豊富な知見と実績を活かし、金融業、製造・流通業をはじめ、さまざまな企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する日本ユニシス株式会社。「Gold Cloud Platform」「Gold Cloud Productivity」のコンピテンシーを保持するなどマイクロソフトと強固な協業体制を築いており、多数のソリューションを Microsoft Azure 上に構築しているほか、Azure の導入サービスである「CLOUDForesight integration」も展開しています。2021 年 4 月には、Microsoft Azure への Windows Server と SQL Server の移行分野における「Advanced Specialization」を取得しました。このように、マイクロソフトの技術やソリューションを熟知した同社が今回取り組んだのは社内向け仮想基盤システムのクラウド移行プロジェクト。そこで選択されたのは、既存の VMware 製品による仮想化環境を Azure 上にシームレスに移行できるフルマネージドサービス Azure VMware Solution でした。

社内向けの VMware 製品による仮想化基盤システムで顕在化したオンプレミス環境の課題とは

日本ユニシス株式会社 情報システムサービス部 企画室 基盤課 塩入 貴志 氏

日本ユニシス株式会社
情報システムサービス部
企画室 基盤課
塩入 貴志 氏

日本ユニシスの情報システムサービス部では、VMware 製品を使った社内向けの仮想基盤システム「HITS」をオンプレミスのデータセンター上に構築し、各部門・部署に提供しています。常時 200 以上の VM(サーバー)が運用されており、近年では運用保守に関する作業負荷の増大や、オンプレミス環境の管理コストの肥大化といった問題が見えてきたといいます。同社 情報システムサービス部 企画室 基盤課の塩入 貴志 氏は、HITS の運営を続けることで顕在化した課題についてこう語ります。

「HITS は社内各部署の業務用サーバーとして利用されており、その用途はファイルサーバーからポータルサイトの基盤、バックエンドのアプリケーションサーバー、社内イントラネットのコンテンツ管理までさまざまです。単に仮想サーバーを提供するだけではなく、サーバーのバックアップや要望に応じたリストア、OS のパッチ適用などさまざまな運用サービスを情報システムサービス部が提供しており、利用者(部署)にとっては運用負荷なしで手軽に使えるというメリットがありましたが、その一方で情報システムサービス部にかかる負担は大きくなっていました」(塩入 氏)。

こうした課題を抱えていたこともあり、同社ではハードウェアの EOL を機に HITS サービスの終了を検討しましたが、利用者からは「継続してほしい」というリクエストが多く、サービス継続の検討を開始します。今回の移行プロジェクトでプロジェクトマネージャーを務めた情報システムサービス部 企画室 基盤課の木村 良仁 氏は、当時の状況を振り返ります。

日本ユニシス株式会社 情報システムサービス部 企画室 基盤課 木村 良仁 氏

日本ユニシス株式会社
情報システムサービス部
企画室 基盤課
木村 良仁 氏

「ハードウェアの経年劣化から VMware 製品による仮想化基盤のバージョンアップ対応、OS のパッチ適用まで、運用保守に関わる負荷が増大していたこともあり、HITS の仮想基盤システムについてはハードウェアがサポート終了となるタイミングでサービス終了とし、利用部署には個別にマイグレーションを実施するようにアナウンスしていました。ところが、利用部署からの継続リクエストが非常に多かったため、サービスの継続を検討することになりました」(木村 氏)。

複数のデータセンターに分散した形で運用されていた HITS は、停電対応などオンプレミス環境における管理コストも問題となっており、サービスを継続するにあたっては、オンプレミスでの“所有”からクラウドでの“利用”へのシステム刷新が求められました。こうした背景もあり、同社ではオンプレミスのままハードウェア更改を行う場合とクラウドに移行する場合での費用対効果を比較検討。その結果、クラウドサービスを採用するほうがコストの削減や移行期間の短縮を見込めることが分かったといいます。さらに、これまでのオンプレミスの VMware 製品による仮想化環境はリソースを使い切っておらず、ムダな資産をなくすという観点からも、使いたいときに使いたいだけのリソースを提供可能なクラウドサービスへの移行は有効でした。

日本ユニシスでは、オンプレミス環境とクラウド環境を比較検討する段階からAzure VMware Solution(以下AVS)に着目していたといいます。同社におけるクラウド移行の要件は「ハードウェアに対する運用負荷の軽減とデータセンターの運用保守コスト削減」「現状の仮想サーバー群の運用・管理体制の維持」「移行に関する利用者の負荷・リスクの軽減」となっており、これらを満たすソリューションとして AVS が採用されました。木村 氏は、AVS 採用の理由をこう話します。

「他のソリューションも検討したなかで AVS を採用した理由としては、複数 VM の同時移行や VMware 製品による仮想化環境の運用継続、現在使っている古いバージョンのゲスト OS からの移行が可能で、短期間かつ互換性を担保したまま移行が行えたことがあげられます。もちろん、Azure の PaaS を利活用することで利便性の向上が図れるというのも大きな要因といえます」(木村 氏)。

