ガートナー ジャパンは3月16~17日、「エンタープライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017」を東京都内にて開催。セッションに登壇したガートナー ジャパン リサーチ ディレクターの本好宏次氏は、「SaaS ERPをめぐる誤解を解く」と題し、クラウド型ERPに対して企業が抱きがちな誤解と、クラウド型ERPを活用していく際のポイントについて解説した。

クラウドERPに対する「期待」と「懸念」

SaaS型のERPサービスが浸透してきた。「Netsuite」や「Workday」といったクラウド発企業のサービスをはじめ、「SAP S/4HANA」「SAP Business ByDesign」「Oracle ERP Cloud」「Microsoft Dynamics ERP」といったグローバルベンダーのサービス、ワークスアプリケーションズや富士通「GLOVIA OM」といった国産ERPサービスなど、選択肢が充実しつつある。

本好氏はまず、こうした現状について「日本のERPのハイプ・サイクルでは、大企業向けのパブリッククラウドERPは過度な期待のピーク期にさしかかろうとしているところで、中堅・中小向けのパブリッククラウドERPは既に幻滅期を抜けつつある状況です」と指摘。さまざまなサービスが入り乱れるなかで、「期待と懸念が交錯している」と説明した。

クラウドERPを巡る「過度な期待」と「幻滅」/出典:ガートナー(2017年3月)

実際、ガートナーが2016年に行った調査では、クラウドERPに対する期待事項のトップ3が「導入コスト」「利用コスト」「セキュリティ」である一方、懸念事項のトップ3も「利用コスト」「セキュリティ」「サービス存続性」だった。大半のユーザーが「クラウドERPはコストを抑えながら安全に利用できる」と期待する一方で、同じくらいの割合のユーザーが「利用には意外にコストがかかり、セキュリティも結局はベンダーまかせにできないのでは」などと懸念を抱いているのだ。

ガートナー ジャパン リサーチ ディレクターの本好宏次氏

そんな混乱のなかで生まれているのが、SaaS ERPへの誤解である。本好氏は「SaaS ERPを巡って日本でよく見られる誤解は7つあります。それは『安い』『セキュリティは大丈夫?』『小規模ベンチャーしかいない?』『早い』『カスタマイズゼロで保守が容易』『すぐにビジネス革新につながる』『使いやすい』というものです」とし、これら7つの誤解を解く上でのポイントをアドバイスしていった。