モバイルアプリのマーケティングツールにおいて国内シェアNo.1を誇る「Repro」。現在、世界59カ国6000以上のアプリへ導入されている。
今年10月には新サービス「Repro Web」をローンチし、Web領域にも事業を拡大。さらにAI・機械学習の研究開発チーム「Repro AI Labs」を立ち上げ、プッシュ通知の配信時間の最適化など、さまざまな機能搭載に向けた実証実験を提携各社と進めている。
今回は、会社立ち上げのきっかけから、AI活用の状況、今後の展望まで、Repro 代表取締役 平田祐介氏にお話を伺った。
アイディアの源泉は、2度の失敗の中にあった
17歳のころにはすでに起業家になることを決めていたという平田氏。実は、Reproは3社目に起業した会社だ。
平田氏は、戦略系コンサルティングファームに勤務した後に2回起業したが、2回とも失敗に終わってしまった経験を持つ。しかし、この経験の中にReproのビジネスにつながるヒントがあったという。
「2社目に立ち上げた会社ではECサイトを運営していましたが、その際、サイト上のユーザーの動きを動画として可視化するサービスに出会ったことで、劇的に売り上げが伸びたんです。誰かの助けになるようなサービスを立ち上げたいと考えたとき、この出来事を思い出しました。モバイルアプリに対して同じような分析を行ってみてはどうかというアイディアが、Reproの始まりでした」(平田氏)
そしてReproは、ユーザーの行動を動画で再現して分析を行う機能を備えたモバイルアプリ用分析ツールとして、2015年4月に正式リリースされた。
とはいえ、平田氏は「はじめはまったく順調ではありませんでした」と振り返る。
約1年という長期にわたるユーザーヒアリングの結果、顧客は「分析をしたい」のではなく、「分析によって得られる改善策を知りたい」というニーズを持っていることが明らかになってきた。
「Reproのユーザーとなるマーケターの方たちが本当に求めていたものは、手軽にKPIを上げることができるツールだったんです」(平田氏)
そこで、アプリのプッシュ通知やアプリ内メッセージを簡単な操作で、特定のユーザーに対して届けたいタイミングで配信することができる機能を新たに搭載。Reproを分析ツールからマーケティングツールへと発展させたことで、売行きは好調に転じる。
さらにスタートアップのピッチコンテストでの優勝が追い風となり、それまで営業に行っても門前払いされていた企業から問い合わせが入るようになったという。
モバイルアプリでのブランド力をWebへ展開
そして現在では、漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」といった多くの有名アプリに採用されており、Reproはモバイルアプリのマーケティングツールにおいて国内シェアNo.1の地位を築くまでになる。
さらにその導入実績は国内にとどまらない。2018年10月時点で、59カ国6000以上のアプリがReproを利用している。
今年10月にはWeb版となる「Repro Web」がリリースされた。Repro Webには既存の競合サービスが多くあるが、引き合いが絶えないという。
平田氏はこの状況について「モバイルアプリのマーケティングツールとしては、Reproが市場をほぼ独占しています。モバイルアプリの市場規模は決して大きいものではありませんでしたが、Reproしかいないという状況を作れたことで、良いブランドイメージを形成することができました。こうしてアプリで培ったブランド力が、現在Webに展開されているということなのではないでしょうか」と分析している。