2022年から国税庁のe-Tax(イータックス)で2次元バーコードの対応が始まり、オンライン確定申告がより便利になりました。

従来は、マイナンバーカードを読み取るために「ICカードリーダライタ」と呼ばれるデバイスが必要でした。デバイスの購入とPC接続によるセットアップが必要であったため、オンライン確定申告には少々煩わしさがありました。

しかし、2次元バーコード対応により、「ICカードリーダライタ」を使わなくてもスマホでマイナンバーカードを読み取ることができるようになったため、スマホでオンライン確定申告を完結させることが可能になりました。

この記事では、e-Taxでオンライン確定申告を行う前に知っておくと便利なマイナポータルとマイナンバーカードの基礎知識と、スマホでの登録方法について詳しく解説します。

オンラインで確定申告を行うには?

スマホやPCを使ってオンラインで確定申告を行う場合は、国税庁が提供するe-Tax(イータックス)を利用します。

e-Tax(イータックス)では青色申告のほか、医療費控除や住宅ローン控除など所得税の確定申告書の作成、電子納税など申告・申請に関するオンラインサービスを提供しており、e-Tax(イータックス)を利用することで、オンラインで確定申告を行うことができます。具体的には、e-Tax(イータックス)の「確定申告書等作成コーナー」を利用します。

e-Tax(イータックス)の「確定申告書等作成コーナー」を利用するには、「マイナンバーカード方式」、「ID・パスワード方式」、「書面」の3つの提出方法があります。このうち、「ID・パスワード方式」は事前に税務署に足を運んでIDとパスワードの発行手続きが必要であり、「書面」は作成した書類を印刷して送付する必要があるため、オンラインで確定申告を完結させるためには、「マイナンバーカード方式」を利用します。

ただし、事前にマイナンバーカードの交付申請を行い、マイナンバーカードを受け取っておく必要があります。詳しくは、下記のホームページをご確認ください。

参考:マイナンバーカードの交付申請

e-Tax(イータックス)の「確定申告書等作成コーナー」は、インターネット環境があれば、PC、スマホどちらでも利用することができますが、「マイナンバーカード方式」を利用するためにマイナンバーカードを読み取るためにスマホが必要です。オンラインで確定申告を行う場合、スマホだけで手続きを完結させることはできますが、PCだけでは完結させることができませんのでご注意ください。

「マイナンバーカード方式」とは、具体的にはアプリ「マイナポータル」を利用したマイナンバーカードの認証となりますので、続いて解説します。

便利なアプリ「マイナポータル」を知ろう

「マイナンバーカード方式」でオンライン確定申告を行うためには、「マイナポータル」というアプリでマイナンバーカードを読み取って認証する手順が必要です。

事前に、スマホにアプリ「マイナポータル」をインストールしておき、マイナンバーカードの利用者登録を行っておくことで、オンラインで確定申告を完結させることができます。

マイナンバーカード、マイナポータル、マイナンバーカード方式など、少々混乱しやすい言葉が出てきますので、下記に整理します。

マイナンバーカード

マイナンバーカードとは、政府から交付されるプラスチック製のカードです。個人番号カードとも呼ばれます。カードには、表面に本人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別等が記載されており、裏面にはマイナンバーが記載されています。

運転免許証やパスポートと同じように、本人確認のための本人確認書類として利用することができ、税や社会保障など法令で定められた手続きを行う際に利用できます。なお、マイナンバーカードを利用するには、市区町村への交付申請が必要です。

参考:マイナンバーカードの交付申請

マイナポータル

「マイナポータル」とは、政府が運営するオンラインサービスの名称です。このオンラインサービスでは、子育てや介護をはじめとする行政手続の検索やオンライン申請を行うことができます。また、最近ではマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになっており、これも「マイナポータル」で利用することできます。

「マイナポータル」の各種オンラインサービスは、PCでもスマホでも利用することができますが、オンライン確定申告を行う場合には、アプリでマイナンバーカードを読み取って認証する手順となるため、「マイナポータル」をPCではなくスマホで利用することになります。

マイナンバーカード方式

オンライン確定申告を行う際に利用するe-Tax(イータックス)へ、マイナンバーカードを使ってログインする方式のことです。マイナンバーカード方式のほかには、ID・パスワード方式などがあります。

