2014年の宇宙、どうでしょう? ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察・参加できる」宇宙にかかわるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、上半期分をば。
宇宙にかかわるできごとは、予測が秒単位でできるものから、いきなりやってくるものまで、いろいろでございます。
秒単位でわかるのは、1週間の曜日の名前がついている天体についてです。日、月、火、水、木、金、土ですね。たとえば、日食や月食、金星がいつどこに見えるかなどは、信じられない高精度で予測ができます。
予想の範囲が極端に広いのが、天体の爆発ですね。爆発しそうというのはわかっても、それが、いつなのかまでの予想はとてもとてもです。まあ、数万年以上の誤差があります。
そして、流星群や彗星、ロケットの打ち上げなど、かなりいい精度ではわかるのだけれど、詰め切れないですね。最近は、研究が進んでかなりよくなりましたけどね。隕石の落下もものによっては半日くらい前に予想できるようになりました。監視システムの成果ですが、昨年のロシアの隕石クラス(家の大きさくらい)だと見逃されてしまいます。
まあ、そんなことに基づいて、天文手帳とか、天文年鑑とかが発行、発売されています。
でも、読者は宇宙に詳しい人を想定しているので、はたして書かれていることが、自分に観察できるのか、よくわからないんですよね。これは天文ファンにとってもそうでございます。で、「やさしい」天文年鑑も発売されています。これも情報は充実していまして、ライトな天文ファン向けです。
ここでは、さらにひらたく、まあ、ファンってわけじゃないけど、たまには空を見るかな。話題になったら、気になるかなという「素人でも手軽に観察・参加できる」宇宙にかかわるあれこれを紹介しちゃいます。
1月~2月
日が暮れると、星がきれいです。これはちゃんと理由があって、明るい星が多く見えてにぎやか+さらに「圧倒的に明るい」木星がよく見えるからなんですねー。この木星追加は12年のうち2年間だけの「ボーナス」です。木星は12年周期で空をめぐっていくからなんですねー。木星の次に明るいのは「シリウス」、木星のすぐそばにならぶ2つの星は、ふたご座の「ポルックス」と「カストル」くらいわかると、かなり「知っている人」になれます。
夜明け前の金星も明るいですよー。いつでも明るいのですが、2月15日に明るさがMAXになります。といっても、通常の2割増しくらいですけどね。
正確な予想はできないそうですが、めちゃくちゃ明るい星が出現する可能性が10万分の1くらいあります。オリオン座のベテルギウスという星が爆発寸前という研究があるんですね。爆発すると、明るさは木星や金星どころか、月に近いほどになって、半年間は昼間でも見えるのだとか。で、それいつなのというと、今年はまあなさそうだけど、100万年後でもなくて数万年以内ということなんですね。で、10万分の1の確率というわけです。
ロケットでは2月28日の未明(午前3時~5時)に、種子島からGPM衛星が打ち上げられます。日本の主力ロケットHIIAによる打ち上げで迫力があり、見学に行く人も多いみたいです。
また、アメリカの宇宙船ドラゴンが国際宇宙ステーションに到着します。滞在中の若田宇宙飛行士が、たぶんドラゴンのドッキング作業をするんじゃないかといわれています。
3~4月
火星が地球に接近して、明るく見えます。夜中にミョーに赤くて明るい星があるなーと思ったら、それは火星なんですね。火星の接近は、地球との軌道の関係で2年2カ月に1度ですので、ひさびさって感じです。以降、7月くらいまで楽しめます。また、このタイミングで火星に宇宙船を到着させることが多いんですが、アメリカのMAVENと、インドのチャンドラヤーンという探査機が9月に火星に到着予定で飛行中なんですね。火星ではすでにアメリカの複数の探査機が地上と上空で探査を行っていて、超高精細な映像を送ってきています。欧米ではもりあがっていて、たとえばオーストラリアのカンタス航空なんかも火星探査機をCMに使ったりしております。
4月29日にはそのオーストラリアで日食があります。日本では見られないのですが、連休でオーストラリアに行かれる予定の方は「日食めがね」を持っていくといいでしょう。この日食は南極の一部で金環日食となりますが、さすがに冬の入り口の南極に行くのは無茶でしょう。
日本で楽しめることといえば、人工衛星の観察もありますね。特に国際宇宙ステーション(ISS)はよく見えます。1~2分かけて、明るい星のような光の点が空を横切っていきます。軌道の変更もあり、あまり先の予報はできないのですけれど、随時情報がJAXAのWebサイトに掲載されています。また、倉敷科学センターのWebページがより素人むけでいい感じです。
そのISSに登場している若田飛行士は3月よりISS船長になります。アジア人で船長になるのは彼が初めてだそうです。ロシアとアメリカの飛行士たちを束ねるのですね。テレビなどでの露出も増えそうです。
4月22日夜には、4月こと座流星群(変わった名前ですが、正式名称なんだそうです)がピーク、つまり一番たくさん流れ星が流れる日になります。観察は、夜9時以降で、道具もいらず、ただ1時間ばかり空をぼんやり見ていればOKです。ときどき、すごく明るい流れ星が見られるのが特徴なので、都会のビルのベランダなどからでも楽しめます。
4月14日~20日は、国の科学技術週間です。毎年、各地の研究所などが公開されたり、子どもも参加できるようなイベントも多数行われています。企業などの参加が少ないのでちょっとお役所っぽいところはあるのですが、神奈川県相模原市や茨城県つくば市のJAXAの施設の特別公開などは、若手の研究者を中心に一生懸命って感じでとてもいいですよー。詳しい情報は3月末くらいにこちらでご確認ください。
5~6月
5月5~6日にみずがめ座エータ流星群がピークです。観察は夜中すぎでないとできないのですが、連休の最後にちょっと夜更かしもいいのではないかなと思います。明け方の3時前に南を中心に空を1時間くらい見ていると、いくつかの流れ星を見つけられるでしょう。
5月25日~6月3日の夕方、水星がよく見えます。といっても水星は大科学者コペルニクスも見たことないという天体ですので、ちょっと難しい。おすすめは5月31日で、三日月の右下に見えます。上にあるのは木星です。三日月より右下と覚えてください。
なお、6月1日は三日月と木星がならんでゴージャスな感じになりますよ!。7日には火星と月がならびますのでこちらもぜひ。あと、土星もそろそろ見ごろです。6月10日には月と土星がならびますので、それを頼りに見つけてください。高級なデジカメでめいっぱいズームして写真を撮影し、強引に拡大すると環がわかるという報告もありますので、一眼レフデジカメなどお持ちの方は試してみては?
ただ、6月は本州が梅雨になりますし、夜が短いので星を見るには向きません。
ちょっと前後しますが、5月14日にはISSから若田船長が地球に帰還する予定です。ロシアのソユーズ宇宙船を使い、ロシアへの帰還ですね。スペースシャトルもうないですもんね。
著者プロフィール
東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。