新年を迎えはや、ひと月。"いよいよ"ムードが漂う2020年だが、今回の『3分でわかるIoT関連用語集』では、5Gの提供開始に伴い注目されつつある技術「XR」を取り上げたい。

XRは、VR、AR、MRなど、"XXX Reality"を表す用語として使用される。一言で言えば、現実世界と仮想世界を融合させ、新たな体験を提供するために作られた技術だが、現実と仮想の世界の融合度合いがそれぞれ異なる。元々ゲーム業界をはじめ、消費者向けのものと印象づけられるXRだが、近年ではビジネスシーン、産業分野での導入が目立っている。技術が発達するにつれ、それぞれの境界線が引きにくくなっている。

  • 2020年2月_3分でわかるIoT関連用語集_XR 編_001

VR、AR、MR、SRの違いって?

VR(Virtual Reality):仮想現実

CGなどで作られた仮想空間の中にいるかのような体験ができる技術。ヘッドマウンテッドディスプレイ(HMD)と呼ばれるデバイスを装着し、どこを向いても360度仮想空間という没入感を味わうことができ、家庭用ゲーム機やアミューズメント施設などで手軽に体験できる。

AR(Augmented Reality):拡張現実

VRが仮想現実のみを体験できる技術とすると、ARは、現実の世界に仮想の世界を重ねて体験できる技術。大きく分けるとロケーションベース型、ビジョンベース型がある。2016年の提供開始から未だに人気のPokemon GOは、ロケーションベース型のAR技術が取り入れられている。

MR(Mixed Reality):複合現実

さて、ARも現実と仮想の世界を重ねる技術だが、MRはそれらをより密接に融合させた技術だ。Pokemon GOで例えると、MRならポケモンのキャラクターに近づいたりもでき、タッチして入力なども可能になる。さらに、同じ空間を複数の人で同時に体験することも可能になるため、建設業などでの計画や検査の効率化等、産業分野での利用が活発化していくと言われている。

SR(Substitutional Reality):代替現実

MRまでは、仮想と現実の"融合"だったが、SRは現実世界を架空世界と置き換えて認識させるという技術だ。この技術は、商用化目的というよりは、人間の認知システムの実験など、研究目的として使われていくだろうとされている。

今後のXR市場の動向は

IDC Japanが発表している、世界のVR/AR市場予測では、AR/VRのハードウェア、ソフトウェア及び関連サービスを合計した支出額は、2018年の89.0億ドル、2019年の168.5億ドルから2023年には1,606.5億ドルに達する見通しで、2018年から2023年にかけての年間平均成長率は78.3%と見込んでいる、としている。また、同社は2023年にビジネス分野で最大の支出ユースケースと予測されているのは、トレーニング(84.7億ドル)、産業メンテナンス(43.1億ドル)、および小売/展示(38.7億ドル)と予測しており、すでに活用が始まっている教育分野、産業分野での普及がさらに進んでいくことが見込まれる。また、XRに特化したイベントやサービスを運営するVR Intelligenceが発行したレポートにおいて、同社がXR専門家へ実施したアンケート調査でも、XRがエンタープライズ向けで成長を見せている一方、コンシューマー用途は予想を下回る結果になった、としている。5Gの発展とともに、XR技術はさまざまな産業分野での活用が期待されている。今後の動向にも注視していきたい。


情報提供:アヴネット株式会社

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