MATLAB、Simulinkの世界最大級の総合テクノロジーカンファレンス「MATLAB EXPO 2023 Japan」が5月31日にグランドニッコー東京 台場でいよいよ開催される。今年は昨年までと違い、オンライン配信のないリアル開催のみとなった。講演内容はもちろん、新たな企画も追加され、よりパワーアップしたMATLAB EXPOを体感することができる。見どころを紹介しよう。

人類の未来を変えるプロジェクトを支えてきた、エンジニアと科学者の取り組みを紹介

EXPOの全体テーマは「エンジニアと科学者が世界を変える」だ。近年のさまざまな産業界の動向からもわかるように、エンジニアと科学者の役割は高くなる一方だ。MathWorks Japanの大塚 慶太郎氏はこう話す。

  • MathWorks Japan アプリケーションエンジニアリング部 シニアチームリーダー 大塚 慶太郎 氏

    MathWorks Japan
    アプリケーションエンジニアリング部
    シニアチームリーダー 大塚 慶太郎 氏

「人類の未来を変えるプロジェクトはエンジニアと科学者が支えてきました。NASAなどによる宇宙の探索はもちろん、クリーンエネルギーの生成、カーボンニュートラルの実現、スマート農業、高度な医療機器など、現在の産業の発展にもエンジニアと科学者は欠かせません。MATLAB、Simulinkはそうしたエンジニアと科学者の取り組みを支えており、AI、宇宙、無線通信、電動化、ロボティクスといった先端技術分野から、リスキリングに代表される人材育成に関する取り組みまで、さまざまな領域で活用が広がっています。今年のMATLAB EXPOでは、人間の知識を広げ、より良い暮らしを実現するエンジニアと科学者の取り組みを、基調講演と5つの基本トラック、4グループ16の展示で紹介します」(大塚氏)

基調講演は、エンジニアと科学者の役割に迫る内容となる。MathWorksのArun Mulpur氏が「ムーンショット:いかにしてエンジニアと科学者たちは不可能を可能にするか」と題して、人類初の月面着陸というムーンショットが産業界にもたらした効果や、現在の様々な課題、例えばクリーンエネルギーの生成、高度な医療機器の開発、火星旅行、宇宙探査などにMATLAB、Simulinkがどう活用されているのかを紹介する。達成困難なプロジェクトにどう取り組めば良いかヒントを与えてくれるはずだ。

「広がるモデルベースデザイン」から「リスキリングと人材育成」まで5+1トラックで構成

ユーザー基調講演では、三菱重工業の増子 洋一郎氏が「航空機開発におけるMBSE/Model-Based Designの適用は進んでいるのか」と題して、複雑化する航空機開発の現場でモデルベースデザイン(MBD)をどう活用しているのか事例として紹介する。

ブレイクアウトセッションは、カテゴリーごとに5つの基本トラックと1つの特別トラックで構成する。5つの基本トラックは「自動運転とロボティクス」「機械学習とディープラーニング」「宇宙と無線通信」「広がるモデルベースデザイン」「パワーエレクトロニクスとエネルギーマネジメント」だ。さらに今年は追加で「リスキリングと人材育成」が実施される。

「『自動運転とロボティクス』や『パワーエレクトロニクスとエネルギーマネジメント』は、MATLAB、Simulinkの代表的なユースケースと言えるものです。注目いただきたいのは、活用領域がさらに広がっていること。たとえば、『自動運転とロボティクス』では、自動車はもちろんドローンや空飛ぶクルマなどの活用事例を紹介します。また、『パワーエレクトロニクスとエネルギーマネジメント』では、EV用バッテリや電動パワートレインの取り組みを紹介します。『機械学習とディープラーニング』は近年より注目を集めている領域です。これまでもさまざまな活用事例を紹介してきましたが、今年は、農業機械への適用事例や、ブレーンコンピュータインターフェース(BMI)での取り組み事例など、社会実装が進んでいることや未来に向けた先端的な取り組みを紹介します。『宇宙と無線通信』は数年ぶりに復活したカテゴリーです。民間主導の宇宙開発が大きく進展するなか、ロケット開発やミリ波帯通信、ローカル5Gの取り組みを紹介します。『リスキリングと人材育成』は、新しいカテゴリーとして実施するものです。ベテラン人材のリスキリングに取り組んだ事例など、多くの企業が直面している人材の課題に対して、MATLAB、Simulinkが果たす役割を紹介します」(大塚氏)

