2022年3月30日、HIKIYOSEは「メタバースやNFTを活用し、ラーメンの唯一性や価値を確かなものにする仕組みを実現すべく、ラーメンNFTの実証実験を開始した」という内容のプレスリリースを発表した。
メタバース、NFTとラーメン、これらワードがなかなか結びつかないかたも多いと思う。
しかしながら、このプロジェクトを紐解くととても興味深い取り組みであることに気が付く。今回はそんな話題について触れたいと思う。
ラーメンNFTとは?
今回発表されたNFTを活用したラーメンNFTの実証実験の開始。このプロジェクトは「NFT(ヌードル ファンジブル トークン)」と名付けられている。
では、ラーメンNFTとは何だろうか。
メタバース、NFTとラーメン、これらのワードがなかなか結びつかない。
まずはプロジェクト発足のきっかけから紹介したい。ラーメンNFTプロジェクトとは、次のような課題から出発している。
ラーメンの業界では、一定の期間、お店で働いた後に、その実力を師匠に認められて、初めて、ブランド、ノウハウ、知名度などを使用できる許可を得ることができ、独立店として経営することができる「暖簾分け」という仕組みが存在する。
しかしながら、この「暖簾分け」の許可を受けていない人が、その人気ラーメン店の味を真似して、暖簾分けとは無関係のラーメンを提供するお店を開業したしてとしても、真似をされた暖簾分けをしていない人気ラーメン店は、真似をした人に対して、法的な手段に訴えることが極めて難しいという現状があるという。
このような現状をラーメンNFTを使って解決できないかと考えたのがこのプロジェクトだ。つまり、ラーメンのレシピなどをNFTのテクノロジーを活用して知財化できないかという取り組みなのだ。
実は、1990年代後半に、レシピというものは著作物として法律で保護されるかどうかという議論が起こった時期があったという。
しかしながら、材料名・量・制作手順を示しただけのレシピというものは、著作物として保護される要件を満たされてない、という結論になったという。
そこで、今回、HIKIYOSEは、このラーメン業界の課題に注目し、ラーメンのレシピ、麺や技術などをNFT化することで、店主の権利を確立して、ラーメン店主に利益が還元される仕組みの実現に向けた実証実験を開始したのだ。
ちなみにおそくなったが、HIKIYOSEを紹介したい。HIKIYOSEは、マーケティングのスペシャリスト集団。CEOは、濱口慶太郎氏で、筋トレ、ボディーメイクも仕事にしているようだ。そのため、「ラー筋」という商品も発売しており、筋肉に必要な成分をラーメンで摂取できる国民食としてのラーメンを、メタバースを含む全世界に発信したい、という思いでプロデュースした商品だ。他にもラーメンの自動販売機という斬新なものも手がけている。
いかがだっただろうか。HIKIYOSEのCEO濱口 慶太郎氏はとてもユニークで斬新な思考の持ち主だ。
ラーメンNFTというプロジェクトがもつ出発点としての課題は、料理界全般にも言えることだろう。
正直、レシピというものがなんらかの法規則に保護されていない事実があるというのは初めて知った、というか考えたこともなかった。
個人的にも大好きなラーメンをもっともっと魅力的なものにしていってほしいと、切に願うばかりだ。