アカマイ・テクノロジーズは今年3月に、東京オフィスを以前の京橋から八重洲へと移転した。新オフィスが入居するのは、東京駅を目の前に臨む東京ミッドタウン八重洲だ。ケンブリッジ本社のデザインを意識したという新オフィスを、早速見学してきたので紹介したい。
好アクセスを強みに「つながれる」オフィスを設計
新オフィスの魅力は、何と言ってもそのアクセスの良さだろう。東京駅から直結の東京ミッドタウン八重洲に入居したことで、社員の通勤だけでなく来客への対応にもメリットが生まれたという。アカマイは地方からの来客も多いため、新幹線の利用しやすさも重視した。
以前の京橋オフィスと比較すると、フロア数が減り狭くなったそうだ。コロナ禍でオフィスの意義や出社の必要性について考え、「コネクションのハブ」になることが新オフィスのコンセプトに決まったという。
感染症への対応や多様な働き方の要望を受けて、就業形態や勤務場所はフレックスを基本として自由に選択できるようになった。オフィスのデザインはこれに合わせて、バーチャルやリアルを問わずにつながれる場所として定められた。
エントランスの先には、カフェのような執務エリアが広がる。一息つきながらゆったりと使える空間により、コラボレーションを促す。各席に電源を備えるほか、机や椅子の高さもPCで作業しやすいようこだわったそうだ。
こだわりのフォンブース
同社の社員が日々接する顧客は、主に企業のIT担当者。そのため、在宅勤務をはじめテレワークをしている相手も多い。そこで、以前からフォンブースの数を増やすよう社内で多くの要望が寄せられていたそうだ。
こうした要望に応えるべく、旧オフィスに10室備えていたフォンブースを、新オフィスではスペースを広げつつ15室まで増やした。オフィス移転プロジェクトのメンバーによると、「広めの会議室の数を減らしてでもフォンブースを増やした方が良いと判断した」とのこと。
本社の意匠を取り入れながらも日本らしいデザインに
新オフィスのデザインには、ケンブリッジにある本社オフィスの意匠がふんだんに取り入れられている。ちなみに、偶然にも本社オフィスのデザイナーは、東京ミッドタウン八重洲のデザイナーと同一なのだという。そうした背景もあり、東京オフィスではコーポレートカラーや基本的なデザインを引き継いで用いることにもこだわった。
ネットワーク事業を手掛けるアカマイらしいデザインとして、「線」や「つながり」がいたるところにあしらわれている。また、天井はクラウドを意識したという雲のようなデザインだ。
オフィスフロアの壁をよく見てみると、新幹線や富士山、桜、スカイツリーなど、日本らしいデザインが盛り込まれている。
もう一つ、デザインが特徴的な壁として「Value Wall」が備えられている。ここには、同社が大切にしているバリュー(価値)やキーワードがあしらわれている。
執務室のデスクは昇降式。座るだけでなく立ちながらの作業もできる。また、社内のさまざまな場所の壁が、ホワイトボードのようにペンで書き込めるようになっている。思い付いたアイデアについてすぐに議論できるよう、同社の文化として根付いているそうだ。
MIT(マサチューセッツ工科大学)に由来を持つケンブリッジ本社のアカマイらしさに加え、日本らしいデザインも多く取り入れられていた。地方からの来客もこのオフィスで打ち合わせをすれば、窓の外を見て「東京に来た」と実感できるはずだ。コラボレーションの創出を意図した新オフィスから生まれる、次のつながりを楽しみにしている。