Azure Migrate/ExpressRoute/VMware vROps/VMware HCX®️といった先進技術を活用

日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 DXサポート部 仮想化サポート室 梅田 正行 氏

日本ユニシス株式会社
サポートサービス本部
DXサポート部 仮想化サポート室
梅田 正行 氏

AVS を採用した HITS のクラウド移行に着手した日本ユニシスは、まずは Azure Migrate によるアセスメントを行い、オンプレミス環境から AVS 環境への移行の可否や AVS に必要なリソースを確認しました。同社で VMware 製品を主管しているサポートサービス本部 DXサポート部 仮想化サポート室 梅田 正行 氏は「移行する VM のスペックは、Azure Migrate と VMware vRealize®️ Operations(vROps)で使用量を確認したうえで AVS のサイジングを行いました」と語り、しっかりと検証したうえで移行を行ったことを解説します。

今回のプロジェクトでは、複数の VM を同時に移行することが要件だったこともあり、VMware HCX®️ によるバルクマイグレーションという手法を採用し、移行時間やネットワーク帯域の負荷などを検証。移行後のベンチマークも実行し、AVS 上で既存環境から 30%の CPU 性能向上、IOPSも AVS の最小構成で既存環境以上の性能が出ることを確認したといいます。

「ネットワーク帯域についても、Azure の IaaS 環境で利用している ExpressRoute を使って移行した場合に、他の業務に使っている IaaS 環境に影響を与えないかを検証し、影響のない範囲で移行できることが確認できました」(木村 氏)。

移行の安全性も確認できたことで、バルクマイグレーションによる移行作業が開始され、2021 年 3 月~5 月をフェーズ 1 として、本社データセンターにある VM を対象に移行が進んでいます。6 月からはフェーズ 2 として、豊洲のデータセンターを対象に移行を実施する予定です。今回のプロジェクトでは、立ち上げ当初からマイクロソフトとの定期的なミーティングが実施され、進捗状況や問題の共有と解決案の提示、AVS に関する最新情報の提供などが行われました。木村 氏も「マイクロソフトからテクニカルなアドバイスをもらえたことで、想定どおりスムーズに移行作業を進めることができました」と喜びます。

運用保守の負荷や管理コストの課題を解決、今回の知見を活かし顧客の AVS 導入も支援していく

日本ユニシス株式会社 サポートサービス本部 DXサポート部 DX適用技術二室 櫛田 康平 氏

日本ユニシス株式会社
サポートサービス本部
DXサポート部 DX適用技術二室
櫛田 康平 氏

現在はフェーズ 1 の実行中で、オンプレミスと AVS の両方に VMware 製品による仮想化基盤が混在している状況ですが、運用担当者の人数はむしろ削減できていると塩入 氏。「オンプレで行っていたことがそのままでき、移行・運用も含めて既存の人的リソースを使えるのが大きいです。利用者からのクレームが一切きていないのが、なによりのメリットと感じています」と導入効果を口にします。

木村氏も「5 月中にフェーズ 1 の移行を完了させることで、6 月にある本社データセンターの停電対応が不要になることもコスト・管理の両面で大きなメリットといえます」と語り、確かな効果を実感しています。日本ユニシスでは、6 月からのフェーズ 2 に向けて AVS を現行の 3 ノードから 4 ノードに増強する予定で、今回のプロジェクトを足がかりに自社の DX を加速させていきたいと考えています。

「全社的にも DX の実現に向けて『脱オンプレミス』の方向で動いています。クラウドへのリフト&シフトを進めて、PaaS/SaaS の利活用、クラウドネイティブアプリケーションへのシフトなどにより、さらなるコスト削減やビジネスメリットの最大化を実現したいと考えています」(木村 氏)。

さらに日本ユニシスでは、これまでのビジネスで培ってきた Azure 活用実績と今回のプロジェクトで得た知見を活かし、ユーザー企業への AVS 導入も積極的に展開していく予定だといいます。同社 サポートサービス本部 DXサポート部 DX適用技術二室の櫛田 康平 氏は今後の展望についてこう語ります。

「現在進めている社内システムへの AVS 導入を踏まえて、今後は AVS にマッチするお客様に対して積極的に提案していく予定です。最新ソリューションとなるAVSは頻繁に新機能が追加されているため、最新の動向を常時チェックしてお客様に最適な提案をしていければと考えています。また、日本ユニシスグループでは、AVS の自社導入で蓄積したノウハウと、VMware 製品の構築・保守運用の実績をもとに、「クラウドDXセンター」が提供するクラウド利用支援サービス「CLOUDForesight」において、AVS 関連サービスを提供しております。

提案後は、お客様に対して、オンプレミスの VMware 製品による仮想化基盤からの効率的な移行計画の策定や運用設計などを含めて、Azure VMware Solution 環境の構築/サポートをワンストップで提供させて頂きます」(櫛田 氏)。

マイクロソフトが提供する VMware 製品を使ったプライベートクラウドである AVS は、仮想基盤システムのクラウド移行を検討している企業にとって見逃せない選択肢となります。日本ユニシスでは自社システムへの AVS 導入の経験をもとに CLOUDForesight のサービスとして、ユーザー企業向けの AVS の移行支援サービスからサポートサービスまでをワンストップで提供する、AVS 向け導入支援サービスをリリースしました。Azure をはじめ、マイクロソフトのソリューションを熟知した日本ユニシスが進める、自社システムへの AVS 導入と、その知見を活かしたユーザー企業への展開については、今後も目が離せません。

[PR]提供:日本マイクロソフト