イタリアのENERGY DOMEは、「CO2バッテリー」を開発した。製品名からしてカーボンニュートラルに貢献しそうな印象を受ける。

このCO2バッテリーは、現在主流のリチウムイオンバッテリーなどの化学反応を用いたバッテリーとは異なる。そしてリチウムイオンバッテリーと比較するといくつかメリットがあるという。

では、このCO2バッテリーとはどのようなものか、今回は、そんな話題について紹介したいと思う。

CO2バッテリーとは?

スマートフォン、タブレット、ノートPC、電気自動車などに必ずと言っていいほど活用されている現在主流のバッテリーといえば、リチウムイオンバッテリーだろう。

正直なところ、読者の皆さんもリチウムイオンバッテリーを使っていない日はないといっても過言ではないかもしれない。しかし、リチウムイオンバッテリーの課題を克服し、電池寿命、コスト削減において強みを持つというバッテリーが開発された。

それがCO2バッテリーだ。

このCO2バッテリーはイタリアのベンチャー企業ENERGY DOMEが開発した。リチウムイオンバッテリーのような化学反応による充放電プロセスではなく、CO2バッテリーは熱力学をベースとした充放電プロセスを採用している斬新なバッテリーだ。

では、このCO2バッテリーの原理を説明したい。DOMEと呼ぶタンクに大気中CO2を充填する。そのCO2をコンプレッサ(圧縮器)に送り圧縮する。

  • CO2を充填するタンクのイメージ

    DOMEのイメージ(出典:ENERGY DOME)

その後、TES(熱エネルギー貯蔵システム)、コンデンサ(凝縮器)を通じてCO2を冷却し液化する。そのCO2は、Liquid CO2 Vesselに貯蔵される。これが充電のプロセスだ。

逆に、Liquid CO2 Vesselに貯蔵された液体CO2を充電と逆のプロセスを経ると放電のプロセスとなる。コンデンサ、TESを通じてCO2を高温高圧のCO2の気体にする。そしてタービンを回し発電するのだ。詳細は、動画でも紹介されているのでぜひご覧いただきたい。

しかも驚くべきは、従来のような交流直流変換器(DC-AC変換器)というものが不要のようだ。ENERGY DOMEでは、Fast Responseサービスを準備していて、各機器の構成を変えることによって配電網に適切な周波数と電圧の電気を供給することもできるようだ。

いかがだっただろうか。CO2バッテリーは、熱力学の原理で動作するシンプルな構成。CO2バッテリーシステムの各機器類は、概して鉄と水とCO2しか使っていないとも言える。

そのためコスト競争力とバッテリーのエネルギー効率が高いのだ。そして、このコスト競争力は、バッテリーシステムの規模が大きいほどCAPEX(設備投資費といった支出)の面で得をするという。とても興味深いバッテリーが開発された。未来にはこのバッテリーが普及されていることだろう。

  • 再生可能エネルギーとCO2バッテリーのイメージ

    再生可能エネルギーとCO2バッテリーのイメージ(出典:ENERGY DOME)