テクニカルブレインは、「ネット霊園 風の霊」というメタバース供養サービスを展開している。2023年1月30日には、冠婚葬祭のサービスを展開するアルファクラブ武蔵野が、同サービスに関するシステム一式の譲受契約をテクニカルブレインとの間で締結し、メタバース供養サービスに参入すると発表した。
では、このメタバース供養サービスとはどのようなものだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
ネット霊園が解決する「お墓」の課題とは?
まず、現代のお墓や供養に関する課題を紹介したい。高齢化が進む昨今は、葬儀場やお墓までが遠い、移動による身体への負担が大きく行けない、などのさまざまな事情により、葬儀への参列やお墓参りができない方が増えている。また近年のコロナ禍においては、上記の問題に加えて、感染症対策により葬儀に参列できないなどの課題が多く見られた。
そこでテクニカルブレインは、インターネット上で葬儀を行うメタバース供養サービスを開発した。同サービスでは仮想空間内に、月の霊園・火星の霊園・地球の霊園と、3つの霊園が準備されている。また、大きく3つのイベント機能がある。
1つは、遺影埋葬。故人の遺影を埋葬するイベントをメタバース上で実施し、参列者はアバターとなってイベントに参加する。アバターは列車に乗って地球駅から旅立ち、由緒ある霊廟が建つ惑星霊園へと到着。そこに遺影が安置され、参列者は献花などを行う。霊廟には、遺影のほかに動画や音声を納めることができるとのことだ。。
2つ目は、お墓参り。こちらはいつでも実施することができるという。地球駅から列車に乗り、惑星霊園と向かったアバターは、霊園で故人の遺影と対面し、献花したり、故人との思い出を振り返ったりする。
そして3つ目は、誕生会(法事)。霊園には集会場があり、そこに着席して、故人をしのぶ会が開かれる。ちなみに参列者どうしは会話もできるという。
「さがみ典礼」のアルファクラブ武蔵野がメタバース供養に参入
このネット霊園サービスに注目したのが、葬祭事業「さがみ典礼」や互助会事業「あるふぁくらぶ」で知名度が高いアルファクラブ武蔵野。冒頭にも触れた通り、同社はこのサービスにおけるシステム一式の譲受け契約を締結し、メタバース供養サービスに参入した。
アルファクラブ武蔵野も、現代における葬儀の課題に焦点を当て、新しい時代の供養のあり方について先進的な取り組みを行っており、2022年秋には、葬祭の儀式でいち早くNFTデジタルギフトを採用するなど、積極的にデジタル技術の導入を図っている。今回のネット霊園も、その取り組みの1つと言えそうだ。
いかがだっただろうか。この供養サービスは、現代の供養の課題を解決できる手段として、先進的な取り組みであると感じる。もしかしたら、冠婚葬祭が仮想空間で行われる時代もそう遠くはないのかもしれない。