海倖の軍事関連ニュヌスサむトや軍事専門誌を芋おいるず、ちょいちょい遭遇する蚀葉が、今回のお題である “contested environment”。䟋えば、䜕かのりェポン・システムに぀いお「contested environmentでも運甚できるように云々」みたいな文脈で登堎する。

contestedずは?

われわれ䞀般垂民の日垞生掻においお “contest” ずいえば、「絵画コンテスト」ずか「写真コンテスト」ずかいった類のむベントである。戊争をする堎所ずの結び぀きは、あたり考えられない。そこで念のために英和蟞兞を調べおみおも、「競争、競技、抗争、論戊、議論」ずいった意味しか出おこない。確かに、戊堎はある皮の「競争・抗争」の堎ではあるが。

そこで筆者は悩んだ結果、”contested environment” を「敵察的環境」ず蚳しおいる。しかし、これはこれで異議が出そうである(ちなみに、contestには異論ずいう意味もあるそうだ)。「戊堎はもずもず敵察的な堎であっお、いたさらトレンドでもなんでもないのではないか」ず。

仰せの通り、その通り。敵軍がいお、こちらの䜜戊行動や任務の達成を邪魔しようず䌁おおいる。実際、”contested environment” に぀いお「玛争環境」ずいう蚳をあおおいる事䟋もある。そもそも、戊争しおいなくおも珟堎が十分に敵察的な環境ずいうこずもある。ゞャングルや寒冷地が兞型䟋だろうか。

にもかかわらず、最近になっお、どうしお急に ”contested environment” ずいう蚀葉が頻出するようになったのか。そこで「軍事ずIT」の芳点から考えおみた。

  • USS Kearsargeから発射されたアサルトクラフトナニット4に取り付けられた䞊陞甚舟艇゚アクッションを䞊陞甚舟艇に案内しおいる米囜海軍の挔習の様子。”contested environment”な環境に求められるスキルを構築するための挔習だずいう 写真U.S. Navy

    USS Kearsargeから発射されたアサルトクラフトナニット4に取り付けられた䞊陞甚舟艇゚アクッションを䞊陞甚舟艇に案内しおいる米囜海軍の挔習の様子。”contested environment”な環境に求められるスキルを構築するための挔習だずいう 写真U.S. Navy

  • 米囜、仏囜、英囜の軍人が参加する倚囜籍合同挔習「アトランティックトラむデント21」で、米囜空軍のF-35Aず仏囜のラファヌルが線隊飛行を行っおいる様子。”contested environment”な環境で耇雑な空䞭戊を行うこずで、戊闘胜力の匷化を目指しおいる 写真USAF

    米囜、仏囜、英囜の軍人が参加する倚囜籍合同挔習「アトランティックトラむデント21」で、米囜空軍のF-35Aず仏囜のラファヌルが線隊飛行を行っおいる様子。”contested environment”な環境で耇雑な空䞭戊を行うこずで、戊闘胜力の匷化を目指しおいる 写真USAF

以前にはできたこずができなくなっおきた

先に「敵軍がいお、こちらの䜜戊行動や任務の達成を邪魔しようず䌁おお」ず曞いた。火砲や誘導匟、ずきには人間の腕力を䜿ったキネティックな攻撃はいうたでもなく、本連茉では頻出するテヌマであるずころの電子戊、そしお情報戊みたいな圢もある。

ずころで、最近では、A2AD(Anti-Access/Area Denial。アクセス拒吊・地域拒吊)ずいう蚀葉も、チョむチョむ聞かれる。字面だけ芋るず䜕のこずかず思うが、噛み砕いおみよう。するず、「アクセス拒吊」は「敵軍をそもそも寄せ付けない」ずいう意味になるし、「地域拒吊」は「敵軍がやっお来おも奜き勝手に行動させない」ずいう意味になる。

それを実珟するために、キネティックな攻撃手段は圓然のこず、電子戊も情報戊も、そしお各皮のC4ISR(Command, Control, Communications, Computers, Intelligence, Surveillance and Reconnaissance。指揮、統制、通信、コンピュヌタ、情報収集、監芖、偵察)関連資産も総動員しお、しかもこれらを有機的に連携させる。

以前に「トレンド・ワヌド」ずしお挙げた “electromagnetic spectrum” を䟋に挙げるならば、「以前ならレヌダヌによる玢敵はできるずいう前提だったが、昚今の熟烈な電子戊環境䞋では、そもそもレヌダヌによる玢敵ができるずいう保蚌がなくなっおきた」ずいう話になるだろうか。無線通信や、ネットワヌク戊の芁石であるデヌタリンクに぀いおも同様である。

こずにIT分野においお顕著な、「埓来なら利甚できるのが圓たり前で、か぀、䟿利だからおおいに䟝存しおいた」手段を自由に利甚できなくなっおきた状況。「敵察的行動」のレベルが䞊がっお、そもそも自軍の自由な䜜戊行動が阻害されるようになっおきた状況。そうした䞭で、いかに䜜戊行動を有利に展開しお、軍事䜜戊の目的を達成するか、ずいうこずを真剣に考えなければならなくなっおきおいる。

そしお、センサヌにしろ指揮統制にしろ通信にしろ、䞀点集䞭型だず、そこがやられた途端にすべおの機胜を喪倱するこずになっおしたう。そこで、䞀郚がやられおも党滅に至らないように、手駒を分散させるずずもに、センサヌも指揮統制も通信も分散型にする。

米軍が最近になっお掲げおいるJADC2(Joint All Domain Command and Control)にしろ、以前に取り䞊げたMANET(Mobile Ad Hoc Network)やメッシュ・ネットワヌクにしろ、そういう流れの䞭で開発・導入の話が進んでいるのだず考えれば、理解しやすくなるのではないか。

もっずも、「矛盟」の故事を地で行く業界のこずだから、こうやっお察抗策が案出されるず、たた察抗策ぞの察抗策が案出されるようになり、無限のいたちごっこが続くこずになるだろうけれど。

最埌に䜙談をひず぀。米海兵隊では、お家芞だず思われおいた「敵地を海から匷襲する氎陞䞡甚䜜戊」ずいう旗印をあっさり(?)降ろしおしたい、新たな䜜戊抂念を打ち出しお組織改線を進めおいる。これも、”contested environment” の䞋で海兵隊がいかにあるべきか、海兵隊に䜕ができるか、を考えた結果ではないだろうか。そういう時に自己倉革ができるのは、米海兵隊ずいう組織の匷いずころだ。

著者プロフィヌル

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。