ジョージア工科大学の学生のGerryChen氏とJuan-DiegoFlorez氏は2022年6月16日、共同で「GTGraffiti」という落書き塗装ロボットを開発したと発表した。
プレスリリースには、「graffiti-painting robot system」と記載があり、日本語に直訳すると“落書き塗装ロボット”になるのだが、詳しく見てみると、この表現よりもさらに開発戦略に長けたすごいものだ。
では、このGTGraffitiとはどのようなロボットなのか、今回はそんな話題について触れたいと思う。
アートを保存・増幅できるGTGraffitiとは!
GTGraffitiとはどのようなものだろうか。このGTGraffitiは、アーティストが制作したスプレーアートを最初から最後まで動作を保存して、その保存された動作データに基づき、ロボティクス技術でそのアートを再現するというものだ。
以下にGTGraffitiの動画を紹介する。一度ぜひ、ご覧いただきたい。
アーティストには、スプレーアートに取り掛かる前に、手に以下の画像にあるようなモーションセンサーを指先に取り付けたグローブをつけてもらう。
そしてスプレーアート制作に取り掛かってもらう際にこの指先のモーションセンサーをトラッキングするモーションキャプチャーテクノロジーを活用してこのアーティストの流動的な動きを記録、保存するのだ。このモーションセンサーがキャッチする情報は、速度、加速度、サイズだ。
そしてその記録、保存されたデータに基づき、GTGraffitiがスプレーアートを再現する。GTGraffitiはケーブル駆動のロボット。ケーブル、モーター、および滑車のシステムで動作するのだ。
では、このGTGraffitiの戦略とはなんだろうか。
それは、アート全般の保存と増幅にあるという。
保存はわかりやすいだろう。もしアーティストの作品を複製・再現したい場合に活躍される機能だ。そしてこの情報は半永久的に受け継ぐことが可能なのだ。
一方で増幅とはなんだろうか。それは作品の拡大版を作成するという意味なのだ。これによって、机上で作成したどんなアート作品でも、別のサイズや別の場所に増幅され、多くの人の目に留まる可能性があるのだ。
そして、著名なアーティストがもし死去された場合でもそのテクニカルな情報というものも保存され後世に残すべき貴重なものとなることだろう。