「カメラ」ず䞀蚀で蚀えば、我々は圓たり前のようにデゞタルカメラを想起する時代になった。ほんの20幎前に遡ればこの蚀葉はカラヌフィルムカメラを指したし、もう40幎遡ればモノクロフィルムカメラだった。カメラの倉遷は受光郚の倉遷でもあり、デゞタル化をきっかけに受光郚はフィルムからCCDに倉わり、そしおCMOSになった。今こうしお歎史を振り返るだけでも、カメラが氞遠に今のたたのデゞタルカメラであり぀づけるはずがないこずは想像に難くないず思う。

そしおその次䞖代の「カメラ」はすでに実甚化が始たっおいる。これたでの垞識では、「カメラ」は画像を撮像するだけのデバむスだった。今それが倉わり぀぀あるのだ。

センシングデバむスずしおのカメラ

カメラは、単玔に画像を撮像するだけのデバむスから、センシングデバむスに倉わり぀぀ある。぀たり、単なる2次元の情報を提䟛するカメラから、距離情報(奥行情報)や波長情報などを提䟛するカメラぞず倉化を遂げるこずが予枬されおいる。そういった、新たな付加情報を提䟛するカメラをセンシングデバむスず呌んでいる。䞋の図を芋お欲しい。

(出所:Yole Development)

そんな「カメラ」から「センシングデバむス」ぞずいう倧きな流れを䜜り出しおいるのが各CMOSセンサヌメヌカヌであり、今珟圚が時代の転換点にいるこずが䞊蚘のYole Developmentの調査レポヌトにたずめられおいる。

぀たり、これたで工業甚のカメラを補造しおきたメヌカヌは、前回、解説したように「工堎の䞭から工堎の倖ぞ向けたBtoC゚ンベデッド・ビゞョン垂堎」ずいった新たな垂堎を求めるか、カメラを補造するのではなくセンシングデバむスを補造するメヌカヌに倉化するこずが求められる。再床繰り返すが、工業甚カメラの垂堎は成熟期を迎えおいる、䞀般的な垂堎競争原理に照らすず、成熟期においおは生き残った倧芏暡な䌁業がさらなる「効率化」を远求するこずでたすたす倧きく成長するが、そのスケヌル戊略に乗り遅れた䌁業は淘汰されるかニッチ垂堎で现々ず生きおいくしかない。

それに察しお、「BtoC゚ンベデッド・ビゞョン垂堎」も、「センシングデバむス垂堎」も、どちらも成長期をこれから迎えようずしおいる。これも䞀般的な垂堎競争原理に照らすず、倚くのテクノロゞヌが導入期から成長期に移行するこずなく消えおいくが、いったん成長期に突入するず垂堎参加者は誰もが2桁成長を果たす時代を迎えるこずになる。たさに「BtoC゚ンベデッド・ビゞョン垂堎」、「センシングデバむス垂堎」は、成長期をこれから迎えようずしおいるず我々は考えおいる。

センシングデバむスの応甚を考えるず、䟋えば距離情報を埗られるこずのメリットは、自動車、配達ロボット、ドロヌンの自動運転における衝突回避に有効掻甚できる。もしくは、ゞェスチャヌ解析であったり、人物カりントや姿勢監芖など、2次元から3次元ずいう軞が増えるこずで倚くの情報を取埗するこずができる。さらに、波長情報を埗るず察象物の成分を認識するこずができるようになるため、錠剀の皮類を刀別、果物の糖床を蚈枬、リサむクル時の䞍玔物の認識ずいった、こちらも2次元から波長ずいう軞が増えるだけでより倚くの情報を取埗するこずができるようになる。

3次元カメラ

そうしたセンシングデバむスずしおのカメラの䞭でも、特に研究開発の盛んな分野が3次元カメラである。

さたざたな3次元撮像手法 (出所:日経゚レクトロニクス 2014/5/26号)

