自宅待機中に万有引力の法則の着想を得たニュートン

サイエンスの金字塔「万有引力の法則」は、ニュートンがケンブリッジ大学の研究室ではなく、ロンドンから160kmほど離れた実家で「自宅待機」しているときに着想されました。サイエンスはどこにもあり、そして家にもあります。今回は、おうちでやれるサイエンスな話をしようと思います。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るっています。感染は人から人に起こるので、他人に接近せず、他人が触ったりつばなどがついているモノに接触しなければ、原理的に感染はしません。「隔離」「自宅待機」は感染症の正体がわからない時代から行われている対策の基本でございますな。そして、新型ゆえ人類が免疫をもっておらず、有効なクスリやワクチンがまだわからない今回のウイルス感染症。現時点(2020年4月15日時点)では、最も効果的かつ強力な対策でございます。

とはいえ、普段、外に出て仕事や勉強、遊びなど活動をしていると、なんとも不自由なものでございますな。一方で、世界では別の異変が起こっています。研究論文の発表数が増えているのです。いや、もちろん、新型コロナウイルス感染症の症例やら、対抗策やら構造解析やら、そういうのはあるのですが、そうではない普通の論文が増えている。それは、自宅待機になった研究者が、今までため込んだ研究結果を整理し発表する時間が持てているのではないか? という観測もあります。おうちでサイエンスなのですな。

これは歴史的にも起こったことがあります。最も有名なのは、ニュートンのお話です。ケンブリッジ大学を卒業した青年ニュートンは、1665年からロンドンで大流行し当時10万人もの死者を出した感染症、ペストから逃れるため、ロンドンから60kmほど離れたケンブリッジ大学から、さらに遠く80kmあまり離れたウールソープにある実家で自宅待機をしていました。

そして大学の勉強も仕事もできず、2年間ほど実家で過ごしていたところ、農園のリンゴの木から実が落ちるのを見たのですな。そこから、サイエンスの金字塔「万有引力の法則」を着想することになります。このほかこの2年間で、微積分学の基礎を思いつくなど、仕事ができない時期に、ニュートンは現在のサイエンスの基本になり、すべての理系の学生が必ず学ぶ内容を思いついたのでございます。

おうちでサイエンスのネタが各所で公開中

3月に学校が休校になったとき、ともかく退屈して大変だったという子供や学生も多かったと思いますが、中には、暇つぶしに色々な「研究」をしていたという話がSNS界隈には散見されます。

柿の種のタテヨコ比をしらべてCM通りかをしらべたなんて話には、思わず膝を打ってしまいました。自由研究にはちょうどよいということで、「研究者の町」つくば市などは「つくばこどもクエスチョンオンライン」を実施して、楽しい研究発表などもすでにされたようでございますな。

ワタクシも、おっとり刀でZoomを試してみたり、Pythonの勉強をしたり、ひたすらため込んだ科学番組のビデオを見返したり…ウソです、銀河英雄伝説10巻+外伝を読み返していました…しておりました。いや、その、これからやります。前から約束していた本も書かないといけないし、ごにょごにょ。

まあ、アクティブにやるためには、インプットも大切でございますし、とりあえず、いろんな科学ネタを楽しむのがよいでしょうな。

  • おうちでサイエンス

    おうちでのサイエンスには、実験器具を用意しなくてもできるものが沢山あります

ネタ本としては、最近講談社のブルーバックス最大のベストセラーで改訂版がでた

がおすすめでございます。

「手品」のうち3つは、こちらで紹介されていますが、すぐにできますよー。休みの間に読んだらよいなという本は、以前にも紹介しましたので、また読み返していただければー、でございます。

参考:どこでもサイエンス 第176回 読みやすい! オモシロい! 科学の本!!

また、サイエンスに関わらないのですが、おうちでやってみよう的なことは、北海道は釧路のこども遊学館がFacebookで「おうちde学ぼう!遊学館~自由気ままに自由研究」を毎日のように更新しています。毎日のように、というのは相当スゴイことで応援したくなる企画ですな。

SNSですと、Twitterで、#エア科学館 #エア博物館、などのタグで様々なネタが紹介されています。博物館も都市部を中心にかなりの休館になっていますが、休館で見学できない展示物が写真や動画で紹介されたり、中には普段見られない学芸員による紹介がされていたりしますな。

北海道博物館では、おうちミュージアムという運動をしています。こちらでも48の施設が網羅されています。オススメ!

ネット動画とかオンラインゲームとかはこういう時強いですな。

ただいま人気沸騰中のNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)の「あつまれ、どうぶつの森」は博物館を作るゲームでは!? なんて冗談がでているくらいデキがよいですな。また、ゲーム参加者が色々なデザインを設定しているので話題になっていますね。

ネット動画はいろいろですが、全国の研究所等の広報担当者有志が作っている動画集がいまのところ充実しています。

ということで、とりあえず人と会わなければ感染はせず、そしてみんなが家にこもっていれば、感染者も減っていくことははっきりしています。楽しみを見つけながら、のりきってまいりましょー。

最後になりましたが、こういう状況でも外で仕事をしないといけない方々。人と会わないわけにはいかない医療、介護、小売り、運輸、インフラその他のみなさま。ご苦労様です。ありがとうございます。私は引きこもって、楽しい原稿書きます。よろしくおねがいします。