製造業にとって優れた製品を開発する関連業務部門は、ビジネスの生命線ともいえる大切な部署。製品開発環境のさらなる効率化や生産性の向上は、常に考えていかなければなりません。JVCケンウッド様では、CAD環境の大刷新を行い、見事に最新環境を持ったシステム構築に成功しました。時代の最先端をいくテクノロジーを使った最新ソリューションをどのように導入したか、伺ってきましたのでご紹介しましょう。

時代を切り拓いてきた
グローバルカンパニー

JVCケンウッド
サプライチェーン・マネジメント部 IT部部長 コーポレート・マネジメント部 ダイバーシティ推進部シニアスペシャリスト 梶谷 ひとみ氏

JVCケンウッド様(以下、JVCケンウッド)は、2008年にビクターとケンウッドが経営統合をして生まれた企業です。ビクターはビデオカメラやヘッドホン、ケンウッドはカーナビや無線機と、それぞれにグローバルブランドとしても確固たる地位と実力を持つ製品を数多くリリースし続け、世界中のユーザーに愛されてきた実績があります。そんなJVCケンウッドでは、自動車関連機器における最先端の開発をおこなうオートモーティブ分野においてある課題をお持ちでした。

「様々な製品の設計、開発をおこなう上でCADシステムは欠かせません。しかし、WindowsXPのサポート切れ問題とコンピューターの経年劣化が重なり、社内で使っているCADマシンの運用が難しくなってきたのです」と語る久保勝義氏(以降、久保氏)。「最新環境への移行を社内に提案しましたが、"今の延長線上ではいけない"と承認されず、システムを一から見直すことになったのです」と当時を振り返る久保氏。各ベンダーの協力を得て、様々な提案を募った結果、VDI、すなわちシンクライアント環境を提案したKELのアイデアが浮上してきたのだそうです。

GPUパススルー方式とvGPU方式

JVCケンウッド
オートモーティブ分野 オートモーティブ管理部 技術推進部 CADシステムグループ グループ長 久保 勝義氏

JVCケンウッドにおけるCAD設計者は、拠点間を合わせて総勢で約800名近く在籍しています。これだけの大規模なVDI環境の構築は、多くのノウハウを蓄積しているKELにとってもチャレンジです。

「KELさんはCAD-VDIにおけるGPUパススルー方式でノウハウをお持ちです。ですから、導入に関して不安はありませんでしたね」と笑顔で語る久保氏。2014年末よりJVCケンウッドの社内検証が始まり、2015年4月までGPUパススルー方式でのシステム検証が進みます。 今回のCAD-VDIシステムでは、導入初期はGPUパススルー方式を採用して準備が整い次第vGPUへと切り替える2段構えの構想。

「弊社だけでなく、ソフトウェアベンダーから3名、KELさんから3名が常駐するような形で検証作業を進めました」と久保氏は当時を振り返ります。さらに作業中の3月にはvGPUの構築基盤となるvSphereがリリースされ、将来的なvGPUへの切り替え作業も平行して進みました。

システム構成

「オートモーティブ分野において4月にGPUパススルー方式で運用を開始し、同時に進めていたvGPU方式の検証作業はとても順調だったので、5月の連休にはvGPU方式を導入できると思っていました」と久保氏。しかしその矢先、CADソフトウェアの動作において、大きなエラーが発見されます。「幸い、エラーが発覚した翌日にはKELさんが原因を究明してくれました。GPUベンダーへの連絡もすばやく済ませてもらい、結果的には翌月には修正版がリリースされて事なきを得ました」と久保氏。

まだ新しいテクノロジーでもあるCAD-VDIですから、すべてのCADソフトウェアでの動作検証が続いている状況です。エラーが発生しても、早急に対応することで遅延を最小限にする。各ベンダーが状況を把握しつつ最善を尽くした結果といえるでしょう。

圧倒的パフォーマンスと
VDIによる高効率運用

JVCケンウッド
オートモーティブ分野 オートモーティブ管理部 技術推進部 CADシステムグループ チーフ 中島 毅氏

2015年6月。想定スケジュールよりも早く実証テストを兼ねたCAD-VDI環境の構築が完了しました。この際、すでにGPUパススルー方式ではなくvGPUを実装していたのだといいます。

「当初はGPUパススルー方式でと思っていましたが、信頼性や使い勝手の面においてもvGPUで十分対応できるという検証結果が得られていましたので、こちらで行くことにしたのです」と久保氏はいいます。

新しく構築されたCAD開発環境は、スペック的に旧環境とは圧倒的な違いがあることはもちろん、ソフトウェアの稼働状況も申し分なかったそうです。

「今まではCAD室へ行かないとデータが扱えず、資料作りの際に自席と往復する必要がありましたが、今は自席でもデータが取り出せます」と、中島毅氏(以降、中島氏)は語ります。

「以前は、CADマシンの運用方法が統一されていませんでした。また、事務所ごとにソフトウェアの設定も微妙に違っていたり、バージョン違いによってデータ互換性が失われたりというケースもあったのですが、これらが一気に共通環境に統一できたのは大きな前進です」と大滝正裕氏(以降、大滝氏)もその効果を語ります。

紹介したのはほんの一例ですが、こうした運用に置ける課題は、別途解決していこうと予定していたそうです。しかし、今回のCAD-VDI環境の導入により、すべてが一度に実現できたことも成果だと、みなさんは声を揃えます。

GPUパススルー方式とvGPU方式のパフォーマンス評価

ビジネスサイクルの早期循環を視野に

JVCケンウッド
オートモーティブ分野 オートモーティブ管理部 技術推進部 CADシステムグループ チーフ 大滝 正裕氏

2015年9月。多くの課題を見事に克服し、CAD業務における大幅な効率化を実現したvGPUによるCAD-VDIシステムは本格運用を始めました。

「現在のレスポンスには満足していますが、ネットワークやCPUコアの振り分けなどを詰めることによって、もう少し向上すると思います」と直近の課題について語る中島氏。「現在は4拠点でCAD-VDIを使っていますが、今後は国内の他事業所はもちろん、海外事業所にも導入したいですね」と大滝氏は語ります。 「CADデータはマニュアルや販促資料にも活用できるベーシックなデータです。他にも解析業務などにも使えれば、ビジネス全体へも恩恵が行き渡ると思っています」と久保氏も展望を語ります。また、JVCケンウッドは経営判断から、プロダクトアウト型の企業からソリューション提供型へと変革している最中なのだといいます。

「サプライチェーンのサイクルを早くし、より良いサービスや製品をお届けしてゆく。これには開発や生産サイクルの効率化が欠かせません。そういう意味でもCADによる開発環境が大きく改善できたのはうれしいことですね」と、梶谷ひとみ氏は最後に語ってくれました。

企業としても大きなチャレンジだったvGPUを採用したVDI化によるCAD環境の大幅刷新を終えたJVCケンウッド。今後のさらなる事業改革にも、CAD-VDIが十分貢献していけるよう、KELも最大限のサポート体制で臨んでいきたいと思います。

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本社・横浜事業所

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JVCケンウッドの主力商品。ハイレゾ音源対応・彩速カーナビゲーションMDV-Z702

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ドライバーの安全運転支援に着目した 先進運転支援システム(ADAS)

■株式会社JVCケンウッド

・所在地:神奈川県横浜市神奈川区守屋町三丁目12番地
・設立:2008年10月1日
・従業員数:17,668人(連結)2015年3月末現在

JVCケンウッドホームページ

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