4月5日、米国を中心に世界各地で「Hands Off(手を引け)」と銘打ったトランプ政権に対する抗議デモが行われました。全米50州の1,100以上の都市で集会が開かれ、その数は世界中で1,400カ所以上に及び、主催団体は「数百万人が参加した」と報告しています。「テックトピア:米国のテクノロジー業界の舞台裏」の過去回はこちらを参照。
先行きが見えない混乱を招くトランプ氏の関税政策
過去に見てきた抗議デモでは、例えば2011年の「Occupy Wall Street」では20~30代前半の若者(当時はミレニアル世代)が、Black Lives Matterではアフリカ系アメリカ人が主体というように、参加者の顔ぶれにある種の特徴がありました。
今回の「Hands Off」デモは、政治的関心が高い層、リベラル層や進歩派が中心でしたが、退役軍人や労働者層の参加も活発で、今のトランプ政権に対する反発が広範囲に、そして深く浸透していることが伝わってきました。
掲げられるプラカードのメッセージも実に多様でした。「民主主義を守れ」「イーロン・マスクは政治干渉をやめろ」「ウクライナを支援せよ」「トランスジェンダーの命を守れ」といったプラカードが掲げられ、中東問題から手を引くよう訴える人、関税政策に反対する人、社会保障制度の縮小に抗議する人など、参加者の主張は多岐にわたっていました。
これだけ多様な声が集まると、何か特定の解決策に向かうというより、トランプ政権に「NO!」を叩きつける巨大なエネルギーの塊のように見えます。かといって「トランプ退陣」がすぐに現実味を帯びるわけでもなく……。正直なところ、先行きが見えない混乱の中にいる、という印象が残りました。