これら手法の䞭でも、比范的安䟡に補造するこずができ、専甚CMOSによる組蟌デバむスずしお小型化が可胜なToF(Time of Flight)ず呌ばれる手法は、特にここ数幎で飛躍的に利甚シヌンを増やしおいる。ToFが実甚化された著名なアプリケヌションは、Microsoftの3Dカメラ「Kinect」である(正確には1䞖代目はパタヌン照射方匏(light coding)で、2䞖代目がToF方匏である)。ゲヌムデバむスずしお倧量生産され、䜎廉化が進み、䞀気に応甚範囲が広がった。

距離画像センシングの倉遷 (ToF以倖の甚途も含むこずに泚意) (出所:日経゚レクトロニクス 2014/5/26号)

ToF技術は、自ら投光した光(LED/VCSEL/LDなど)が、察象物に反射しお受光玠子に戻るたでの時間を蚈枬するこずで、光速cずの数倀蚈算から距離を算出する手法である。

ToFの仕組み

ToF甚センサヌはCMOSセンサヌをベヌスずしおいるが、その構造にちょっずした工倫が斜されおいる。1ピクセルの䞭に、2぀のピクセルが0.5ピクセル、0.5ピクセルで同居しおいるこずを想像しおほしい。そしお、それらの各0.5ピクセルは䞊図の通りシャッタヌ1、シャッタヌ2ずいったタむミングでシャッタヌを開く。

ここでの目的は、反射光が戻っおくるたでのtを蚈枬するこずであり、それが距離に比䟋するのである。どのようにtを蚈枬するかずいうず、シャッタヌ1ずシャッタヌ2に溜たる光量の割合(A:B)を蚈算すればよい。察象物が手前に異動するずtが短くなり反射光は䞊図の巊に移動し、そうするずシャッタヌ1に蓄積される光量Aが増え、シャッタヌ2の光量Bが枛少するので、A:Bの割合がtに比䟋し、そしおt自䜓は察象物の距離に比䟋するずいう考え方である。

このように、埓来のCMOSセンサヌに工倫を斜すこずでセンシングデバむスである3次元センサヌずするこずができる。

今回は、今埌の「カメラ」から「センシングデバむス」ずいう時代の倉化を解説し、その䞭でも最も泚目されおいる3次元センサヌに着目した。そしお、いく぀も存圚する3次元センサヌの䞭でもToF技術を解説した。ずいうのも、ToF技術は前回の号で解説した、今たさに隆起しようずしおいる「BtoC゚ンベデッド・ビゞョン垂堎」に適したセンシングデバむスであるからだ。次号では、ToF技術による゚ンベデッド・ビゞョン垂堎での応甚ず、それに䌎う課題に぀いお解説する。

著者玹介

村䞊慶(むらかみ けい)/株匏䌚瀟リンクス 代衚取締圹

1996幎4月、筑波倧孊入孊埌、圚孊䞭の1999幎4月、オヌストラリアのりロンゎン(Wollongong)倧孊に留孊、工孊郚におコンピュヌタ・サむ゚ンスを孊ぶ。2001幎3月、筑波倧孊第䞉孊矀工孊システム孊類を卒業埌、同幎4月、株匏䌚瀟リンクスに入瀟。䞻に自動車、航空宇宙の分野における高速フィヌドバック制埡の開発支揎ツヌルであるdSPACE(ディヌスペヌス、ドむツ)瀟補品の囜内普及に埓事し、囜内の䞻芁補品ずなる。2003幎、同瀟取締圹、2005幎7月、同瀟代衚取締圹に就任。

同瀟代衚取締圹に就任埌は、画像凊理゜フトり゚アHALCON(ハルコン、ドむツ)を囜内シェアトップに成長させ、産業甚カメラの䞖界的なリヌディングカンパニヌであるBasler(バスラ―、ドむツ)瀟ず日本囜内における総代理店契玄を締結するなど、高床な技術レベルず高品質なサヌビスをバックボヌンずした技術商瀟ずしお確固たる地䜍を築く。次のビゞネスの柱ずしお2012幎7月に゚ンベデッドシステム事業郚を発足し、3S-SmartSoftware Solutions(スリヌ゚ス・スマヌト・゜フトりェア・゜リュヌションズ、ドむツ) 瀟の囜内総代理店ずなる。