前回の連載では、メール配信のネタがないという時に使えるワザをご紹介しました。今回は、メール作成の負荷を削減するヒントをご紹介します。すぐにマネできるものばかりですので、ぜひご参考ください。

配信担当者の永遠の課題「メールの本文作成」

メール配信に関する悩みで一番多いのが「メールの本文作成」に関する内容です。メール配信サービスを提供する配配メールがメール配信担当者を対象に「メール配信業務におけるお困りごと」を調査したところ、一番多かったのが「メール本文に何を書けばいいのか分からない」という回答でした。

「メールにどのような情報を書けばいいのか分からない」「そもそも文章作成が苦手」という方が多く、これによりメールの作成に時間がかかってしまい作業効率も低下してしまっていることがあります。

明日からできるメール作成のコツ4選

配信担当者を悩ませるメール作成が楽になるような4つのコツをご紹介していきます。どなたでもすぐにマネできる施策ばかりですので、普段の業務に取り入れてみてください。

不要な要素は削除する

メールに不要な要素は思い切って削除して、メール作成の負荷を軽減しましょう。ここでいう不要な要素というのは、読者が見ていない・読んでいない部分のことを指します。

「メールを開封した人は、本文をしっかり見てくれているだろう」と考えている人が多いのですが、ラクスの調査では読者がメールを読む時間はおよそ7秒ということがわかっています。

この7秒で読める文字数というのはおおよそ140文字くらいと言われており、X(旧Twitter)の1投稿分くらいの長さになります。伝えたいことを盛り込んだ長いメールを送ったところで読者は読んでいないので、不要な部分は削除して作成にかかる時間を削減しようというわけです。

以下はよくあるメルマガの構成です。

  • 一般的なメルマガの構成

    一般的なメルマガの構成

普段「時間がかかる」「何を書いたらいいかわからない」と感じているのは、時候の挨拶や編集後記を書く時ではないでしょうか。残念ながらほとんどの読者は挨拶や編集後記に目を通してはいません。時間をかけて書く必要がない要素なのです。

では、読者はどこを見ているのかというと、「メインコンテンツ」の部分しか見ていません。このメインコンテンツの内容を見てから興味があれば詳細を確認します。興味がなければメールから離脱するだけです。

誰が読んでいるかわからないところに稼働を割くよりかは、思い切って削除してできるだけ作成の負荷を削減するのがいいでしょう。

テンプレート化して編集する箇所を最小限にする

毎回いちからメールを作成している場合は、テンプレートを活用して作成箇所を最小限にするのもひとつの手です。

「不要な要素は削除」で説明した通り、基本的に読者が見ている箇所は「メインコンテンツ」のみですので、見られていない部分は必要ありません。

  • 一般的なメルマガで特に読者が確認する箇所

    一般的なメルマガで特に読者が確認する箇所

とはいえ、宛名や差出人情報は見られていないものの削除ができない部分になります。特に差出人情報は、迷惑メールの送信を規制する「特定電子メール法」で、表示の義務が課されています。これは、メルマガなどの広告・宣伝を含むメール配信を行う際には必ず守るべき法律で、違反すると罰金などの処罰もあります。

そのため、記載は必要ではありますが、毎回内容が変わる部分ではありません。この定型化できる部分をテンプレートとして登録しておけば、毎回作成が必要になるのはメインコンテンツの部分だけです。

筆者ももこのようにメインコンテンツ以外をテンプレート化してメール作成をしていますが、コンテンツさえ決まっていれば本文の作成は5分足らずでできています。

件名と本文はコンテンツから引用

これまで、不要な部分は削除したり、変える必要がないところはテンプレート化したりすることで、作成負荷を減らせるとお話してきました。しかし、そもそもこのメインコンテンツの部分に記載する文章を書くのが苦手という方もいるでしょう。そういう方は思い切って、配信するコンテンツから文章を引用してしまうのがおすすめです。

コンテンツのタイトルはメールの件名に、コンテンツのリード文はメール本文として活用できます。タイトルやリード文からキーワードなど一部抜粋してアレンジを加えるのもいいですし、それさえも手間になる・時間がかかるという場合は、そのまま引用しても問題ありません。

  • 件名と本文はコンテンツから引用する 出典:配配メール

    件名と本文はコンテンツから引用する 出典:配配メール

「そのまま使ってしまってもいいの?」と不安になる方もいるかもしれませんが、文章を考えることに多くの時間を費やしてしまい、結果配信も続けられないという事態に陥ってしまうのであれば、思い切ってコンテンツから文章を引用して作成負荷を削減することをおすすめします。

AIツールの活用

文章作成が苦手な場合は、AI(人工知能)ツールを活用するという手もあります。2022年11月ごろに生成AI「ChatGPT」がリリースされてから、「BingAI」や「Google Bard」など無料で使えるAIツールが普及しています。

プロンプト次第で精度は変わりますが、いくら精度が高くても文章のつながりや表現が機械的なことがしばしばあります。それでも、たたきとしては十分に使えますので、表現の手直しや誤字脱字などのチェックを行うだけで、メールが作成できます。いちから自分で文章を作るよりも非常に楽ですし、時間もかかりません。

メールの件名や本文の作成以外にも、メール配信業務を効率化する上でAIが活用できるシーンは多くあります。AIツールが活用できる業務やプロンプトについては、次回以降ご紹介していきます。

メール作成はちょっとしたコツで効率化できる

メールの作成に時間がかかると悩まれる方は、メール本文にさまざまな要素を詰め込まなければいけないと考えていることが多いです。

しかし前述の通り、読者がメールを読む時間はほんの数秒ですので、メールでは簡単に伝えたい内容をまとめて、あとは詳細がまとまったページへのURLを記載し、興味のある人だけ遷移してもらえるような設計をしておけば十分なのです。

また、文章を作成するのが苦手という方は、遷移先のページから文章を引用したり、AIに作成してもらったりして、できるだけ効率化させるのがおすすめです。

次回の連載では、最後にご紹介したAIツールの活用についてご紹介します。メール配信業務においてもAIツールの活用で効率化できる業務がメールの作成以外にも多くあります。どのような業務でどうAIツールが活用できるかを解説しますので、ぜひご覧ください。