クリエイティブ系の業務などで使用されることの多い高性能なコンピューター「ワークステーション」。普通のPCに比べてデータ処理や描画が速そうという漠然としたイメージは持っていても、具体的にどう違うのか、何ができるのかがよく分からない……という人は少なくないはず。なかには、業務で使用するにあたってPCとどちらを導入するか迷っている人もいるだろう。

そこで今回は、マウスコンピューターのコンテンツ作成向けワークステーション「MousePro-W997ST04-01」を例にとり、一般的なPCとの違いや、どんな使い方に向いているのかなどを詳しく紹介していく。ぜひ参考にしてみてほしい。

  • マウスコンピューターのコンテンツ作成向けワークステーション「MousePro-W997ST04-01」と23.8型液晶ディスプレイ「ProLite XUB2492HSU-B5K」

ワークステーションとPCでは搭載されているパーツが大きく異なる

マウスコンピューターの「MousePro W」シリーズは、CG制作や映像編集、CADなどに適した性能を持つコンテンツ作成向けワークステーションだ。今回試した「MousePro-W997ST04-01」はそのベースモデルで、同社直販サイトでは346,280円(税込)〜で販売されている。

この価格だとハイエンド向けのデスクトップPCも視野に入ってくるため、どちらを選ぶべきかで頭を悩ませてしまいがち。実際、CG制作や映像編集に携わるクリエイターの中には、ワークステーションではなく一般的なPCを使っている人もいる。では、こうした一般向けハイエンドPCとワークステーションでは何が違うのだろうか。

「MousePro-W997ST04-01」のスペックを見ると、CPUにCoreプロセッサーではなく「Xeon Silver 4216」というプロセッサーが採用されていることが分かる。グラフィックスはNVIDIA GeForceシリーズではなく「NVIDIA T400」だ。メモリは標準で32GBも搭載されているが、スペック表には一般的なPCではあまり見かけない「Registered ECC」という記載がある。

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▼MousePro-W997ST04-01のおもなスペック
CPU intel Xeon Silver 4216 プロセッサー(16コア/32スレッド/最大3.20GHz) 1基
グラフィックス NVIDIA T400(GDDR6 4GB)
メモリ 32GB(8GB×4、DDR4-2933 / Registered ECC)※CPU1基搭載時最大64GB、CPU2基搭載時最大128GB
ストレージ 512GB M.2 SSD(NVMe Gen3×4 / SAMSUNG PM9A1)
OS Windows 10 Pro for Workstations 64ビット

採用されているパーツが、ワークステーションと一般的なPCでは大きく異なっているのがポイントと言えそうだ。

  • マウスコンピューターの「MousePro-W997ST04-01」。見た目は一般的なタワー型のデスクトップPCとあまり変わらないが、搭載されているパーツは大きく異なっている

処理能力だけでなく信頼性や安定性の高さもワークステーションの特徴

それでは、ワークステーションが搭載するパーツについてもう少し詳しく見ていこう。

▼CPU
MousePro Wシリーズが搭載するインテル Xeonプロセッサーは、ワークステーションやサーバーなどの業務用に特化されたCPUだ。一般的なCoreプロセッサーに比べてコア数が多く並列処理に強いのが特徴で、1台のマシンに複数のCPUを搭載できる「マルチプロセッサー」にも対応している。

MousePro Wシリーズの場合、上位モデルの「MousePro-W997ST04-02」や「MousePro-W997ST04-03」だとBTOカスタマイズでインテル Xeon Gold 6240プロセッサーを2基搭載することが可能。同CPUは1基で20コアあるので、2基搭載した場合は20コア×2CPU=40コアとなる。そのため、CPUを増やすほどマルチスレッドに対応した動画エンコードなどの処理をより高速に行うことができる。これはCoreプロセッサーのようなコンシューマー向けCPUにはないメリットだ。

  • 「MousePro-W997ST04-01」には、16コア32スレッドのインテル Xeon Silver 4216 プロセッサーが搭載されていた

また、Xeonは後述するように、より信頼性の高いECCメモリにも対応しており、システムの異常終了などのリスクを減らすことができる。安定稼働が求められる業務には欠かせないプロセッサーだと言える。

ちなみに処理速度については、ベースモデルの「MousePro-W997ST04-01」の場合、ベンチマークテストのCinebench R23のマルチコアテストで13521ptsというスコアになった。これは第11世代Core i7-11700Kと同じくらいのパフォーマンス。スコアだけを見ると最新のCoreプロセッサーに対する優位性は小さいように見えるが、Xeonの場合はコア当たりの動作周波数が控えめなぶん安定性や信頼性を重視した設計になっているため、長時間稼働しても発熱などによる性能低下が少なく高いパフォーマンスを維持しやすいというメリットがある。

  • エントリーモデルのXeon Silver 4216 プロセッサー(16コア/32スレッド/最大3.20GHz)を1基搭載した「MousePro-W997ST04-01」のCinebench R23の結果。マルチコアテストで13521ptsという結果になった

