日本でソーラーカーといえば、何を思い浮かべるだろうか。エコのイメージや、各大学などが出場するソーラーカーレース、テレビ番組の企画でのソーラーカーでの移動などを思い浮かべる方も多いだろう。
改めてソーラーカーについて説明すると、太陽電池によって発電し、その電気を充放電してモーターを駆動させる自動車のことだ。
日本では、まだあまり市場として盛んではないが、欧米ではさまざまなソーラーカーが開発され、続々と生産が開始されてきている。
そのなかでも今回は、オランダのSQUAD Mobilityにフォーカスしたいと思う。彼らの特徴は、なんといってもオフグリッドな太陽電池のみで動くソーラーカーでコンパクトであること。今回はそんなSQUAD Mobilityについて紹介したいと思う。
SQUAD Mobilityとは?
SQUAD Mobilityとは、2019年に設立されたベンチャー企業。Linked Inによると従業員も10名程度とまだ小規模のようだ。
しかし、40年以上の豊富な経験と実績を持つ自動車専門家のチームで構成されている。例えば、CEOのRobert Hoevers氏は、「FIAフォーミュラE」という化石燃料を使わない電気自動車のフォーミュラカーレースの創設の一人という。
また、デザインチーフのChris Klok氏は、これまでに2輪車や4輪車の開発に従事し、ルノー、ピアジオ、そしてオランダの空飛ぶ車「PAL-V Liberty」でも活躍した人物とのこと。
SQUADとは?
彼らが開発したソーラーカーは「SQUAD」。このソーラーカーの特徴は、屋根に取り付けられた太陽電池のみで直接発電し、バッテリーに充電して走行可能なことだ。
ちなみに、バッテリーはリチウムイオンを使っていて、フル充電で100km、夏であれば1日20km走行可能だという。充電設備にコンセントを接続する必要もないため、もちろん、充電インフラも必要としない。そのため、CO2の排出やスモッグ(NOx、SOx、粒子状物質)も皆無だ。エコで、クリーン、サイレント、ワイヤレスなソーラーカーなのだ。
SQUADの仕様について少し紹介しよう。 タイプによって異なるが、時速は45kmから65km出すことができるという。また、2名分の座席スペースが用意されている。ドアは取り外し可能で、エアコンもオプションで設置することができるようだ。SQUADの後部には、68リットルの収納スペースがあり、大きな荷物を運ぶこともできる。
1台約6,800ドル(約75万円)というリーズナブルな価格も魅力の1つ。2022年後半ころに製造が開始される予定で、欧州では予約の受付が開始されている。
もうお気づきだと思うが、SQUADは、非常にコンパクト。高さ1.6m、長さ2.0mのコンパクトカーだ。どちらかというとスクーターに近いイメージかもしれない。では、なぜこのようなコンパクトな設計を選択したのだろうか。
SQUADは、毎日の郊外での移動に適したモビリティとなるよう、カーシェアリングやMaaS用のモビリティプラットフォームとして設計、開発されているという。
例えば、通勤、通学、買い物などちょっとした移動や駐車場の費用や渋滞などを解消する、そんなシーンで活用することを想定しているのだ。
いかがだっただろうか。2021年は「ソーラーカー元年」と呼ばれているようだ。
世界では欧米を中心に、ドイツのSono Motorsの「Sion」やオランダのLightyearの「Lightyear One」、アメリカのFiskerの「Ocean」、Aptera Motersの「Paradigm」などのプレイヤーがソーラーカーを開発し、生産開始している。
彼らのソーラーカーは、どれも走行距離が長く、デザインも未来感があってかっこいいのだが、大きさも現在のガソリン車やハイブリットカーなどと同じサイズのクルマの代替感が強く、価格帯がまだ高い。
低価格帯になるまでには、それ相応の年月がかかりそうだ。しかし、SQUADのようなコンセプトのソーラーカーは、これらの市場と少し異なっており、魅力な戦略だと感じる。