オリィ研究所は、意思伝達装置「OriHime eye+Switch」を開発している。

この装置は、病気の進行などによって、指先だけしか動かすことができず、筆談やキーボード入力が困難になったり、気管切開などで声を出せない人でも、視線入力装置やスイッチを使って文章打ち込んだり、読み上げたりすることで、誰とでもコミュニケーションが可能となるものだ。

今回は、そんなOriHime eye+Switchについて紹介したいと思う。

意思伝達装置「OriHime eye+Switch」

オリィ研究所は、「身体的問題や距離をコミュニケーションテクノロジーの研究開発により克服し、会いたい人に会えて、社会に参加できる未来」を実現するという目標を掲げて2012年9月に設立された企業だ。これまで分身ロボット「OriHime」なども手掛けている。

そして、OriHime eye+Switchは、障害を持つ人のコミュニケーション手法として開発された。

重度の障がいを持つ人とのコミュニケーションには、透明文字盤が活用されることが多い。

透明文字盤に書かれている50音順の文字を1文字ずつ介助者が読み上げていき、確認していくというもの。しかし難点も多く習得に時間を要するなどのデメリットもある。

そこでオリィ研究所は、OriHime eye+Switchという意思伝達装置を開発。視線センサーやスイッチによる文字の入力という使いやすいインタフェースを用意した。

  • 意思伝達装置「OriHime eye+Switch」

    意思伝達装置「OriHime eye+Switch」(出典:オリィ研究所)

例えば、視線センサーが障がい者が見ている文字をリアルタイムで識別し、リアルタイムで読み上げることができる。

またスイッチで文字を入力する場合は、十字に動いてくるラインが選択したい文字に一致したときにスイッチを押し文字を選択するというものだ。しかも音声をあらかじめ登録しておけば、OriHime eye+Switchで選択した文字を本人の音声で読み上げることも可能で、感情を含ませた発音もできるのだ。

OriHime eye+Switchの活用事例を含んだ紹介動画が公開されているので是非ご覧いただきたい。

「OriHime eye+Switch」紹介動画

いかがだったろうか。OriHime eye+Switchを使って、DJ活動を行ったり、アパレル製品を手がける人や分身ロボットOriHimeを通じて学校へ登校している人もいる。

もちろん、テクノロジーもすごいのだが、このテクノロジーを駆使して障がいをもった多くの人の社会参加への可能性を大きく広げていることに感銘を受ける。とてもすごい取り組みだ。