ひと昔前と比べると、ニュースで衛星画像をよく見かけるようになった。
それは衛星画像の入手性の向上や、画像の価格帯の低下、衛星画像を扱うことができるプレイヤーが増えたといった理由が挙げられるだろう。
宇宙から俯瞰して見ると、地上では気が付かないことに気が付くことができたり、全体像を把握できたりする。そういった点で役立つ衛星画像だが、日本も含めて世界では近年どのようなニュースに衛星画像が使われていただろうか。
今回は、そんな話題について紹介してみたいと思う。
世界的害虫サバクトビバッタの農作物の被害を衛星から把握!
先日、「コーヒー豆の価格を左右するブラジル生産地の大規模な霜害 衛星画像からその被害が見えるか」という記事を拝見した。
とても内容の濃い記事で、このように衛星画像は、農作物の被害状況を把握するのに役立つ。
世界で農作物について深刻な被害をもたらしているのは、サバクトビバッタが挙げられるのではないだろうか。2019年末から、東アフリカから中東にかけてサバクトビバッタが大発生した。
2020年も東アフリカとくにケニアでは、史上まれに見る最悪の危機を迎えたという。サバクトビバッタは、世界で最も危険で破壊的な移動性の害虫と言われ、成虫1匹で1日2gという自分の体重とほぼ同等の植物を食するという非常に貪欲な昆虫として有名。日本にまでも飛んでくるのではないかと心配もされたことがあった。
災害の様子も衛星画像が的確に把握する!
米カリフォルニア州の北部で大規模な森林火災が続いている。
この様子も衛星画像で報道されているのをよく目にする。
他にも次のような災害の被害状況を衛星画像が捉えている。2021年7月に発生した豪雨災害。多数の死者も出してしまった大惨事だ。
この状況も衛星画像からさまざまな情報を捉えることができる。衛星はSPOT6/7。衛星画像から地滑りが発生していることがわかる。
災害発生直後は、現場に近づくことができないため、災害状況を把握することができないことも多い。しかし、宇宙から遠隔で見ることで、災害状況を把握するのに役立つのだ。
また、2021年3月、地中海と紅海をつなぐスエズ運河で、大きなコンテナ船が座礁してしまい、他の船の交通を阻害してしまった事故も記憶に新しい。衛星はWorldView-2。この事故も衛星画像でしっかりと捉えることができる。
2020年8月、レバノンのベイルートで200人以上の死者を出した爆発事故も記憶に残っている方は多いだろう。
この事故も衛星画像で被災の状況を把握するのに活用された。衛星はWorldView-2。レバノンの港は、爆発によって跡形もなく様々な建物が損傷を受けている様子も見て取れる。そして、画像の右上付近には、爆発によってクルーズ船が転覆してしまっている様子までもわかる。
いかがだっただろうか。衛星画像は、被害前後を比較することで被害状況を鮮明にしてくれる。
これからリモートセンシング衛星は、打ち上げ数も増加するため、衛星画像のリアルタイム性が向上することは確かだ。
そうなると知り得る情報量も増えることだろう。いまは、BtoBの世界では衛星画像からInsightという付加価値情報がAIなどの技術を使って提供されている。では、将来、衛星画像の情報がどのような形でニュースなどで示されるのだろうか、衛星画像のBtoBtoC的なサプライチェーンの意味でも興味がある。