キヤノンITソリューションズが年に1度実施する全社的DX推進イベントが、今年もオンラインにて6月10日〜13日の4日間開催される。5回目となる「キヤノンITソリューションズ 共想共創フォーラム2025」(以下、共想共創フォーラム2025)のテーマは「デジタルを超えて 〜ビジネスイノベーション成功の鍵を探る〜」だ。本稿では、テーマに込められた思いや、イベントの見どころについて担当者に話を聞いた。

ビジネスイノベーションに至る挑戦の途上にある企業が多い現状と解決策を探る

同社が2024年に実施したDXに関するアンケート調査では、デジタル化について一定の成果を得ていると答えている企業が多い一方、トランスフォーメーション、すなわち新たなビジネスモデル構築や競争力強化といった変革への挑戦はまだこれからと答えている企業も多かった。

このため、今年も共想共創フォーラムまでに同様のアンケート調査を行い企業の取り組みや昨年との違いを明確にする予定だ。同社の感触によると、企業での生成AIの本格活用やデジタル化を推進する流れは、留まることなく加速しているとのこと。いまこそ、デジタル化の推進力をトランスフォーメーションにシフトさせていく動きがより求められていると言っていいだろう。

では、日本企業がデジタル化を超えてトランスフォーメーションへのシフトをなかなか実現できない理由はどこにあるのだろうか。組織能力、セキュリティ、トップの意思、人材不足、ITインフラやスキル、パートナーとなるSIerとの関係性……など、課題は多岐にわたるだろう。その課題と解決に向けたアイデアや事例を、共想共創フォーラム2025を通じて見つけ出してほしい、というのがキヤノンITソリューションズの想いだ。

経営層から現場担当まで多様な視点から語られる25のセッション

共想共創フォーラム2025は、基本的には昨年のフォーラムを踏襲しつつ、この1年で急速に進化したAIをはじめとするITのトレンドを捉えてブラッシュアップし、各セッションにそれらの要素を盛り込むかたちで全体のプログラムを設計している。

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フォーラムの情報ページは、蝶の画像がキービジュアルとして使われている。ここには、蝶の小さな羽ばたきがやがて大きな風になるように、顧客の課題を解決して、社会をより良い方向に導いていくという想い、顧客企業の変革に寄り添っていきたいという同社の想いが込められているという。

キヤノンITソリューションズ株式会社
代表取締役社長 金澤 明 氏

フォーラムは、基調講演、特別講演、そしてより具体的な内容のセッションという3種類のカテゴリーで構成される。まず基調講演は、同社代表取締役社長の金澤明氏が、マイナビ TECH+編集長の小林行雄と対談するかたちで行う。顧客のビジネスにどう寄り添い、どのように貢献していくか、その取り組みの根本を語るセッションになる予定とのことだ。

この基調講演は、4日間すべての日程で冒頭に配信されるため、会期中どの日から参加しても視聴しやすい構成となっている。

特別講演は外部の著名な有識者・専門家が登壇し、それぞれが専門とする分野について話してもらうかたちだ。そしてより具体的な内容の各セッションでは、キヤノンITソリューションズの詳細な提供価値にフォーカスし、特定の分野における課題解決の提案や事例紹介などを行う。

経営層や経営企画部門などに向けたセッションから、実際に現場でDX・IT活用を推進する担当者に役立つセッションまであり、幅広いレイヤーがターゲットになっている。

各日に設定されたテーマ

4日間の各日にはそれぞれテーマが設定されている。

まずDAY1は、「デジタルを超えて 〜ビジネスイノベーション成功の鍵を探る〜」というフォーラム自体のメインテーマの解像度を上げ、そのうえでビジネスイノベーションのイメージ醸成につながる特別講演やセッションが用意されている。

DAY2は、「製造業におけるビジネス変革」というテーマを掲げている。ここでは製造業の設計をはじめとする一連の業務プロセスの効率化・最適化、サプライチェーンマネジメント、エンジニアリングチェーンなどについて、DX、人材不足といった具体的課題を基にしたセッションが並んでいる。

DAY3は、「イノベーションを支える堅牢なセキュリティとITインフラ」をテーマに、変革を起こすための足元の強化、業務環境の整備に際し、想定されるリスクへの対応やセキュリティ対策のポイントを解説する。加えて、セキュリティ及びインフラに関する課題解決とイノベーションをサポートする多様なソリューションについても紹介していく。

そして最終日のDAY4は、金融、教育関連において先進技術による変革の重要性を示したうえで、DX・イノベーションと共想共創ストーリーの具体例を紹介するセッションが展開される。

注目のセッション

多彩なコンテンツが並ぶ本イベントだが、なかでも注目度の高いセッションにクローズアップしてみる。

まずDAY1では「BPO×ITの最適解は『内製化』だった ~事業部門でのローコード開発~」が挙げられる。キヤノンITソリューションズは長きにわたりローコード開発ツールを提供しており、実際にBPO組織における事例を交えながら、ローコード開発がDXにどう寄与するのか解説していく。

DAY2では、特別講演「データから価値を創出する 最適化とAIが支える意思決定の新時代」がとりわけ注目。これは、京都大学 大学院情報学研究科の鹿島久嗣教授と、キヤノンITソリューションズでDXコンサルティングを担う中尾芳隆氏が対談するプログラムで、企業の意思決定において数理最適化とAI(機械学習)の活用がどのように役立つかを深掘りしていく。

DAY3からは2つ。まず1つ目は、「なぜ今クラウドセキュリティなのか?自社に最適なセキュリティ戦略を考える」で、近年発生が増えているクラウドのセキュリティインシデントに着目し、同社サイバーセキュリティラボの社員が最新のトレンドも取り入れながら話を展開する。もう1つは、「AI急増に応える 液冷方式サーバ冷却サービス」で、同社がこのほど初めてスタートした、液冷方式によるデータセンターのサーバ冷却サービスについて紹介する。液冷方式はサーバやIT機器の高集積化に対応し、AIをはじめ最新技術を効果的に搭載できるようにする仕組みで、AI活用等を積極的に進めたいと考える企業にとって有意義なコンテンツとなるだろう。

最終日のDAY4は、外部の有識者・専門家が登壇する注目のコンテンツが目白押し。その中であえてピックアップすると、住友生命保険相互会社 エグゼクティブ・フェローの岸和良氏が登壇する「ビジネスイノベーションを創出できるDXの条件 ~戦略・組織・技術の三位一体の変革~」は見逃せない。岸氏はデジタルを活用して健康増進につなげる新たな発想の保険商品を生み出すなどDX及びDX人材の育成を実践しており、その知見と経験はビジネスイノベーションの参考になるだろう。セッションは、岸氏と、キヤノンITソリューションズ ビジネスイノベーション推進センターの南本肇氏が対談するかたちで進められ、DXに関するトータルなアイデアやヒントが得られるに違いない。

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“共想共創”のコンセプトをさまざまなシーンで発信するキヤノンITソリューションズは、顧客や、パートナー企業と一緒にDX・ビジネスイノベーションを起こしていくという姿勢を世に伝えたいと考えている。共想共創フォーラム2025も、多くの企業がビジネス変革を実現していくための多彩なヒントをつかみ、その先で“共想共創”を進めていくきっかけを得る場になるはずだ。是非、参加してみてはいかがだろうか。

「キヤノンITソリューションズ共想共創フォーラム2025」
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