本連載では、さまざまな業界で取り組んでいる「映像データによる“現場DX”」を現場担当者の声と共にご紹介していきます。どのような課題があり、そこでどう映像データを活用し、どのような成果が見られたのか。今回は、美容業界における多店舗管理の現場です。

クラウド録画カメラを活用し、臨店業務の効率化を実現

今回取り上げる2社は、店舗を訪問する臨店業務に課題を持っています。臨店業務とは、本部の施策や考え方を店舗に伝えたり、店舗運営をサポートし売上最大化に貢献したり、店舗の問題点を本部に伝えたりする業務です。企業の売上を左右する重要な業務の課題に対し、店舗にクラウド録画カメラを設置し、課題解決を実現していた事例をご紹介します。

カメラ映像を臨店のプランニングやフォローアップにも役立てる「クリア」

男性向け脱毛サロン「MEN'S クリア(メンズクリア)」を運営する「クリア」。事業開始10年で業界トップクラスの店舗数となる全国114店舗を展開しています(2022年10月現在)。そんな同社では、全店舗にクラウド録画カメラを導入しています。

「エリアマネージャーはサービス品質向上のために定期的に臨店しますが、メンズ脱毛のニーズは年々高まっており、店舗の拡大スピードに臨店業務が追い付かなくなっていました。そこで、サービスのマネジメントにカメラを活かせないだろうかと考え、導入を検討。店舗の防犯カメラとして、またスタッフの施術・接客技術向上にもつながるクラウド録画カメラを導入しました」(同社エリアマネージャー)

  • 防犯やトラブル時の事実確認の目的だけでなく、エリアマネージャーをはじめとしたスタッフの業務効率化にクラウド録画型カメラが活用されている

同社ではエリアマネージャー1人あたりの担当店舗数が10〜15店舗。東京都内だけでなく、東北地方も含めて1人で担当されている方もいますが、クラウド録画カメラを導入したことで、業務効率化に貢献していることを実感しているそうです。

「担当店舗の状況をリアルタイムで確認しているため、イレギュラー発生時にも迅速な事実確認ができます。例えば、お客さまのクレームやスタッフのマネジメントについて店長から報告を受けた際は、実際の接客内容をリアルタイム、もしくは録画映像で音声も含めて確認しています。映像からお客さまの表情から会話のトーンまで把握でき、事実確認の有益な情報になります。すぐに映像で現状を確認できるため、改善のスピードアップにつながった点が大きいと思っています」(同社エリアマネージャー)

また、臨店業務のプランニングやフォローアップにもクラウド録画カメラの映像が使われています。エリアマネージャーは臨店前に現場の映像を確認することで改善プランをイメージしてから店舗に行くことができ、現場でのクオリティ確認の時間短縮を実現しているそうです。さらに、フォローアップにも現場の映像を活用することで、従来不定期で確認作業を行っていた業務が不要となり、臨店業務にかかる時間の削減につながりました。

  • 遠隔から現場チェックを行なっている様子。高画質の映像とクリアな音声でイレギュラー発生時の事実確認の助けにもなっている

「カメラとしての性能も高く、ビューアーもストレスなく視聴できます。また、人の動きを感知するモーション検知の精度が高く、接客場面の見落としを防げる点もありがたいです」(同社事業推進部)

このようにクリアでは、単なる映像と音声による確認だけでなく、クラウド側で映像データをプログラム処理するモーション検知や音声検知機能を活用し、業務効率化に積極的に取り組んでいます。