PwCあらたの第二金融部(保険・共済)の1チームである「保険アドバイザリーグループ」は、グループ内におけるデジタルカルチャー醸成に向けた取り組みを行っています。今回は、デジタル活用を習慣化する上でさらに行った取り組みと、情報の受け手側に生まれた変化についてお伝えします。

デジタルツール活用を習慣化させるまでの3つの取り組み

前回の「デジタルカルチャーの醸成に役に立つ3つのポイントとは?」では、デジタルカルチャー醸成を推進する側の視点から取り組みをお伝えしましたが、今回は受け手側であるチームメンバーの視点から紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)が重要であることは分かっていても、一体何をしなければならないのかが分からない……

DXに向けた取り組みが思ったように進まない場合、受け手であるチームメンバーはそんなことを考えている可能性があります。DXの効率的な推進においては推進側と受け手側が協力して主体的に取り組むことが効果的です。

しかし、目的と手段が定まっていなかったり、取り組み自体が推進側の独りよがりなものになってしまっていたりした場合、お互いにとってよい結果を生み出すことは困難でしょう。私たち自身も、取り組みを始めた当初、受け手であるチームメンバーから以下のような意見をもらいました。

  • 現在までデジタルに関連する業務経験がないから、必要性を実感できない
  • 業務においてデジタルツールを使わないのに、無理にDXを推進する必要があるのか
  • 従来のツールで事足りるのではないか

そもそも受け手側にとってみれば、DXとは経営層やリーダーが持ち出した話です。実務にプラスの影響がない限り、積極的にDXに取り組むためのモチベーションや目的はないと言えるでしょう。

そこで私たちは、前回に紹介したメルマガと併せて、以下の具体的な取り組みを行いました。

(1)まず知ってもらう

グループ内のチームメンバーを集めたミーティングで、デモンストレーションを行いました。ただ周知するだけでは、デジタルツールに全く触れない人も出てきてしまうといった個人差が生じてしまい、十分とはいえないためです。

(2)デジタルツールを活用するイメージを持ってもらう

ある程度認知されたところで、実際にツールを使用する様子を配信しました。チームメンバーが、自身が具体的にどのような業務の場面で活用できるのかをイメージしてもらうことが目的でした。

(3)実践で継続的に使ってもらう

実際にツールを使い始めていくと、当然ながら課題も出てきます。そこで、法人内で作成する種々のマニュアルにデジタルツールの使い方を落とし込んだりすることで、より有効的に使いやすくしていくといった取り組みを継続的に行いました。

デジタルツール「使っていく」まで定着した結果

このように、徐々に「知っている」から「使っていく」に発信の内容をシフトしていき、デジタルツールを活用するのがもはや当たり前であるとの意識付けを行いました。

この結果、チームメンバーからは以下のフィードバックを得ることができました。

  • 新しいツールを業務で試してみて、有益だと実感した
  • デジタルツールを従来の強みと掛け合わせることで、より広い視点でクライアントと話ができるようになってきた
  • リサーチの幅が広がった
  • 他のメンバーが『Digital Fitness(デジタルフィットネス)』を頑張っている姿を見て、自分もやらねばと刺激を受けた

デジタルによってセキュリティや業務プロセスだけでなく、ビジネスモデルさえも変革が必要に迫られる時代となりました。そんな中、私たちにとっては、デジタルを活用してどんな社会を実現できるか、業界をリードしたクライアントサービスをいかに提供していけるかが最重要課題です。

そのために、新しいチャレンジとして、実務でのデジタル活用を行っていくための独自の研修プログラムを開発・実施しています。変化を恐れることなく、日々のアップデートを怠らず、積極的に業務変革を推進していきたいと思います。

著者紹介

竹中 紳治 マネージャー, PwCあらた有限責任監査法人

野中 挙海 シニアアソシエイト, PwCあらた有限責任監査法人