• トロフィーを持つグーグル・クラウド・ジャパン 吉田 浩生氏(写真左)と野村ホールディングス 池田 肇氏

    2021 年度 Google Cloud カスタマー アワード受賞トロフィーと共に、グーグル・クラウド・ジャパン 吉田 浩生氏(写真左)と野村ホールディングス 池田 肇氏(写真右)

Google Cloudのテクノロジーを活用して、優れたイノベーションを起こし、デジタルトランスフォメーション(DX)を推進している企業を表彰する「Google Cloud カスタマー アワード」。今回、野村證券の投資情報スマートフォンアプリ「FINTOS!」が評価され、金融サービス部門で2021 年度のGoogle Cloud カスタマーアワードを受賞した。

2022年10月7日に開催されたクラウドエース主催の大型イベント「OPEN DX 2022 Autumn」では、アプリ開発プロジェクトを担った、野村ホールディングス デジタル・カンパニーの池田 肇氏、金谷 洋平氏、グーグル・クラウド・ジャパンの吉田 浩生氏を招き、野村證券のDXの真髄に迫るトークセッションが繰り広げられた。

━━ トークセッションの参加者 ━━
  • トークセッション参加者の集合写真
(左から)
クラウドエース株式会社 マーケティング部 部長 杉山 裕亮氏
クラウドエース株式会社 代表取締役社長 青木 誠氏
野村ホールディングス株式会社 執行役員 デジタル・カンパニー長兼営業部門マーケティング担当 池田 肇氏
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 営業事業本部 上級執行役員 吉田 浩生氏
野村ホールディングス株式会社 デジタル戦略部 ヴァイス・プレジデント 金谷 洋平氏

グローバルの取り組みの中からの受賞──その重みを噛み締めて

クラウドエース 杉山氏:
Google Cloudを活用している世界中の企業の中でも、とりわけ印象的かつ革新的な取り組みを実践している企業に贈られる「Google Cloud カスタマー アワード」の受賞、あらためておめでとうございます。今回の受賞について池田様や金谷様はどのように感じられましたか?

  • セッション中の杉山 裕亮氏

    クラウドエース 杉山 裕亮氏

野村ホールディングス 池田氏:
とにかく光栄の一言につきます。私が担当するデジタル・カンパニー(旧:未来共創カンパニー)はわずか4人からスタートした社内ベンチャーのような組織であり、クラウドエースさんと一緒に始めたプロジェクトで高い評価を得られたことは、チーム全体のモチベーション向上にもなると大いに期待しています。

野村ホールディングス 金谷氏:
最初に受賞についてお話を聞いたときはとても驚きましたね。そしてその驚きと喜びをチームメンバーと分かち合えたのが何よりも嬉しかったです。これからも名誉ある賞に恥じないような取り組みをしていきたいですね。

クラウドエース 青木氏:
当社としても、参画させていただいたプロジェクトが2年連続受賞することとなって大いに感謝しています。

グーグル・クラウド・ジャパン 吉田氏:
数多あるグローバルのカスタマーの中でも、日本の企業が受賞されたことは、我がことのように嬉しく思います。

  • セッション中の吉田 浩生氏

    グーグル・クラウド・ジャパン 吉田 浩生氏

クラウドエースと二人三脚で開発された「FINTOS!」。難局を乗り越え、ユーザーから愛されるサービスに

  • 質の高い投資情報を手軽に入手できるアプリ「FINTOS!」。
    パートナー企業のクラウドエースの支援を受けながら、Google Cloudを活用して開発された。BigQueryでユーザーの利用状況を分析していまもサービスの改善が重ねられている。各銘柄の情報を一元化できるなど、「使いやすさ」がとことん追求され、多くの反響を呼んだ。

クラウドエース 杉山氏:
ではあらためて、今回受賞となった「FINTOS!」プロジェクトについてご紹介いただけますか。

野村ホールディングス 池田氏:
先述したようにデジタル・カンパニーは数名からなる部門横断的な社内ベンチャー的な組織として3年前に発足したのですが、そのスタートとほぼ同時に「FINTOS!」プロジェクトもスタートしました。いまでは100名を超える組織となりお陰様でプロジェクトもこうして実を結びつつあります。
しかし、最初のうちこそプロジェクトは順調に進んだものの、金融という業種そのもののハードルが高いこともあってすぐに壁にぶつかりました。金融商品取引法の投資助言業に該当し、それに沿ったセキュリティレベル、システムの構造へと軌道修正が必要になったのです。ローンチのタイミングが後ろ倒しになり、社内で心配されながらも、チームメンバーやクラウドエースさんと一丸となってこの難局を乗り切り、無事ローンチへとこぎつけることができたのです。いま振り返ってみてもローンチできたのは奇跡に近かったと感じていますし、あらためてさまざまなサポートなど尽力いただいたクラウドエースさん、そしてグーグル・クラウド・ジャパンさんには深く感謝しております。

  • セッション中の池田 肇氏

    野村ホールディングス 池田 肇氏

クラウドエース 杉山氏:
我々としても「FINTOS!」という画期的なアプリケーションのローンチはとても楽しみにしておりました。そうして無事にサービス提供をスタートしたわけですが、これまでユーザーの方々からどのような反響がありましたか?