▼グラフィックス
グラフィックスはCPUに内蔵された統合型グラフィックス(iGPU)と、CPUとは独立したグラフィックボードに搭載されたディスクリートグラフィックス(dGPU)、マシンにケーブルでつなぐ外付けグラフィックボード(eGPU)などの種類がある。

このうち、負荷の高いグラフィックス処理を行う際に欠かせないのがdGPUだ。PC向けなら、NVIDIA GeForce GTX/RTXシリーズが代表的な製品。ワークステーションの場合は現行モデルだとNVIDIA RTX AシリーズやNVIDIA Tシリーズなどがあるが、旧シリーズ名にちなんで「Quadro」と総称されることが多い。「MousePro-W997ST04-01」に搭載されているNVIDIA T400もQuadro系のグラフィックスだ。

Quadro系とGeForce系とでは、次のような違いがある。

▼Quadro系とGeForce系の特徴
ブランド名 Quadro GeForce
主な搭載端末 ワークステーション 一般的なPC
API OpenGLに最適化 DirectXに最適化
色数 約10億7374万色(10bit) 約10億7374万色(10bit)または約1677万色(8bit)
※モデルやドライバーによる
主な用途 クリエイティブ、医療 ゲーム

3DCGやCAD、映像編集、デザインといったクリエイティブ分野や医療分野などでは、OpenGLを採用する業務アプリが多く描画の精度も求められるため、早くから10bit出力に対応してOpenGLに最適化されていたQuadro系の支持が高い。

  • 「MousePro-W997ST04-01」には、描画の精度に定評のあるQuadro系のNVIDIA T400が搭載されている

一方、ゲームなどの描画の速さが求められる分野では、動画や画像などのコンテンツ表示を効率よく行えるDirectXに最適化されたGeForce系が主流だ。

もっともQuadroはOpenGLだけでなくDirectXもサポートしており、GeForceもOpenGLをサポートしているため、いずれかの用途でしか使えないというわけではない。またGeForceシリーズは2019年からは一部モデル(GeForce 10/16/RTX20シリーズ以降など)で10bit出力のサポートを開始しており、色数についてはQuadroと肩を並べるようになっている。

そのためクリエイティブ系でもGeForceシリーズの活用は広がってきているが、業務によってはまだまだQuadroのアドバンテージが高いため、ワークステーションではQuadro系を搭載する製品が少なくない。

▼メモリ
ワークステーションでXeonを採用する理由のひとつに、ECCメモリのサポートがある。ECCとはError Checking and Correcting(誤り訂正符号)の略で、メインメモリで発生したエラーを検出して訂正する機能。非対応だと、ごく稀ではあるが、そのエラーが原因でシステムやソフトウェアが不安定になって異常終了することがある。

インテル製のコンシューマー向けCPUは長らくECCに非対応だったため、長時間稼働を想定したワークステーションやサーバでは、XeonとECCメモリの組み合わせが採用されることが多かった。今回試した「MousePro-W997ST04-01」の場合も、スペック表にあるようにECCに対応したメモリを搭載している。容量は標準で32GB、最大でCPU1基につき64GBまで搭載可能で、CGレンダリングや動画編集のようにメモリ容量が生産性に直結しやすい業務も快適に行うことができる。

  • 「MousePro-W997ST04-01」に搭載されているメインメモリ。レジスタードバッファと呼ばれるチップが搭載されており、メモリで発生したエラーを訂正することができる

なおインテル Coreプロセッサーの場合、第12世代以降はECCをサポートしており、チップセット次第ではECCメモリを使用できるようになった。そのためエントリー向けのワークステーションでCoreプロセッサーを採用した製品も登場しつつある。

▼ストレージと拡張性
ストレージも業務の効率に大きく影響する要素のひとつ。ワークステーションの場合も一般的なPCと同様に製品によって搭載するストレージの種類や容量などはまちまちだが、OSや業務用アプリをインストールするメインストレージにはデータ転送速度が高速なSSDを選んだ方がストレスは少なくなる。「MousePro-W997ST04-01」の場合は、標準で512GBのM.2/NVMe SSDが搭載されている。ベンチマークテストを実行してみたところ、シーケンシャルリードが3200MB/s前後と高速だった。

  • 「MousePro-W997ST04-01」に搭載されているSSDは、規格上はPCIe Gen4に対応した「SAMSUNG PM9A1シリーズ」。ただし、Xeon Silver 4216がPCIe Gen3までの対応のため、接続もPCIe Gen3×4となっている

  • CrystalDiskMarkで「MousePro-W997ST04-01」のストレージをテストした結果。シーケンシャルリードはPCIe Gen3の上限に近い3200MB/s前後と非常に高速

BTOでは、容量を1TBや2TBにアップしたり、3.5インチHDDを最大4台まで搭載することができる。4Kや8Kの動画編集のように大容量データを扱う業務には頼もしいポイントだ。

ちなみに、「MousePro-W997ST04-01」が搭載するワークステーション用のOS「Windows 10 Pro for Workstations」は、ファイル管理の仕組み(ファイルシステム)としてPCで標準的なNTFSに加え、より耐障害性やパフォーマンスの高い「ReFS(Resilient File System)」をサポートしている。データ保存用のボリュームをReFSにすることで、障害が発生した際に被害を最小限にしたり、破損ファイルを救出したりできる。これも現在のところPCにはないワークステーションならではのメリットだ。

