな「デジタルでのおもてなし」を素早く実現するシステムです。2008年に創業したTealiumは、既にグローバルで1000社以上の導入実績を持っています。

⇒デジタルの世界で「おもてなし」は実現できるか?

TealiumのCDPを駆使する企業の中から、いくつかの海外事例をピックアップし、どのように良質な顧客体験を提供しているかを見ていきましょう。

顧客一人ひとりに合わせたメッセージを―GapとUtah Jazzの事例に学ぶ

アメリカの大手衣料品チェーン、Gapはカジュアルなスタイルで知られており、幼児から大人まで、さまざまな年齢層の男女向けの衣類を取り扱っています。さらに同社は、グローバルで7つのブランドを展開しています。

ところが、多種多様な顧客がいるにもかかわらず、同社のWebサイトは画一的なものでした。誰に対しても同じコンテンツを表示していたのです。そこでGapは大規模な取り組みを実施しました。年間数億人にのぼる顧客データを、TealiumのCDPにすべて統合し、改めて顧客像を鮮明化したのです。

そしてGAPは「87種類のパーソナライゼーション施策」の実施をスタートしました。「この情報は"あなた"のためです」と伝えることにより、顧客とより強固な絆をつくることに成功したのです。

社内の各部門がバラバラに抱えていたデータを統合し、顧客像を明確にした上で、一人ひとりに適切なメッセージを伝えること。その威力は、全米バスケットボール協会 (NBA)に所属するUtah Jazzの事例からも明らかです。

かつて彼らは、初めてチケットを購入する顧客にも、30年来のシーズンチケット所有者にも、まったく同じメッセージを送信していました。顧客の心証を害してしまうことにもなりかねません。

TealiumのCDPは、Web上のマーケティングデータのみならず、チケットの販売や調査データの統合を促し、NBAファンの明確化を支援します。その解像度は、「Utah Jazzと試合をした"相手チームのファン"」という細やかさにまで及びました。

ファンの特性に合わせた試合のチケットを提案することによって、Webサイト訪問者一人あたりの収益を34%増加させたのです。

まるで店舗接客のように、顧客の心を掴む―Thomas SaboのCDP活用事例

コロナ禍は世界中のリアル店舗に大きな衝撃を与えました。それは、ドイツのジュエリーブランドであるThomas Saboも同様です。

個性的で大胆なスタイルの時計やチャーム、ブレスレットなどを男女に提供しているThomas Saboは、顧客の嗜好や予算感を見極めながら、一人ひとりの琴線に触れる商品提案ができるよう、心を尽くした店舗接客をしていました。

しかしコロナ禍により、時間をかけた対面接客ができなくなってしまいます。代わりにECサイトでの販売に注力するものの、高い「カート放棄率」に悩まされます。サイト訪問者は、商品を選び、カートに入れたものの、購入手続きを完了せず離脱してしまうのです。

その人はどのようなスタイルを愛しているのか。どんな情熱を秘めているのか。そうした「顧客の思い」をすくいとり、最適なジュエリーをオンライン上で案内できるように、Thomas SaboはTealiumのCDPを使った高度なデータ活用を始めます。そして彼らは、訪問者が閲覧したり、お気に入りに加えたり、カートに追加した商品情報から、訪問者一人ひとりの好みを理解することができるようになったのです。

顧客の行動をモニタリングし、次に取るであろう行動を予測し、適切なタイミングでメッセージを伝える。まるで店舗体験のような個別対応を実施したことによって、Thomas Saboはカート放棄率を大幅に減少させ、平均よりも6〜7倍高いコンバージョン率を実現しました。さらに、新作を紹介する際のコンバージョン率も70%向上させています。

適切なタイミングが心に響く―Epson Americaが顧客に送ったリマインドメールとは

数あるCDPの中でも、Tealiumは「リアルタイム性」という極めて重要な特徴を備えています。顧客が忘れてしまう前にリターゲティング広告を実施する。あるいは、何度もアクセスしてくれている訪問者には、広告を表示しないデリートターゲティングをする。バッチ処理に時間を要し、期間をあけてしまっては、このような細かい気配りはなしえません。

Epson AmericaがCDPを用いて初期に実施したキャンペーンは、非常にシンプルなものでした。プリンタのインクが少なくなってきたタイミングに合わせて、顧客に「今なら割引価格で購入できますよ」とメールを送る、たったそれだけです。

リマインドメールは、ちょっとした気配りに過ぎないかもしれません。しかし、通常の割引キャンペーンに比べ、7~8倍ものコンバージョンを達成しています。

まとめ

以上、海外企業がCDPを活用して、デジタル空間で「おもてなし」を実現させる方法について見てきました。Gap、Utah Jazz、Thomas Sabo、そしてEpson Americaの事例は、顧客と企業との関係をCDPがより強固なものに変えるということを示しています。

★個々の顧客の行動と好みを理解し、それぞれに応じたコミュニケーションを取ることで、より深い関係を築くことができる。

★CDPによるアプローチは、単に売上を向上させるだけでなく、顧客ロイヤリティとブランドへの信頼を強化することにも繋がる。

次回は、CDPのさらなる効果、「ファンの創出」についてご紹介しましょう。

<監修>
ティーリアムジャパン株式会社
マーケティング シニアマーケティングディレクター
安部 知雄



[PR]提供:Tealium Japan