春先にレポートしたスマート望遠鏡「eVscope」の新型、「eVscope eQuinox」が市場にでてまいりました。発売元のUnistellar社から試用しますかー? との声があり、「はい、しますします!」とフェムト秒で即答いたしましたところ、夏の半ば過ぎに届きました。で、晴れ間をさがして試用しましたのでレポートいたしますねー。

結論からいうと使いやすさは従来機と変わらず。ビュー・ファインダーがないのは気にならなかった。スマート望遠鏡らしくソフトアップデートで機能アップ!? 見え味は明らかに進化して土星の環も確認できた。というところでございます。

2020年から天文ファンの間で話題になっていた望遠鏡eVscope。「電視観望」という新しい天体観察の楽しみ方をきれいにパッケージングした秀逸な製品でございます。ってな話を、以前したわけでございます。

参考
スマート望遠鏡「eVscope」は40万円のモバイル天文台だ!(前編)
スマート望遠鏡「eVscope」は40万円のモバイル天文台だ!(後編)

いや、なんというか興奮でございました。もちろん、ガチ勢は「もっとすげえの見せられるぜ」「ずっと安く組めるよ」というわけですが、いや素人がいきなり使ってやれるんだから、そこがやっぱりすごいわけですわ。高価だけどね。40万円。

しかし、なんというか、高いけどいいってのは、iPhone登場の時を思い出しますな。いや、いま12なiPhone登場は、以前チェックした通り2007年なわけでございますが、いやー、あのときの衝撃はすごかったね。その前年2006年公開のスパイ映画の007カジノ・ロワイヤルで登場人物が使っていたのがまさに、iPhoneぽいもので「なにあれ、ほしい」と思ったものが実現しましたからね(主人公のジェームズ・ボンドはガラケーでした)。それと同じくらいの衝撃。小さな望遠鏡がワンタッチで天体とらえて、平成になる前に図鑑で見てたような写真が目の前に1分で現れるのですからね。

さて、そんなeVscopeですが、仕事関係で購入する話があったのですが「製品売り切れ」になっていました。2021年5月ごろ。で、新製品でるからねというアナウンスがされていました。それがeVscope eQuinoxです。スペック的にはセンサーや光学系、サイズ、重さなど従来とほぼ変わらず、値段も安くならず(残念!)。内蔵メモリ容量がアップしたのと、ビュー・ファインダーが省略されました。そして公式に「同時に望遠鏡とWi-Fi接続した10のスマホで観察画像が見られます」というのがアナウンスされました。

ビュー・ファインダーがない=覗かないというのは、望遠鏡としてはなかなか思い切ったことです。覗く楽しみってのがあるのですよ。実は望遠鏡を覗いてもらう観察会を実施する界隈では「望遠鏡で観察会やるんだけど、おなじところ覗くの、感染症対策大変じゃね」「毎回アルコール消毒かー」「プラスチック製品がやばいかも」「望遠鏡のぞかせるとき密になるよね」なんていう議論がございましてですね。いや、接触しない方法が色々開発されたり、消毒もやってやれないなんて話にもなっているのですがね。

そんななかで、もう覗かないというのはいいかもしんない。と思いつつ開発元のフランスUnistellar社からお借りできたので試用してみましたよ。ただ、この夏の異常な天候でちっとも晴れない。最後は「雲7割晴れ間3割」という中で強引に使ってみました。

使い勝手は従来タイプと同じ。ビュー・ファインダーがないが、気にならない

使おうとしたら「ソフトのアップデート」というのが出て望遠鏡のファームウェアが変わったみたいですが、まあ使ってみました。使い方は従来機と同じでございました。まったく同じアプリで使えます。アプリはなにげにメニューが増えていましたが、まあ基本同じ。このあたりは経験が生かせてよいですな。

で、見たのがこれです。まさかねと思ったが見えてしまう。すごい。っていうか、前よりタフになってないか、あんなにバンバン雲が流れても、見えてしまう。

M27は、夏の大三角形のあたりにある、こぎつね座の「惑星状星雲」です。惑星といいながら、惑星と関係なく、恒星のなれの果てです。恒星が一生の終わりにさしかかり、大きく膨れ上がったあと、そのままふわーっと身体を宇宙に拭きだしていく。そして吹き出された身体を作っていたガスが中心に残った恒星により蛍光しているのでございます。宇宙の巨大なシャボン玉。はかないですなあ。そのうち薄れて見えなくなっていきます。

  • M27

    こぎつね座の惑星状星雲「M27」

次の写真、M57は、織り姫星のあること座のリング星雲も惑星状星雲です。大分小さいですが、くっきりと見えます。このあたりは今までと同じなんですが、なんだか微妙に見え味がいいような気がする。が、気象条件そのほか違うわけで、簡単に比較はできないのですよ。センサーとか光学パーツはスペック上は同じですし、外観も筒が銀色→ダークグレーになりビュー・ファインダーの出っ張りがなくなって程度の違い。やはりソフトアップデートが効いておるのですかね。

  • M57

    こと座のリング星雲「M57」

前はダメダメだった惑星が、よもやよもや!!

そこでですね。この夏はよく見えている、木星と土星に向けてみたわけですよ。以前はeVscopeは惑星はダメだねーと思っていたのですが、これが「よもやよもやでした」

まず、土星。

  • 土星

    土星

環が見えるじゃありませんか。いやーちっちゃいけどさ。前は「ぼわーっと」明るくなってなんだかわからなくなったのに。どうも、ソフト側で露出などの調整をしてセンサーの性能を発揮できるようにしたようなんですな。

で、木星は。

  • 木星

    木星

まさかの縞模様が見える!! で、ここで露出をマニュアルでちょいといじるとですね。

  • 木星

    木星(露出をマニュアルでいじった後)

衛星もバッチリわかるのでございますよ。これなら、この望遠鏡いっちょで、学校の先生が一通りの教材を作ることも可能でございますな。

しかし、これはおそらくソフトアップデートのおかげ。ということは従来機でもいけるようになっているのではと期待できるのでございます。従来機はいまどうせ手に入らないし、持っている人はこのレポート必要ないくらい使えていると思うのですが、ぜひこのソフトアップデートの効果はチェックしてほしいですな。

最後におまけで、いて座にある散光星雲M17でございます。星が誕生しようとしている場所ですな。こんな写真は、撮るのに結構苦労したのに、これたまたまそばにいた人がその場で望遠鏡いじってげっとしたんですよ。いやー、いい世の中になりましたな。

  • M17

    いて座にある散光星雲M17

ということで2時間くらいしか使えてないのですが、雲間にねらってこんなです。聞くところによるとこの望遠鏡で観察会ってのを企画している観光施設などもあるらしいです。地域によりますがチャンスがあればぜひ見ていただきたいですなー。