Googleは自社サービスに同社の生成AIであるGoogle Geminiの統合を進めているが、Google Chromeへの統合に関してはかなり控えめな態度を取っている。ただし、エキスパート向けまたは開発者向けの機能としては統合への取り組みを進めている。今回はエキスパート向けの機能になるが、アドレスバーに統合されたGemini機能を取り上げる。

連載「Google Geminiの活用方法」のこれまでの回はこちらを参照

生成AIが統合されたMicrosoft Edge

Micorosoftは生成AIを同社の製品やサービスに統合する取り組みを積極的に進めている。同社のWebブラウザであるMicrosoft Edgeにはサイドバーの最上部に「Copilot」ボタンが追加されており、同社の生成AIであるCopilotとのチャットができるようになっている。

  • Microsoft Edge

    Microsoft Edge

Copilotボタンをクリックすると次のスクリーンショットのようにCopilotパネルが表示される。Copilotパネルにはプロンプトがあり、プロンプトに指示を出すことでCopilotの機能を使うことができる。

  • Copilotボタンを押してCopilotサイドパネルが開かれた状態

    Copilotボタンを押してCopilotサイドパネルが開かれた状態

この機能を使うと表示しているWebページやPDFなどのドキュメントに対してCopilotの機能を使うことができる。もちろんインターネット検索をベースとした質問も行うことも可能だ。Web版のCopilotチャットを使うよりもEdgeに統合されたCopilotの方がEdgeを使う上でなにかと使いやすい。

一方、こうした取り組みに対するGoogleの動きはMicrosoftよりも一歩遅れているように見える。GoogleはChromeにGeminiパネルを追加する予定はないようだし、どのようにサービスを提供していくかについて依然として検討しているように見える。

オムニボックスにGeminiを統合

そんな中、Googleは2024年5月1日にX (旧Twitter)においてChromeのオムニボックスにGeminiチャットへのショートカット機能を追加したことを発表した。

  • @googlechrome - X

    @googlechrome - X

Chromeのオムニボックス(アドレスバー)に「@gemini」と入力すると、「Geminiとチャット」という選択肢が表示されるので、それを選択してからオムニボックスにGeminiのプロンプトに入力する内容を入力すればよいという内容だ。

Google Chrome 126で「@gemini」を使う方法

執筆時点で安定版であるGoogle Chrome 126にはこの「@gemini」機能がマージされている。さっそくこの機能を使ってみよう。

  • Google Chrome 126

    Google Chrome 126

オムニボックス(アドレスバー)にフォーカスを移して「@gemini」と入力すると、次のスクリーンショットのようにいくつかの候補が表示される。

  • オムニボックスに「@gemini」と入力

    オムニボックスに「@gemini」と入力

表示される候補の中から「@gemini - Geminiとチャット」を選択する。

  • 候補リストから「@gemini - Geminiとチャット」を選択

    候補リストから「@gemini - Geminiとチャット」を選択

すると次のスクリーンショットのようにオムニボックスの表示が「Geminiとチャット|」という表示に変わる。この状態になったら、あとはGeminiのプロンプトに入力するのと同じ状態だ。

  • オムニボックスがGeminiプロンプトになった状態

    オムニボックスがGeminiプロンプトになった状態

次のスクリーンショットでは「Geminiとチャット」に「熱中症を避けるために気をつけるべきことを教えてください。」と入力している。

  • は「Geminiとチャット」に「熱中症を避けるために気をつけるべきことを教えてください。」と入力

    は「Geminiとチャット」に「熱中症を避けるために気をつけるべきことを教えてください。」と入力

エンターキーを押すとGoogle Geminiのページに飛び、入力したプロンプトに対する回答が表示される。

  • Google Geminiのページで回答が表示される

    Google Geminiのページで回答が表示される

Chromeのオムニボックスで「@gemini」による指定を行うのは、GeminiのWebページに飛んでプロンプトに入力するのに対するちょっとしたショートカットということになる。

オムニボックスに「@gemini」と入力する必要があることから、ある程度中上級者向けの機能と言えるだろう。また、Microsoft EdgeのCopilotパネルのようにマウスと音声入力だけで利用できるような簡単なUI/UXでもなく、パネルとして独立しているわけでもないので表示しているWebページやPDFに対して指示を出すといったこともできない。あくまでもWeb版Geminiへのショートカットとしての機能だ。

ChromeにGeminiパネルはやってこない?

GoogleがChromeにMicrosoft EdgeのようなCopilotパネルを導入しない理由はよく分からない。シンプルなUI/UXをキープするという方針に合わないためか、インターネット検索の広告出稿料を収益源としているGoogleとしてはChromeから直接Geminiを使えるようにすることがビジネスモデルと合わないためか、真相は不明だ。

Microsoft EdgeのCopilotパネルは生成AIチャットを使う上でかなり便利なので、Google Chromeに同じ機能を期待するユーザーはそれなりに出てくることが予測される。今後Googleがこの件についてどのように取り組んでいくのか、動向が注目される。

参考