前回の連載では、メールマーケティングの業務を効率化する生成AIの活用術をご紹介しました。今回はさらに踏み込んで、生成AIを活用できる場面ですぐに使える6つのプロンプトをご紹介します。また、精度の高い回答を得るための4つのコツも解説していますのでご参考ください。

すぐに使える6つのプロンプト

AIツールは日々学習を続けており、各社のサービスがリリースされた頃と比較すると精度が高くなっています。とはいえ、期待した回答が得られるかどうかは、ツールの性能だけでなく、指示の出し方も重要です。

そこで、AIツールが活用できる業務ごとに使える6つのプロンプトをご紹介していきます。筆者が実際に検証して精度の高い回答が返ってきたプロンプトばかりですので、ぜひご活用ください。

セグメント配信の提案

まずは、どのようなセグメントでメール配信を行うと効果的かを知りたい時に使えるプロンプトです。

一般的にどのような分け方があるのかを知りたい時と、自社の配信目的やターゲットを考慮した上でどのような分け方がいいかを知りたい時の2パターンご紹介します。

■一般的なセグメント項目を知りたい時

【プロンプト】
あなたはメールマーケティングのプロです。
顧客の属性ごとに適した情報を提供するために、セグメント配信をしようと思います。
どのような情報でセグメントすべきか項目を列挙してください。

  • 一般的なセグメント項目を知りたい時(回答例)

    一般的なセグメント項目を知りたい時(回答例)

■配信目的に沿ったセグメント項目を知りたい時

【プロンプト】
あなたはメールマーケティングのプロです。
セグメント配信をする上で、どのような情報でセグメントすべきか提案してください。
提案する上で、#メール配信の目的や#商材などの情報を考慮してください。
#メール配信の目的
(メール配信の目的を入力)
#商材
(自社商材を入力)

  • 配信目的に沿ったセグメント項目を知りたい時(回答例)

    配信目的に沿ったセグメント項目を知りたい時(回答例)

【ポイント】
より自社に合った回答がほしい場合は、ターゲット情報を追加で付与してみるのもいいでしょう。

件名・本文の作成

件名と本文を作成するときのプロンプトをそれぞれ紹介します。

■件名の作成

【プロンプト】
あなたはメールマーケティングのプロです。
#本文に合うメールの件名を10個提案してください。
作成する際は、#条件を考慮してください。
#条件
・件名の文字数は25文字以内にすること
・メールを読みたいと思う魅力的な件名にすること
(その他入れてほしいワードなど条件があれば追加)
#本文
(メール本文を入力)

  • 件名の作成(回答例)

    件名の作成(回答例)

【ポイント】
件名と本文の両方をChatGPTに作成してもらう場合は、先に本文を作成し、「このメルマガに合う件名を作成して」と会話形式で作成するのがおすすめです。

■本文の作成

【プロンプト】
あなたはメールマーケティングのプロです。
以下の内容に従って、メルマガの本文を作成してください。
#メールの目的
記事を読んでもらうこと
#ターゲット
(ターゲット情報を入力)
#参考情報
紹介する記事のタイトル:(記事タイトルを入力)
紹介する記事のリード文:(記事のリード文を入力)
#条件
本文は200文字以内にすること
簡潔でわかりやすい文章にすること
本文はですます調にすること
適切なコール・トゥ・アクションを入れること
(その他追加したい条件があれば追加)

  • 本文の作成(回答例)

    本文の作成(回答例)

【ポイント】
上記のプロンプトは記事コンテンツを紹介するメルマガ用です。セミナー集客など別目的のメールを作成する場合は、プロンプトの#メールの目的を変更し、#参考情報にセミナーの日程や概要などをまとめることで流用いただけます。