マイナンバーカード方式では、利用者識別番号(数字16桁)の代わりに、マインバーカードを読み取ってe-Taxにログインすることができるため、スマホなどでマイナンバーカードを読み取れる場合には、ID・パスワード方式より簡単にログインが行えます。

マイナンバーカードのアプリ「マイナポータル」への登録

用意するもの
・端末(Android、またはiPhone)およびインターネット環境
・マイナンバーカード
・マイナンバーカードのパスワード情報
・メールアドレス

これより、スマホにアプリ「マイナポータル」をインストールし、マイナンバーカードを登録する方法を画面にもとづき解説します。なおこの記事では、iPhoneを使っています。

1)スマホへのアプリ「マイナポータル」のインストール

スマホを用意し、ストアからアプリをインストールします。

アプリをダウンロードするために、2次元バーコードを読み取ります。もしくは、ストアで「マイナポータル」を検索します。

  • アプリをダウンロードするために、2次元バーコードを読み取り

アプリ「マイナポータル」を入手し、インストールします。

  • 「マイナポータル」を入手し、インストール

アプリ「マイナポータル」の利用者登録を行うには、マイナンバーカードとマイナンバーカードのパスワード(数字4桁)情報が必要です。

パスワードは、マイナンバーカード交付時に発行される「マイナンバーカード・電子証明書・パスワード(暗証記号)記載書」に記載があります。

  • 「マイナンバーカード・電子証明書・パスワード(暗証記号)記載書」

初めての方「利用者登録」をタップします。

  • 「利用者登録」をタップ

画面右下の「スマートフォン」をタップします。

  • 「スマートフォン」をタップ

画面の案内に従って次へ進みます。

  • 案内に従って次へ進む

既にアプリ「マイナポータル」をインストールしている場合は、画面の案内に従って次へ進みます。まだインストールしていない場合はインストールします。

画面の内容を確認します。マイナンバーカードとパスワード(数字4桁)を手元に準備して、「利用者登録/ログイン」をタップします。

  • 「利用者登録/ログイン」をタップ

パスワード(数字4桁)を入力し、「次へ」をタップします。

  • パスワードを入力し、「次へ」をタップ

続いて、マイナンバーカードをスマホで読み取ります。

画面の案内の通りに、スマホをマイナンバーカードの上に置き「読み取り開始」をタップします。スマホとマイナンバーカードの位置が、アニメーション画像と同じ位置になるように調整するとうまく読み取れます。

  • マイナンバーカードをスマホで読み取る準備

読み取りが開始されると、次のような画面になります。読み取りが完了しない場合は、再度読み取りを行ってください。

  • スマホをマイナンバーカードの上に置く

読み取りが完了すると、利用者登録の画面になります。

メール通知を「希望する」にチェックを入れ次へ進みます。

  • メール通知を「希望する」にチェックを入れ次へ

メールアドレスを入力し、「利用規約に同意して確認へ進む」をタップします。

  • メールアドレスを入力し、「利用規約に同意して確認へ進む」をタップ

画面に「利用者登録を受け付けました」と表示され、利用者登録が完了します。

  • 「利用者登録を受け付けました」と表示され、利用者登録が完了

アプリ「マイナポータル」でのマイナンバーカードの利用者登録が完了した後は、国税庁の「確定申告書等の作成はこちら」から、オンライン確定申告を行うことができます。

  • 「確定申告書等の作成はこちら」から、オンライン確定申告を行うことができる

今回の記事では、オンライン確定申告をするための事前準備として、マイナポータルとマイナンバーカードの基礎知識、および、スマホでの登録方法について詳しく解説しました。

国税庁のe-Taxでは、2022年から新しく2次元バーコード対応が開始されたため、マイナンバーカード方式によるオンライン確定申告がより便利になっていますので、この記事を参考にぜひトライしてみていただけましたらと思います。

参考情報
国税庁からのお知らせ<スマホ申告の対象範囲が増えます

令和3年分のスマホ申告に関する手引き等

確定申告書等の様式・手引き等(令和3年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)

著者:加々井 隆(かがい たかし) Mikatus(ミカタス)株式会社

2018年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するMikatus(ミカタス)株式会社に入社。マーケティンググループに所属し、Web広告、SEO、広報PR等のマーケティング業務に従事。税理士向けWebメディア「Lanchor(ランカー)」のホワイトペーパー制作やメルマガ運営など、税理士に役立つ情報や、ビジネスに役立つ情報をさまざまな切り口から発信している。