このほか拡張性が高い製品が多いのもワークステーションの特徴。「MousePro-W997ST04-01」も豊富な拡張スロットを備えており、業務に合わせてさまざまな機能を追加することができる。たとえばBTOではデジタルシネマ規格のDCI 4K(フル4K)でのキャプチャや再生に対応したBlackmagic Design DeckLink 4K Extreme 12Gを選択することが可能。これだけ性能や拡張性が高くても、ワークステーション分野で実績のあるスーパーマイクロ社製のケースを採用しているため、内部パーツを効率的に冷却して長時間の安定稼働を実現しているのも同製品の魅力的な部分だ。

  • 「MousePro-W997ST04-01」のケース内部。2基のケースファンや排気を考慮したデザインのCPUファンなどが搭載されており、拡張性だけでなく冷却性能も高い

  • 本体前面には、USB 3.0 Type-A×2、マイク入力/モノラル×1、ヘッドホン出力×1が搭載されている

  • 本体背面には、USB 3.0 Type-A×4、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.1 Type-A×1、LAN×2、マイク入力×1、ラインイン×1、ラインアウト×1、リアスピーカー×1、センター・サブウーファー×1、SPDIF/オプティカル/角型×1が搭載されている。また、mini DisplayPort×3も搭載されている(グラフィックスカードがNVIDIA T400の場合)

負荷の高いクリエイティブ系業務を長時間行う人におすすめ

ここまで見てきたように、ワークステーションは一般的なPCに比べて処理性能だけでなく、信頼性や安全性の高いパーツを採用しているのが大きな特徴だ。マウスコンピューターの「MousePro-W997ST04-01」もそのひとつ。拡張性・冷却性能に優れたケースにXeonプロセッサーやQuadro系グラフィックス、ECCメモリなどの信頼性の高いパーツを搭載しており、負荷の高いクリエイティブ系業務を安心・快適に行うことができる。

そのぶん導入コストは高めだが、コンテンツ制作の現場から見ると長時間連続稼働させるような場合でも安定したパフォーマンスを維持できるのは何ものにも変えがたい魅力に映る。3DCG制作でレンダリングしている最中や動画のエンコード中にソフトウェアのクラッシュや熱暴走などで止まってしまうと、せっかくのデータが消えてしまったり、作業がやり直しになってしまう場合もあるからだ。

そのため、高負荷な4Kノンリニア編集や3Dコンテンツの制作、OpenGLを採用する3DCADなどの業務には、コンシューマー向けパーツを採用したハイエンドPCよりも「MousePro-W997ST04-01」のようなワークステーションの方がおすすめだ。とくにレンダリングなどで何日間も連続稼働させるような過酷な現場では恩恵が大きいはずだ。

導入にあたって心配なのが業務にあった性能や機能が得られるかどうかだが、マウスコンピューターの直販サイトでは標準構成のうちメモリやストレージの容量を変更したり、より高性能なQuadro系グラフィックスを選択することも可能。周辺機器などのオプションも用意されているので、業務内容やニーズに合わせてカスタマイズしてみてはいかがだろうか。

  • 安定したパフォーマンスが魅力的なコンテンツ作成向けワークステーション「MousePro-W997ST04-01」

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マルチモニターやサブモニターに使いやすい「ProLite XUB2492HSU-B5K」

マウスコンピューターの直販サイトでは、ワークステーションに接続して使うのに適したディスプレイも数多くの製品が販売されている。今回、「MousePro-W997ST04-01」とともに試用した液晶ディスプレイ「ProLite XUB2492HSU-5K」は、23.8型フルHDのIPS方式パネルを採用したモデル。3辺フレームレスフラットデザインを採用しているため、複数のモニターを並べた際もベゼルがジャマになりにくく、マルチモニターやサブモニターとしても使いやすいのが特徴だ。

  • 23.8型フルHDノングレア液晶ディスプレイ「ProLite XUB2492HSU-5K」

映像入力はD-SubとHDMI、DisplayPortの3系統が用意されており、ワークステーションだけでなく一般的なPCと接続して切り替えながら使うことも可能。またUSBハブ機能も搭載しており、ディスプレイのUSBポートに周辺機器をつないでワークステーションやPCで使用することができる。

  • 映像入力はD-SubとHDMI、DisplayPortの3系統が用意されている。またUSBハブ機能も搭載している

スタンドは最大150mmの高さ調節、上方向23°、下方向5°のチルト調節、画面を縦向きにできるピボット、画面の向きを左右各45°動かせるスウィーベルなどの機能を搭載しており、設置場所に合わせて画面位置を見やすく調節することも容易だ。

  • 高さ調節機能やチルト調節、スウィーベルなどで画面を見やすい位置に調節することができる

マウスコンピューターの直販サイトでは「MousePro-W997ST04-01」のBTOオプションとして一緒に購入することもできる。ほかにもサイズや解像度などが異なるディスプレイが複数用意されているので、用途に合わせて検討してみてほしい。

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[PR]提供:マウスコンピューター