シナリオ作成

次にご紹介するのは、ステップメールのシナリオを作成したいときに使えるプロンプトです。

【プロンプト】
あなたはメールマーケティングのプロです。
以下の項目を考慮して、ステップメールを作成してください。
#メルマガを配信する目的
(メルマガの目的を入力)
#ターゲット
(ターゲット情報を入力)
#購入メリット
(購入することで得られるメリット)
#起点となるタイミング
(起点となるタイミングを入力)
#条件
・件名は25文字以内にすること
・本文は200文字程度にすること
・ステップメールの回数を3~5通におさめること
・提案したメールの内容を(起点となるタイミング)から何日後に送るかを記載すること

  • シナリオ作成(回答例)

    シナリオ作成(回答例)

【ポイント】
購入を促すステップメールを配信する場合は、#購入メリットにターゲットが得られるメリットを記載しましょう。この内容はステップメールの配信目的によって表現を変える、もしくは削除してご活用ください。

コンテンツの提案

ターゲットにどのような情報を届けるべきかのアイデアが欲しい時に使えるプロンプトです。

【プロンプト】
あなたはメールマーケティングのプロです。
#メルマガの目的や#ターゲットの内容を考慮して、目的を達成するためには顧客にどのような情報を届けるべきか、具体的なコンテンツ案を出してください。
#メルマガの目的
(メルマガの目的を入力)
#商品
(メルマガの目的に合わせて必要な情報を入力)
#ターゲット
(ターゲット情報を入力)

  • コンテンツの提案(回答例)

    コンテンツの提案(回答例)

精度の高い回答を得るための4つのコツ

すぐに使えるプロンプトをご紹介してきましたが、プロンプトを活用しても期待した回答が返ってこないということが稀にあります。

実際に筆者が検証した際にも、全く同じプロンプトを活用してもその時々で回答の精度が変わることが度々ありました。

そのような時の対応策を4つご紹介します。メールマーケティング業務に関わらず、AIツールを活用する際に使えるコツばかりですので、ご参考ください。

目的や条件を明確にする

期待した回答が返ってこない、一般的な内容が返ってくるといった時は、目的や条件を明記しましょう。

1文で目的や条件をまとめようとすると長くなってしまい、AI側でも理解されづらくなってしまうので、箇条書きにして端的にまとめると精度の高い回答が得られやすいです。

会話しながら回答の精度を上げる

プロンプトを活用して返ってきた回答の精度が低い時や、精度としてはいいが少し物足りないといった時もあるでしょう。こういう場合は、会話を続ける形で指示を出すのがおすすめです。

例えば、件名の作成を指示して返ってきた回答に対して、「このキーワードを入れてほしい」「○文字に収めたい」など新たな要望が出てきた場合は、「『入れたいキーワード』を入れたパターンの件名を10個作成してください」「〇文字に収めて10個作成してください」といったように会話を重ねて、理想の件名を作成しましょう。

精度が低いときはチャットを切り替える

また、プロンプトを活用しても全く関係のない回答が返ってきたり、プロンプトがそのまま返ってきたりすることも稀にあります。

プロンプトを変えたり、会話を続けたりしても、精度の低い回答が返ってきてしまいます。こういう時は、新たにチャットを立て直して、再度同じプロンプトを送るのをおすすめします。

プロンプト例をAIツールに聞く

最終手段はいい回答が返ってくるプロンプトをAIツール自身に聞いてしまうという方法です。どのような指示があれば、いい回答が返ってくるかはAI側に聞く方が早いこともあります。

しかし、すぐに完璧なプロンプトが返ってくるとは限りません。会話を続けながら自分でプロンプトを組み立てる必要があるので、時間に余裕がある時などに検証してみるというのがいいでしょう。

業務負荷を最低限にして無理なく運用を続けよう

本連載では全4回に分けて、メールマーケティングを効率的に運用するためのコツをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

メールマーケティングを担当している方のほとんどが兼務で色々な業務を行っていると思います。それゆえに、メールを作成・配信する時間が取れず、運用が続けられないケースも多く見受けられます。

これまでもお伝えしてきたように、メールマーケティングは継続が大切です。今回の連載でご紹介したノウハウを参考に、できるだけ業務負荷を削減し、無理なく運用できる体制を構築してみてください。