2022年12月16日、企業の広報・PR担当者を対象とする無料オンラインイベント「PURPOSE WORLD 2022 〜企業価値を高めるパーパスドリブンな組織づくりとPR・コミュニケーション戦略〜」(株式会社コネクティ主催)が開催された。ここ数年、注目度が飛躍的に高まっているパーパスだが、作りはしたものの社員に根付かず、悩んでいる企業も少なくないだろう。本記事では、アイディール・リーダーズ株式会社 共同創業者/CHOで書籍『パーパス・マネジメント 社員の幸せを大切にする経営』の著者でもある丹羽 真理氏による講演、同氏と株式会社コネクティ 代表取締役社長・服部 恭之氏によるトークセッションなどから、パーパス浸透とパーパス起点のコミュニケーション実践のヒントを紹介。また後半では、コネクティが推進しているパーパスドリブンなサイトリニューアル等の実践方法や、継続的な発信を可能にするための製造業シェアNo.1獲得のクラウドCMS※「Connecty CMS on Demand」についてもレポートする。
※製造業向けCMS市場 3年連続シェアNo.1
出典:ITR『ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子契約サービス市場2022』CMSパッケージ市場:ベンダー別市場シェア:製造業(2022年度予測)
※参考日:2023年2月2日
パーパスは“作って終わり”にしないことが何より大切
丹羽氏が共同創業者として設立したアイディール・リーダーズは、2005年に野村総合研究所の社内ベンチャーとして誕生した会社だ。事業としては、企業や経営者にパーパスを起点としたコンサルティングを提供するパーパスマネジメント、及び経営者・ビジネスリーダーにコーチングを提供するエグゼクティブコーチングの2つを柱としている。
丹羽氏は、社員が幸せな組織づくりを担うCHO(Chief Happiness Officer)の立場にある。丹羽氏はまず、「幸せに働く人であふれる世の中をつくる」という個人のパーパスを紹介した。実はこれは単なる自己紹介ではなく、この後に話す内容と直結するものだ。この1、2年、バズワードさながらの勢いで注目されているパーパスだが、丹羽氏はその定義を「組織の社会における存在意義であり、企業活動を通じてどんな世の中をつくり、どんな社会課題を解決したいのかを示す“WHY”にあたるもの」と解説した。
企業には、ミッションやビジョン、バリューといったパーパスと似たものも存在する。この違いがはっきりせず、混乱している企業もあるはずだ。丹羽氏によると、ビジョンは具体的な将来像を指し示す“WHERE”、バリューは日々の仕事で意識すべき行動指針やマインドセットとしての“HOW”、そしてミッションはビジョンやパーパスを実現するために実際に行う“WHAT”であり、ミッションの中に企業の社会的意義を示す要素が含まれている場合はパーパスと呼んでも差し支えないとの認識を示した。
パーパスは作ったものの、現実に社員へ浸透していないという声もよく聞くと丹羽氏。「パーパスは作って終わりの絵に描いた餅ではありません。せっかく作ったなら、社員が自分ごととして感じ、パーパスに沿って仕事を実践していくことが大事です。パーパスを体現する経営、すなわちパーパスマネジメントが大切になります」と指摘した。
このパーパスマネジメントには3つのステップがあり、最初のステップである「発見」(自社の存在意義を見出し、言葉を作ること)のあと、「共鳴」、「実装」へと続いていく。共鳴のフェーズは浸透という言い方もできるが、同社では上からの押し付けの印象を避け、共感の輪が広がっていくイメージからあえて「共鳴」を採用している。
社員がパーパスを自分ごとと捉えるようになるには、言葉の認知、理解のあとで共感を生み出すことがポイントとなり、そこに冒頭で紹介した個人のパーパスが関わってくる。 「個人のパーパスと組織のパーパスの間につながりを感じられれば、パーパスを自分ごとと捉え、共感を抱きやすいと思います」と丹羽氏。そのためにも、社員一人ひとりが自分自身のパーパスを明確に持つことが重要で、その個人のパーパスを組織のパーパスと見比べ、重なりを実感していくプロセスが実は大切だと強調した。
同社は多くの企業のパーパスに関わる活動を支援している。この1、2年でも個人のパーパスを見つけるためのワークショップを多数開いており、同様のプロセスに取り組みたい企業にはワークショップがおすすめだという。加えて、ワークショップだけではその日限りの盛り上がりに終わってしまうケースがあるため、できれば日常のフローの中、たとえば1on1やチームミーティングなどに仕組みとして取り入れるのがベターだと話した。
そして3つ目のステップ、実装について。これは意思決定のあり方や戦略立案、商品開発、情報発信、人材育成なども含め、社内外向けのあらゆる施策をパーパス起点に変えていくステップであり、いわばパーパスマネジメントの本丸だ。イメージとしては、パーパスを軸に戦略、マーケティング、人事、財務などあらゆるものがつながり、社内外に一貫したメッセージと経営方針が伝わっている状態を目指す。「言っていることと行っていることに一貫性があれば、社員の納得度・共感度が高まるだけでなく、社外からも“ブレない会社”と見えて、応援されやすくなります」と丹羽氏は力説した。
パーパスドリブンなコミュニケーションのキーは「一貫性」
