2023 年 5 月 23 日から 6 月 30 日にかけて、4 都市で開催された「Google Cloud Day 2023」。東京は全セッションオンラインでライブ配信され、DAY 3 の 5 月 25 日にクラウドエース株式会社 技術開発部 SRE の北野 敦資氏による「内製化支援プログラム(TAP)を使った PaaS 活用とモダン開発」と題する講演が行われた。そこでは、Google 社が推奨するリーズナブルな内製化支援プログラム(TAP)を活用し、開発のスピードや品質の向上を実現した成功事例を紹介するとともに、モダンな開発の在り方が示された。
モダナイゼーションの奥義。その必要性と実践に立ちはだかるハードル
Google Cloud のマネージド サービス プロバイダであるクラウドエースは、システム開発やエンジニア育成、テクニカルサポートなどを手掛けている。同社では、2022 年 12 月よりアプリケーションシステムのモダナイゼーションを支援する新たなサービスの提供を開始した。北野氏はまず、モダナイゼーションとはどのようなものなのか、なぜモダナイゼーションが必要なのかについてあらためて言及した。
たとえば、古いレガシーなシステムを使い続けた場合には、いくつかの問題が生じることとなる。具体的には新しい機能を開発しようとした際に、別の機能への影響を考慮する必要があり、先にバグ修正をするなどして、リリースまでに時間がかかってしまったり、あるいは運用時の障害で深夜に対応しなければならなかったりといったケースが挙げられる。
北野氏は言う。「煩雑な工程が多く生じてしまうと、新機能の開発に二の足を踏んでしまうこともあるでしょう。このように“システムに人が使われる”ようになってしまうと、新たなビジネスのニーズにも対応しきれなくなってしまうのです」(北野氏)
そこで、こうしたレガシーなシステムの課題を、アプリケーション・モダナイゼーションのアプローチで解決することになる。たとえばマネージドサービスを活用することで、万が一システムが停止した場合にも、自動的に復旧を行ってくれるオートヒーリング機能が使えるようになる。これがあれば、システム障害時に深夜に叩き起こされるといった運用上の課題も解決できることだろう。
また、マイクロサービスの設計思想を取り入れることで、システム間の連携が疎結合になるため、新機能開発にリソースを集中させることが可能になり、スムーズな開発が行える。さらに、IaC や CICD といった運用の思想を取り入れれば、リリースを素早く確実に、かつ自動的に行うことができるはずだ。
このように、モダナイゼーションのアプローチを活用することによって、レガシーなシステムを変革することが可能となるわけだが、一方でモダナイゼーションをしようとしたときに、スキル的なハードルが立ちはだかっているのも事実だ。このハードルは大きく 2 つあり、まず 1 つが、モダナイゼーションとは何かをしっかりと理解したうえで開発を進めていく必要がある点だ。そしてもう1つは、ツールについても詳しい知識が必要な点だ。たとえば、インフラ基盤が Google Cloud であるならば、モダナイゼーションさせるためには Google Cloud に関してそれなりの知識が求められる。
モダナイゼーションを体験できる「TAP」と、内製化支援「AppMod」
モダナイゼーションに立ちはだかるハードルを乗り越えるために北野氏は、「まずは開発体験を通して、本当にモダナイゼーションが使えるのかどうかを判断することが重要になってきます」と話す。
そこで同氏が活用を推奨するのが、グーグル・クラウド・ジャパンが昨年より提供を開始した内製化支援プログラム「Tech Acceleration Program(TAP)」だ。TAP はアジャイル型の開発支援ワークショップであり、同社のオフィスで開催されている。プログラムは、まずカスタマーエンジニアからモダナイゼーションに必要な知識を学び、そこからカスタマーエンジニアのサポートを受けながらアーキテクチャ設計などを行い、参加者が実際に手を動かしながらプロトタイピングを行っていくといった内容だ。この TAP にはクラウドエースも参加しており、開発・運用に必要となる非機能要件の提案や、設計するアドバイスなどを行っている。