野村ホールディングス 金谷氏:
アプリ開発にあたっては、我々の強みである情報力を、いかにデジタルを用いてお客様にわかりやすく、また使いやすいかたちにしてお届けするかに注力しました。その甲斐あって、お客様からはアプリケーションの使い勝手についてかなり高い評価をいただいていますね。

データ活用で大事なのは「機能」ではなく「いかに顧客に価値を提供するか」

クラウドエース 杉山氏:
現在は「FINTOS!」をさらに進化させるべく、API連携やID連携などにも取り組んでいると伺っていますが、今後このアプリケーションをどのように展開していきたいと考えていますか?

野村ホールディングス 金谷氏:
「FINTOS!」のみにとどまらず、幅広い金融サービスをワンストップで提供していきたいと考えています。そのためにはサービス間の連携が欠かせませんし、お客様からも他のサービスと連携できるようにしてほしい、といった声をいただいておりました。そこでAPIマネジメント製品であるApigeeXを活用して、サービス間でAPI連携できるようになりました。そしていまは資産管理アプリ「One Stock」と「FINTOS!」のIDを統合することでより便利なサービスにしようと取り組んでいるところです。

  • セッション中の金谷 洋平氏

    野村ホールディングス 金谷 洋平氏

野村ホールディングス 池田氏:
お客様それぞれのカスタマージャーニーに沿ったサービスをつくっていく──それが我々の目指すところです。そのため基本的には、資産管理や投資情報の取得、そして購入した資産をフォローアップしていく一連の流れこそが最適なカスタマージャーニーの形成につながります。そこで重要なのは、デジタルを利活用しながら、カスタマージャーニーを形成する各サービスをつなげ、よりスムーズな資産運用の実現をサポートすることです。

クラウドエース 杉山氏:
まさに最近のキーワードでもあるカスタマーエクスペリエンス(顧客体験価値)を具現化するようなサービスとなりますが、そうなるとやはり長く広く価値を提供できるようこれからも進化を続けていくのでしょうか。

野村ホールディングス 池田氏:
その通りです。すでにお客様の期待値は上がっていますから、それを超えるサービスを提供できることが極めて重要であると認識しており、そこに軸足を据えて取り組んでいます。

クラウドエース 杉山氏:
開発側にいるとどうしても機能にばかり目が行きがちですが、そうではなく、あくまで顧客に提供できる価値に重きを置いていることがよくわかりました。顧客に対するサービスレベルの向上こそがデータ活用の本質なのだとあらためて感じられる取り組みだと思いますが、データ連携に関してはいかがですか。

野村ホールディングス 金谷氏:
「FINTOS!」はGoogle Cloudを活用しておりますが、「One Stock」はAWSを使用しています。このようにプラットフォームが違うとデータ連携が難しくなるのは言うまでもありません。そこで、それぞれのプラットフォーム上にデータレイクを設けマルチクラウドに対応し、それをシームレスにつないでデータプラットフォームを構築しました。お客様のデータをお預かりするからには、逆にしっかりとした価値を提供して還元しなければいけない、という思いで取り組みました。

クラウドエース 青木氏:
当社としても手を携えて歩むべきパートナーとして、野村ホールディングスさんの期待値をいかに超えるかが大事だと、身が引き締まる思いです。今後もサービス自体の質を高めながら、お客様の期待値を超えるパートナーであり続けていきたいですね。

  • セッション中の青木 誠氏

    クラウドエース 青木 誠氏

野村にとってのDXとは

クラウドエース 杉山氏:
では、最後に野村ホールディングス(野村證券)さんにとってのDXとはどのようなものか、お聞かせください。

野村ホールディングス 池田氏:
やはり野村にとってのDXというのは「ビジネスモデルのトランスフォーメーション」ではないでしょうか。この10年で世界のさまざまなものが劇的に変わっていったわけですが、変化は今後さらに加速していくことでしょう。それにともなってお客様のニーズも多様化・激変し、それに応えるためには、既存のものをアップデートしていくのではなく、ビジネスモデル自体を変えていくことが大事だと考えています。そうした意味から、デジタルというのはトランスフォームするために必要なツールという位置づけなのでしょう。
たとえばファイナンシャルアドバイザーをデジタルに置き換えるとなったときは、まず置き換えることで何ができるようになるのかを突き詰めて考えていくことからスタートしました。同時に人の強みとは何かという側面も考えつつ、トランスフォーメーションしていきます。
我々の組織は、未来共創カンパニー設立時からある、信念やポリシーといった良さは残しつつもビジネスの変化を捉え、いまのデジタル・カンパニーへと変革しています。あらゆるイノベーションの課題に部門を横断してサポートしていくこと、それこそが我々の使命であると認識しています。野村のサービスとして責任をもって提供していくためには、ベンダーの皆さんに頼りきるのではなく、社内でプロジェクトをしっかり推し進めていく必要があります。そのためには金融人材とDX人材のマインドのコラボレーションは欠かせず、そのほかにも足りないマインドがあれば充足させていくつもりです。

クラウドエース 青木氏:
これまでのお話に胸を打たれながら、あらためて我々としても野村ホールディングスさんのようなお客様に成長させてもらっているのだと実感しました。

グーグル・クラウド・ジャパン 吉田氏:
とりわけ当社が提唱する「トランスフォーメーションクラウド」というのは、ビジネスをどのようにトランスフォームしていくのかがテーマであり、そこをまさに語っていただきました。今後ますますビジネスのあり方が変わっていくことでしょうけれど、我々もまたそうした環境と真摯に向き合いながらトランスフォーメーションのためのプラットフォームを提供していきたいですね。

  • トークセッション参加者の集合写真

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