続いて行われた丹羽氏とコネクティ・服部氏のトークセッションは、「社会から共感を得るパーパスドリブンなコーポレートコミュニケーション」がテーマ。コネクティは企業のパーパス策定から実装までをサポートする会社で、企業Webサイトのコンテンツ作成はもちろん、Webサイトそのもののリニューアル、Webデータの分析とコンサルティング、さらにはCMS(コンテンツ管理システム)やCDN(カスタマーデータプラットフォーム)基盤の提供もワンストップで手掛けている。
服部氏は、パーパスを策定しながら社員になかなか浸透しなかった自社経験も踏まえ、丹羽氏に多彩な質問を繰り出した。まず、社員が多く、パーパスへの共鳴に向け全員を対象としたワークショップを行うのが難しい大企業がとるべきアプローチを質問。これに対して丹羽氏は「社内ファシリテーターを養成し、その人たちが自らの拠点でワークショップを展開する方法があります。当社の顧客で5,000人規模の社員を抱える企業は、20人程度のファシリテーターを育てています」と回答。その役割は、希望者を募る、幹部層や管理職が担うなど会社の事情に合わせて考え、実施方法もワークショップや1on1など適したものから選ぶのがいいと話した。
続いて服部氏は、まだパーパスがない会社が策定していくにはどういった進め方がいいのかと尋ねた。丹羽氏はこれについても会社によって多様なケースがあると前置きしながら、「より多くの人を巻き込みながら作っていくのがおすすめです。なぜかというと、その過程で共鳴がかなり進むからです。策定段階から関わる人が多ければ多いほど、次の共鳴のステップは楽になりますね」と答えた。
さらに服部氏は、自社の社会における存在意義を考え、事業と社会の接点をパーパスに盛り込もうとすると大きなものになりがちで難しいと問題提起。これに対して丹羽氏は「パーパスにはどんな社会をつくりたいかというニュアンスが何かしら入っていることが必要ですが、必ずしも地球環境や大きな社会課題に直接結び付けなくても大丈夫です。自社の事業で社会に貢献するという話が含まれていれば問題ないと思います」と答えた。
最後に服部氏は、丹羽氏が講演の最後で触れた一貫性という言葉が「ものすごく大切なキーワード」だと指摘。社会から共感を得るパーパスドリブンなコーポレートコミュニケーションを実践するための答えも、この「一貫性」という言葉の中にあると語った。また丹羽氏は、今後も多くの会社でパーパスを作る動きが出てくるだろうが、とにかくパーパスを“作って終わり”にしないことが重要だと繰り返し強調した。
パーパスの策定から実装まで、コネクティにできること
イベント最後のセッションは、服部氏による「パーパスドリブンなサイトリニューアルの実現方法・事例紹介」だ。コネクティは主に大手企業向けにデジタルの支援を行っている。顧客はBtoC、BtoBの双方で日本のリーディングカンパニーと呼ばれる数々の有名企業をサポート。パーパスに関するところでは、企業の情報を最も伝えやすいメディアであるWebサイトにおいて、パーパスをしっかり発信するための支援に力を入れている。
検討のフェーズからコネクティがサポートできることとして、服部氏は「WHY?」「WHAT?」「HOW?」の3つのブロックに分けて解説した。まずは「WHY?」におけるパーパス策定。パーパスをまだ持たない企業へのサポートはここから始まることも多い。すでにパーパスがある会社、あるいはコネクティがパーパス策定を支援した会社は、次の「WHAT?」で、パーパスをどういった具体的な価値や顧客にとってのベネフィットとして表現していくか、そのストーリーラインを描き、顧客に伝えるためのコミュニケーションやマーケティング戦略に落とし込んでいく。
そして3つ目の「HOW?」が、実装の部分だ。Webサイトを通じて発信するならその設計、メディア展開するならその方法、あるいはSNSとの連携なども含め、より効果的な手段を考えていく。
続いて服部氏は、パーパスドリブンなコミュニケーションを実践する戦略として、Webリニューアルを例に解説を加えた。「WHY」のパーパス策定、もしくはすでにあるパーパスを「WHAT」に落とし込む作業を行わず、いきなり「HOW」のWebサイト作りから入ってしまうと、サイト全体にパーパスと照らした一貫性が生まれず、バラバラなメッセージを発信するページが乱立してしまうと指摘。だからこそ、やはりパーパスありきでストーリーラインを考え、そのストーリーに対して一貫性をもって発信する設計にしていくことが共感の醸成につながり、まさにパーパスドリブンな戦略であると語った。
そのうえで、これまでコネクティとしてパーパスドリブンなサイトリニューアルを行ってきた様々な事例を紹介。セゾン投信様でのサイトリニューアルを含むリブランディングのケースや、大手B2Bメーカーにおけるパーパスを上手く取り込んだリニューアル事例等が紹介された。
服部氏は最後に、このようにして構築したコンテンツを管理運用していくためのクラウドCMS Connecty CMS on Demandや、顧客分析を通じてデータマネジメントを行うCDP Connecty CDP、さらには配信のソリューションまで含めたデジタル統合プラットフォームを提供していることを紹介。コネクティのプラットフォームを活用することで、より効果的なパーパスドリブンのコミュニケーション戦略を推進できると強調し、セッションを終了した。
[PR]提供:コネクティ