PwCあらた有限責任監査法人の第二金融部(保険・共済)の保険アドバイザリーグループは、保険会社向けにアドバイザリー業務を行っています。そのため、金融庁や関連団体あるいは保険会社などから発信されるニュース(情報)を、定期的に収集しています。

これまでは担当者が表計算ソフトを用いて一覧化していました。情報を一元的に管理する上では便利なのですが、傾向をつかむためには各項目をソートしたり計算をし直したりと、インサイトを導き出すには時間を要していました。以下は、メンバーが実際に感じていた課題です。

  • 「国別、期間別、生損保別などのニュースを瞬時に把握することが困難」
  • 「どのようなジャンルのニュースが最近多いのか?トレンドは何か?などを視覚的に把握できない」
  • 「インサイトの視覚的な把握が難しい」

そこで導入したのがデータ可視化ツールです。このツールを用いて、ニュースのカテゴライズやトレンドの可視化を試みました。可視化ツールを活用するには、その使用風景を想像し、使用者がそこから意思決定ができるために必要なデータの収集、整備を行うことが肝になります。そのため、自分たちだけで考えるのではなく、経営視点を持つ上層部へのヒアリングを行いました。

また、意思決定のためには、物事の関連状況、例えばテクノロジーの推進の裏側で関連する規制動向がどのようになっているかなどを把握する必要があります。当該ツールでは、一つの点(ニュース)とその他の点(規制など)がどうリンクするかを、各項目を試行的にクリックすることで把握できるようにしました。

さらに、国名や会社・組織名を入力するとカテゴリーごとに情報が円で表示されるようにし、情報量を一瞬で把握することができるようにしました。各項目をクリックすれば内容をドリルダウンし、気になるニュースがあればワンクリックで飛んでいって読むこともできるように組み立てました。

  • データ可視化ツールによって、情報量を一瞬で把握することができるようになった

以下は、マネジメント層を中心に寄せられた実際の声です。

  • 「特定のキーワードを入力すると、国別、期間別、生損保別などのニュースがすぐに閲覧可能で、かつリンク先も付いているため非常に使い勝手がよい」
  • 「一目でどのようなニュースが多いかを把握でき、業界動向を素早く把握できる」
  • 「このツールを、リサーチ業務をしている他の業種向けのサービスにも転用できるのではないか」

データ可視化ツールを用いることになってから、業界の傾向分析のもととなるデータを作成する時間を大幅に短縮(筆者の場合は70~80%)することができました。それだけではなく、インサイトの提供や新たな提案により多くの時間を使えるようになり、アドバイザリー業務の品質向上につながっています。

情報があふれかえる時代において、大量の情報から有益な情報をいち早くつかみ取って活用できれば、大きな強みになります。情報を活用するにあたり、分析する対象は信頼し得るものであることが重要です。また、個々の内容を深掘りするだけでなく、情報を俯瞰してみて、全体の傾向や特異な事象の有無を把握できれば、その情報の価値が高まります。

これまでもお伝えした通り、ビジネスにおけるデジタル活用が極めて重要な取り組みであることは言うまでもありません。テクノロジーの進歩は目覚ましく、これまでに培ってきた知識や経験、技術も数年で陳腐化してしまいます。

デジタルの進化によってセキュリティや業務プロセスだけでなく、ビジネスモデルさえも変革が必要に迫られる時代となりました。そんな中、私たちにとっては、デジタルを活用してどんな社会を実現できるか、業界をリードしたクライアントサービスをいかに提供していけるかが最重要課題です。

そのために、新しいチャレンジとして、実務でのデジタル活用を行っていくための独自の研修プログラムを開発・実施しています。変化を恐れることなく、日々のアップデートを怠らず、積極的に業務変革を推進していきたいと思います。このコラムが、これからデジタル化に取り組まれる企業やDX推進に行き詰まっている企業の課題解決にお役立ていただければ幸いです。

著者紹介

竹中 紳治 マネージャー, PwCあらた有限責任監査法人

野中 挙海 シニアアソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人