TAP の開発体験をして、実際にモダナイゼーションを実行しようとすると、基本設計書や詳細設計書、運用マニュアルなどの作成が必要となってくるため、開発を支援してくれるパートナーが欲しいというニーズを持つユーザー企業も多いだろう。そうしたニーズに応えるためにクラウドエースが提供するのが、内製化支援サービス「Cloud Booster for AppMod(以下、AppMod)」である。
AppMod は、システム開発のフェーズを要求定義、開発、運用の3つに分けると、要求定義の領域にあたり、顧客のニーズに沿ってプロトタイピングをしながらアーキテクチャ設計支援を行うサービスだ。「システム設計支援」、「システムのモダナイゼーション」、「セキュリティ強化」と、大きく 3 つの支援プログラムを備えている。
「プロトタイピングをしながら機能を検証するという、まさに PoC によって実際にモダナイゼーションしてみることで、ビジネス上の課題を解決できるシステムなのかどうかを確認できます。それに加えて、自分たちがどのように構築するのか、本番リリース時にはどのようなサービスになるのかが明確になるので、スムーズな開発が行えるようになります」(北野氏)
要件定義から開発・運用フェーズまで、クラウドエースが一気通貫で
AppMod のサービスの流れとしては、最初にヒアリングを行い、その内容に基づいてプロトタイピングを実践する。さらにその後は実際の開発をどのように行うのかといった具体的な計画を描いていくこととなる。
「ヒアリングでは、お客様のビジネス課題を伺ったうえで、何を作りたいのか、もしくは今動いているシステムやアプリケーションにどういった問題があるのかを明らかにします。そしてその内容をもとに、具体的にどのようなシステムを作るのかを、プロトタイピングを通じて決定していきます。PoC の結果をふまえて、本番環境の開発をどのように進めていくのかを当社のエンジニアと一緒に計画を練っていき、システム設計の際には、モダナイゼーションのアプローチを用いて、どのようなシステムを購入するのか、新しく作る場合にはどういったシステムになるのかを一緒に考えていきます」(北野氏)
AppMod を活用することで、ビジネス課題の解決策が提示されてスムーズな開発へとつなげることができるとともに、システムの開発に必要となる技術の習得も行えるようになる。さらに、ヒアリングの段階からプロトタイピングに至るまで、チーム全員で開発を進めていくことで、開発メンバー間の連携強化も図ることができる。
要求定義の AppMod 後の開発・運用フェーズでも同社はさまざまな支援サービスを提供している。たとえば、リリース後の改修を見据えて自社で開発を行いたいというケースでは伴走型開発支援サービス「クラウドブースター」、スピードを重視して 1 から全て構築を委託したいというケースでは受託開発サービス、さらに運用フェーズにおいて 24 時間 365 日の対応が必要となった際には、テクニカルサポートなど、開発から運用までのすべてのフェーズを一気通貫して提案が行えるのである。
ビジネスニーズに迅速に応えられる経営のカギとなる AppMod
セッションの終盤に北野氏は、モダンなインフラ構成におけるセキュリティ強化支援を行った事例を紹介した。そこでは、インフラの管理におけるセキュリティ課題の解決の提案と合わせて、CICD Pipeline およびシステム構成といったソフトウェアのプラクティスの導入も合わせて提案している。それにより、オペレーションのミスを防ぐのに加えて、リリースの自動化による運用管理工数の削減も実現されている。
「このように、セキュリティに関する提案であっても、最新のモダナイゼーションのアプローチを用いた運用改善までを提案していくのが AppMod のサービスとなっています。皆さんがビジネスチャンスを確実に掴み、より素晴らしい会社経営を実現できるよう、ぜひ AppMod をご活用ください」と、北野氏は呼びかけてセッションを締めくくった。
「Google 推奨! 内製化支援プログラム(TAP)を使った PaaS 活用とモダン開発」
クラウドエース株式会社 技術開発部 SRE 北野 敦資 氏 アーカイブ配信はこちらから
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