「空飛ぶクルマ」「宇宙ロケット開発」「リスキリング」など注目セッションが目白押し

どのセッションも見逃したくない内容となっているが、ここでは5つのカテゴリーごとに注目セッションを1つずつ挙げておきたい。

『自動運転とロボティクス』では、SkyDriveによる「空の移動革命への挑戦 ~日本発 空飛ぶクルマと物流ドローンの挑戦~」だ。空飛ぶクルマの開発事例を聞くことができる。

『機械学習とディープラーニング』では、農業・食品産業技術総合研究機構による「画像認識AIとLiDARを用いた農業機械周辺における人検出」だ。特定のドメインの専門家がAIをどう活用していくのかを知ることができる事例だ。

『宇宙と無線通信』では、インターステラテクノロジズによる「宇宙産業の展望と民間企業によるロケット開発」だ。民間ロケット開発と打ち上げの現場でMATLABがどう活用されているかが紹介される。

『広がるモデルベースデザイン』では、トヨタ自動車による「市場の実操作を考慮したドライバビリティ評価プロセスの開発」だ。自動車の制御だけではなく、ドライバビリティの性能評価などにMBDが活用されていることを知ることができる。

『パワーエレクトロニクスとエネルギーマネジメント』では、本田技研工業による「電動車用バッテリの内部抵抗モデルパラメータ同定におけるMATLAB適用事例」だ。バッテリ挙動だけでなく、車一台分のエネルギーマネジメントを含めてシミュレーション可能なモデルを構築した事例だ。

『リスキリングと人材育成』では、豊田自動織機による「平均年齢55歳!ベテラン人材のリスキリングからはじめたデジタル人材育成の紹介」だ。若い人だけでなく経験豊富で現場や実務に精通したベテラン人材含め、全社員に対してデジタル化推進を目指した取り組みを紹介する。

講演者との意見交換会、ハンズオン・ワークショップなど新企画にも注目

今年は来場型の開催のため、ブース展示や会場でのさまざまなイベントが充実していることも大きな注目ポイントだ。

「最近、MathWorksの社員がお客様とフィジカルに接する機会が増えました。そのなかで『直接会話できてよかった』『お互いの顔を見て立ち話することがアイデアにつながった』といった声を多くいただくようになりました。直接会って対話していくことが新しい何かを生み出すことにつながります。今年のMATLAB EXPOではその流れを加速させていきたいという思いを込めて、リアル開催のみとしました。加速させていく仕掛けとして、新しい企画もスタートしています」(大塚氏)

新しい企画の1つには、講演後に講演者と直接話ができる「意見交換会」の実施がある。講演会場の中に専用の場所を設け、ラウンドテーブルミーティング形式で20分程度意見を交換することができる。短時間の挨拶や名刺交換だけで終わらず、より深くディスカッションすることが可能だ。参加には事前申し込みが必要である。

ほかには、ハンズオン・ワークショップの実施だ。10数年ぶりに行われるもので、専任講師が付いてMATLABの機能やソリューションをじっくりと学ぶことができる。テーマごとに「【初心者歓迎】MATLABでGUIアプリ作成体験会」「System Composerによるシステムアーキテクチャモデリング」「体験!RoadRunnerではじめるADAS・自動運転シミュレーション環境構築」の3つが開催される。こちらも事前申込制だが非常に人気のあるセッションなので、抽選になる。

このほか、女性の技術者を応援するプログラム「Women in Tech」、自由参加型のプログラミングコンテスト、ポスター発表への投票など、恒例の人気企画も健在だ。また、MATLABを使った面白いことや意外な活用法などをショートセッションで発表する「ライトニングトーク」は、オープニングアクトとして5月24日16時からYouTube配信される。

「2019年以来の完全リアル開催です。講演者との意見交換会などの新しい取り組みのほか、ハンズオン・ワークショップの復活など来場参加ならではの良さを体験できるプログラムとなっています。講演も『世界を変える』というテーマにちなんだ充実した内容がそろっています。ぜひ足を運んでいただき、みなさんが世界を変えていくためのヒントをつかんでほしいと思います」(大塚氏)

  • 大塚氏

関連リソース

■MATLAB EXPO 2023 JAPAN
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