産業と生活を支えるタンガロイの製品
ダイヤモンドの次に硬い「超硬合金」を日本で初めて開発したタンガロイは、1934年に創業した"老舗"切削工具メーカーだ。ほとんどのものづくりに必要な「金属加工」、鉄やアルミなどの金属を切り、削り、穴をあけるために必要な工具を作り続けている。発電機や航空機の製造に必要な大型工具から、電化製品や日用品向けの小型工具まで、毎年の数十の新製品を発表し、バリエーションを含めるとそのラインナップは1,000以上になる。かつて東京湾アクアラインの海底トンネルを掘った直径14mの掘削機も、タンガロイの「刃」を使用している。
そんな“老舗”が社内に用意しているのは、「若手社員でも新製品・派生品開発を担当できる」という研究環境だ。開発アイテム数が多いため、若手社員でも、積極的に「自分の工具」づくりに挑戦することができるのである。
理想の工具を目指して
今年で入社4年目となる材料開発部の田中茂揮さんは、1年目から製品開発に携わってきた。担当するのは、金属を削る「刃(インサート)」にコーティングをする皮膜の開発である。はじめての製品である航空宇宙産業用のコーティングの実用化には、数年間の年月を費やした。一番の課題は、高温環境下でも硬さを維持できるかどうかだった。
「試作品を作ってテストしても、目標の数値が出せず、失敗に打ちのめされてばかりでした。一つの試作品をつくるには半日以上かかるのですが、100個以上は作ったと思います。なぜダメだったのか、それをずっと考え続ける日々でした」(田中さん)
若いうちから研究開発を任せてもらえるといっても、すぐに成功できるような代物ではない。上司・先輩からのアドバイスはあるが、アイデアを考え、かたちにするのは担当である自分だ。製品一つを背負う責任もある中、開発を続けるモチベーションになったものはなんだったのか。
「皮膜は1000分の数ミリというものすごく薄い世界なのですが、それをコーティングするだけで、工具の寿命が何倍にもなるんです。あまり科学的な言い方じゃありませんけど、この薄いところに、開発者の考えや狙い、そして夢や希望がすべて詰まっていると思います。辛いことも多いですけれど、『ここに自分の理想を乗せたい』という思いでやっています」(田中さん)
若手の意思を後押しする文化
次に、切削工具開発部の城間ひかるさんは、入社してまだ2年目。いったい彼女はタンガロイの何に惹かれたのだろうか。
「自動車業界のような花形もありますが、そもそも工具が無ければ、製造業は成り立ちません。工具業界ならば仕事が無くなることもないでしょうし、業界の中でもタンガロイは国際的な会社として、魅力があり面白そうだと感じたんです」(城間さん)
タンガロイは2008年にIMC(International Metalworking Companies B.V.)グループに参入。IMCグループは、イスラエルのイスカル社を中核とする切削工具メーカーグループだ。超硬切削工具業界では世界第2位のシェアを誇る。
「タンガロイのいわき工場には、海外のお客様や関連会社の社員が頻繁に来社します。加工について英語で説明したこともありました。いまはCADをつかった試作品の3Dモデルの作製・修正を担当しているのですが、実力を付けて、将来は海外で経験を積みたいと考えています」(城間さん)
さらに、「『やりたいです』と言えば、さまざまなことにチャレンジさせてくれる会社です」。と続けるのは、入社4年目、生産技術部の小脇隆さんだ。工具の「刃(インサート)」を量産するための、プレス工程を担当している。
「新しい“押し方”でなければ、つくれない製品があります。自分からプレスのアイデアを提案することもあるのですが、そんな時は『まずはやってみなさい』という反応が返ってきます。うまくいかなかった事もいっぱいありますが、『失敗も経験値として積み重ねる』、ということを実感できるようになりました」(小脇さん)
いまの仕事と直接に関わらないことでも、小脇さんは積極的に手を挙げている。昨年12月には、カンボジアの孤児院や小学校を巡るボランティアツアーに参加したり、社内で開催される英会話トレーニングメンバーにも選出された。いずれも上司が後押ししてくれるという、非常に風通しのいい会社なのがわかる。
「いろいろな事をやらせてもらっている割には、年間休日数はすごく多いです。別の会社に行った友達にはよく羨ましがられています(笑)」(小脇さん)
最後に、新卒採用を担当する総務部の竹内光さんは、タンガロイが学生の人気を集めるポイントを「裁量権の多さ」だと話す。
「若手社員が担当するのは、まったくの新製品ではなくラインナップの一つであったりしますが、それでも製品一つの開発を一人で担当するわけです。周りに相談しつつ進めていくにせよ、自分のアイデアを投入しやすい環境ですから、その点を魅力に感じる学生さんは多いですね」(竹内さん)
竹内さん自身、「国内ものづくりメーカーで組織づくりに関わりたい」という思いでタンガロイを選んだ。そして入社直後から採用の仕事を任され、4年目となる今では日本全国を飛び回っている。
夢を作る人を創る
タンガロイもかつては基礎研究から応用に至るまで、長いスパンをかけていた。しかし近年は技術革新が早まり、製品サイクルが短くなっている。基礎的な研修を一通り済ませた後、OJT形式で新入社員に開発を学ばせているのは、「ドリーマー」を生むためだと、代表取締役社長の木下聡氏は語る。
「夢を見るのではなく、『夢を作る人』という意味でのドリーマーです。タンガロイには、自分で商品を発想し、具現化して、世界市場で何億と言う売り上げを作っている人がいます。ここ4、5年で会社のシステムを変えてきたのは、そんなドリーマーをもっと増やしていきたいという考えからです。世の中にない発想を生む人、金属加工を変える人を、創っていきたいと思います」(木下社長)
このようにタンガロイという企業の本質は、世界基準の“製品”を発信し続けるだけでなく、社員一人ひとりがそれらを支える世界基準の“集団”なのかもしれない。
福島県いわき市に本社を置くタンガロイでは、以下のようなさまざまなPR活動をすることで、日本全国、そして世界へ積極的に同社のブランディングを展開している。また、人材の採用や育成にも非常に力を入れており、興味のある方は一度同社のHPを訪れてみてはいかがだろうか?
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株式会社タンガロイ 総務グループ
代表番号:0246-36-8501(受付:平日のみ・8:00~16:45)
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本社HP:https://www.tungaloy.com/ttj/
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