現代のIT・データ社会において、企業の事業継続を支えているデータセンター自体の事業継続は、企業活動を継続するうえで欠かせないものである。1分、1秒たりとも止められないデータセンターは、新型コロナウイルス禍のもとで、いかにノーダウンオペレーションを継続させているのか。今回はアット東京を例にとり、データセンターの業務を継続する環境を構築した人々の取り組み、その舞台裏について、3回の連載で紹介する。

緊急事態! 在宅勤務の環境構築を今すぐに

―まずは、お2人の担当業務について教えてください。

鈴木:システム管理グループに所属しており、社内システムの構築と運用に携わっています。

  • アット東京システム管理グループ 鈴木健太郎主任

    アット東京システム管理グループ 鈴木健太郎主任

熊谷:私も同じです。

  • アット東京システム管理グループ 熊谷玲主任

    アット東京システム管理グループ 熊谷玲主任

―お2人のコロナウイルス禍での対応はいつ頃から始まったのですか?

熊谷:もともとオリンピック開催を視野に入れて動いていたリモートワークの環境構築を、新型コロナウイルスの流行によって、すべて前倒しかつ至急で進めました。

鈴木:その結果、緊急事態宣言の2日後には在宅勤務用のシンクライアント端末の配布、サーバーや当社の社内用Wi-Fiなどのシステムの構築ができて、運用をスタートしました。

  • 至急在宅勤務のシステムを整えたという鈴木主任

    至急在宅勤務のシステムを整えたという鈴木主任

―社内のあちこちから、これだけのパソコンを揃えて環境の構築をするのは相当大変だったのでは、と感謝の声があがっています。

鈴木:今回シンクライアント端末を300台購入しました。こんなときなので普段より時間がかかってしまいましたが、3月半ばくらいに300台調達できました。機器選定などの際には「いま判断しないと在庫がなくなってしまうかもしれない」とか「あの機器のほうがいいのだけれど、入荷するまで何日もかかってしまう、どうするか」など、調達するときの決断も腹をくくって至急の対応が必要でした。

熊谷:頑張って手配しましたが、在宅勤務用の端末は一気に全員に配れたわけではなかったんです。徐々に在宅勤務にシフトしていたので、席に置いておき、その時に出社している人には持ち帰ってもらって、という状況でした。とはいえGW明けくらいには行き渡っていました。

  • 何百台ものPCを手配したという熊谷主任

    何百台ものPCを手配したという熊谷主任

鈴木:ネットワークに関しては、当社だけに限らず、全国的に当社と同じリモートデスクトップサービスを利用する企業が増えたので、当初は契約しているサーバー側がダウンしてしまうということもあり、そのような運用が少し大変でした。でもそれは、熊谷さんが構築したリモート接続環境でだいぶ改善しました。

綱渡りだった環境構築や機器手配。そして「まだか」という社内からのプレッシャー

前回のインタビューでお聞きしたのですが、つなぎの期間はiPhoneのBluetoothを活用して在宅勤務環境を整えたそうで、綱渡りだったそうですね。

鈴木:あのときは緊急事態宣言が出されるぞ、出されるぞと3月末くらいからヒヤヒヤしていて、BPR企画部内の違うメンバーに依頼して調達し、検証してもらった結果それで急場をしのいだんです。

―2、3週間だけでもそれがあって助かったという声が多いようですね。

鈴木:会社としては助かったんですけれど、問い合わせ対応をする側としては大変なこともありました、けっこう苦しかったです(苦笑)。

熊谷:問い合わせを受けて調べているのと同時に新しいリモートデスクトップ環境の構築も急がなくてはならない。全社的にまだかまだかとそういう雰囲気は濃厚に漂っていましたし(苦笑)、プレッシャーがすごかったです。

そして味わった達成感

―達成感、やってよかったなとか思ったことはありますか?

熊谷:アット東京の社員全員が在宅勤務できる環境を整備したということで「達成した!」というのはありました。さらに便利で安心できて、使いやすくしていかなければと思いました。

  • 熊谷主任は在宅勤務環境が整い達成感を感じた

    熊谷主任は在宅勤務環境が整い達成感を感じた

鈴木:自分が担当したので、「Wi-Fiいいね」といった感謝や労いの言葉をもらったときは「やったぞ! (笑)」とやっぱり嬉しいですね。使い始めないとわからないことってけっこうありますから、走りながら調整していくという感じで、各部に役立てるような環境を作っていきたいです。

  • 鈴木主任は担当したWi-Fiへの感謝の言葉に喜んだ

    鈴木主任は担当したWi-Fiへの感謝の言葉に喜んだ

―今回の新型コロナウイルスの流行の対応で、こういうことをモットーとしてやってきた、というのはありますか?

鈴木:一番はスピードです。いつ出社できない状況になるかという危機感がありましたから、できるときにできることをやろう! と思って実行してきました。

熊谷:しいていうなら体調管理です。自分が新型コロナウイルスに罹患しないように気をつけていました。そして季節柄インフルエンザも流行るような季節でしたから、自分がどうしても立ち合いしなくてはいけないときに自分が体調を崩してしまうと、工期が延びてさらに導入も延びてしまうと思い、とにかく体調管理に気をつけました。

社員のリスクを減らすこと、それがミッションクリティカルを守ることにつながる

―最後に何か一言お願いします。

熊谷:社長の意思決定は非常に迅速でした。その指示が出たタイミングで全社一丸となって、かなりのスピード感で対応ができたと思います。そういえば、緊急事態宣言が明けてから個人的な友人と話したとき「テレワークを一回もしなかったよ」という人もいれば平日は「自宅待機」で電話には出られるようにしておいて、平日の出社を減らすかわりに土曜日に出勤というようなやり方だ、という人もいました。当社は引き続き在宅勤務がメインなので、社員のことを大事にしてくれているというのはあらためて感じました。

  • ミッションクリティカルも健康から、と語る熊谷主任

    ミッションクリティカルも健康から、と語る熊谷主任

鈴木:当社社員のリスクを減らして、命と健康を守ることに役立てたのならとても嬉しいです。そもそも私たちデータセンター事業者側がしっかりしていないとお客さまに迷惑をかけてしまいますから、私たちの「ミッションクリティカル」を保つことの役に立てたということにもなると思うと、苦労はたくさんありましたが、やってよかった、と思いますね。

  • 苦労はあったがやってよかった、と笑う鈴木主任

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